豆作先生のリクエストにお応えして、子牛の中手骨骨折キャスト固定のX線画像をお見せしておこう。
綿包帯が巻かれ、添え木が当てられ、さらにその上を巻いて固定されている。
添え木は蹄尖より先に出ており、肢にはほとんど荷重がかからない。
肢を引張りながらグラスファイバーキャストを巻いた。
中手骨近位骨幹端の横骨折だが、粉砕している。
肢を引張って巻いたのだが、腕節は屈曲しようとするし、近位骨幹端の骨折なので腕節を伸ばすのが難しい。
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2週間後、現場の先生が往診先でキャスト交換した。その前のX線撮影像。
骨癒合が起こり始めているが、まだまだだ。
キャストは肢に沿っている。腕節と球節で浮いて見えるのはその部分にはエバウールシートを巻いているせいだ。
中手骨遠位の骨端板(成長板)が広がって見える。負重しないせいか、あるいは・・・・
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キャスト交換から約1ヶ月。骨折から1.5ヶ月。キャストは往診先ではずされた。
十分に骨癒合している。
中手骨近位部が粉砕していたので、遠位部が近位部に陥入したような癒合の仕方になった。
少し短くなったか?
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その後、骨折肢の遠位部が腫れる、ということでまたX線撮影された。
はっきりした異常はない。
しかし、中手骨遠位骨端板のようすはヘンだ。
それと肢の腫れの因果関係はわからない。
1.5ヶ月キャストで巻かれて、動かせず、負重もしていなかったのだ。
腫れても不思議ではない。
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キャスト固定で治せる骨折を、プレート固定する必要はない。
キャスト固定で治せるかどうか、その見極めもたいせつだ。
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25年前、USAへ研修に出してもらった。
馬の外科のレジデントに、「日本にもアルパカが居るか?」と訊かれて、
「日本には居ないし、診たことはない」と答えたら、
「おまえは幸せだ」と言われた。
牛や羊より、ラクダに近いのか?
とくに骨折すると治りにくいとも思えないけど・・・・
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シカの骨折は難しいらしい。
シカは跳ねるからね~
ヤギも高い台に飛び乗ったりできる。羊より山間部の岩山で生きていける反芻獣なのだろう。
だから”山”羊。
その分、骨折は治り難いかも。
いや、長野でヤギのキャスト固定の質問が出たんですよ・・・・