腹腔内探査、小腸結腸吻合の部位の確認、大結腸切開、などをやっていただく。
その知識や技術が、いずれどこかで疝痛に苦しむ馬を助けることに生かされると信じている。
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午後は開腹手術についての講義。
開腹手術や剖検ができない地域では、そもそも馬の疝痛についての知識や経験が不足しているのが現状だ。
ある学術報告に書いてあったが、
「剖検も手術も行われなかった疝痛は、結局何だったかわからない」
わからないと予防や治療が進んでいくことにはならない。
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去年、「便秘では血清中のビリルビン値が上昇していることがあります」と言ったら、
「どんな疝痛でもビリルビンは上昇します」と言った獣医さんがいた。
そう断言されるとこの私でさえ!(笑)考え込んでしまったが、やっぱりどんな疝痛でもビリルビン値が上昇するということはないことを症例の蓄積で確認した。
つまり、その獣医さんが診ているのはほとんどが「便秘」なのだろう。そして、便秘を診ているのに便秘だと診断できていない症例がかなりあるので、
「どんな疝痛でもビリルビンは上昇しますっ!」ということになったのだろう。
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30年前、生産地でも、疝痛で呼ばれたら、鎮痛剤を投与して(その頃はフルニキシンはなかった)、1-2リットルの(量の足らない)補液をして、最後に下剤をかけて(馬が苦しみ出さない前に)帰ってくる、という決まりきった治療が行われていた。
死んだ馬が運ばれてきて、剖検すると、胃破裂や腸管破裂が多いのに驚いた。
腸閉塞の病変はあるのだが、そこへ下剤をかけるものだから破裂して死ぬのだ。
開腹手術という選択肢がないから、それも覚悟の上で「勝負をかける」のかもしれないが、獣医療行為が死ぬ引き金になっているのは望ましくない。
腸閉塞に下剤をかけるのは良くないんじゃないですか、便秘だと診断しないで下剤をかけるのはやめてください、と言い続けて、生産地では無用な下剤をかけたあとに開腹手術をすることはほとんどなくなっている。
解剖場や手術施設が身近にない地域でも、獣医師が他の人の経験から学ぶことで疝痛への対応を洗練されたものに変えていけると信じている。
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講義のあとは、
直腸検査の実習。
腹腔臓器の超音波診断の実習。
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夜の部があるのもこの研修の特徴;笑。
この夜はハーフリムキャスト巻きを体験してもらった。
なにごとも自分でやってみなきゃわからない。
「エバウールシートって優れものでしょ?」と何年も同じことを言っていても普及しない。
「これ良さそうですね」という感想はいつも聞く。
すぐ取り入れなければ知っていてもさしたる価値はない。
(エバウールシートは)「おいしそう」という感想には驚いたけど;笑。
初めてハーフリムキャストを巻く人でも、正しい方法の説明を受けていれば、きちんと機能するキャストが巻ける。
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今年は私は三夜とも11時までに引きあげた;笑
しかし、夜の研修は午前2時、2時、3時まで続いたらしい・・・・・誰だ?;笑