3日目は乗馬の跛行診断。慢性化し、軽症化していて、複数肢の複数の問題を抱えていて診断は難しい。
並行して鼠径部陰睾の去勢。
鼠径輪が大きいので縫い縮めてもらった。
去勢は良く行われる手技だが、去勢後の腸管脱出は致命的な併発症だ。
去勢をする獣医師は、鼠径輪の縫縮法を知っておいた方が良いだろう。
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午後は実習馬での開腹手術。
腹腔内探査、結腸切開、回腸切除、回腸盲腸吻合をやってもらった。
実習馬には痛い思いをさせるが、おかげでいつか助けてもらえる馬が増えるなら許してもらえると思っている。
「1頭でも多くの馬を助けられるようになりたい」と自己紹介されていた参加者の皆さんの言葉と熱意がこの研修のすべてだろうと思う。
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夜は、第三中手骨・第一指骨粉砕骨折して安楽死された馬の肢でのDCPを用いた内固定手術の練習。
前肢だが、Barbaroの骨折と同じタイプの骨折だ。
Barbaroの手術のx線写真や手術の様子は、昨年の夏の研修の英語セミナーでも見せてもらった。
実際に真似事をしてみるとDr.Richardsonの苦労と、技術のすごさがわかる。
11時半までやって中断ということにした。
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整形外科的注釈をしておくなら・・・
第一指骨が粉砕骨折していて、球節から近位指骨間関節までつながっている骨片がないので、第一指骨で体重を受けさせることはできない。
だから、中手骨にシャフトを入れてウォーキングキャストを付けることで、免重させるか、あるいは、プレートを中手骨から第二指骨まで伸ばして、球節も、近位指骨間関節も関節固定するしかない。
その後者をやってみたわけだ。
第二指骨には少なくともプレートの孔2つからスクリューを入れたい。プレートは良い位置に当てられている。
プレートの左右からも第一指骨から第二指骨へできれば5.5mmスクリューを入れたい。
もちろん、関節面の軟骨はできるだけ削って第一・二指骨が骨癒合しやすいようにしておく。
球節も同様に、第三中手骨から圧迫スクリューを種子骨まで入れ、さらに第三中手骨から第一指骨にもスクリューを入れて、関節を不動化する。
粉砕した第一指骨はできるだけ再建したいところだが・・・