馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

ナメんなよ!

2014-05-30 | 整形外科

P5306269 1歳馬の肢軸異常で橈骨遠位に入れた5.5mmscrew。

矯正されたので抜くのだが、しっかりしまって回らない。

そのうちscrew head を「ナメて」しまった。

さてどうする?

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P5306270破損ネジをガッチリつかむ器具でスクリューの頭をつかみ、

スクリューヘッドには摘出ボルトを挿入して回した。

それで何とか抜けてきた。

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P5306271このボルトは先端に逆ネジが切ってある。

それで、左回しに回すと、ナメてしまったスクリューヘッドを左へ回すことができる。P5306272

と言っても、もとの6角スクリューヘッドがナメてしまうほどの硬さだからそう簡単にはいかない。


こういった破損スクリュー摘出セットは、そろえておくようにケンタッキーのSpirito先生が教えてくれた。

P5306274「肢軸異常のsingle screw 法ではスクリューが折れたり、スクリューヘッドが取れたり、ヘッドをナメてしまうことがあるゾ。

大丈夫、道具があれば抜ける。」

と。

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Thank you Dr.Spirito !!

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P5306275今日は

わずかに暑さを感じさせる日だった。

リンゴの花が咲いた。

相方が居ないので実はならない。

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P5306280ツツジも咲いた。

風さわやか。

暑くもなく寒くもなく。

虫もまだいない。

いい季節になった。

 

 

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ドサンコの去勢

2014-05-29 | その他外科

P5296261今日、去勢に来たのはドサンコ1歳。

頼まれたとき、どういう方法で去勢しようか考えた。

全身麻酔していつもと同じようにHenderson式去勢でやれば楽だし、もっとも安全だと思うが、それなりに費用がかかる。

ドサンコで性格が大人しく、痛みにも敏感でないなら立位でできるかも・・・

それに万が一何かあっても、経済的価値はサラブレッドほどではないはず。

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しかし、1年中昼夜放牧でほとんど馴致もしていないとのこと。

それに国有財産だ。事故があったら困る。

で、結局いつもやっている方法(全身麻酔下Henderson式去勢)で2頭ともやった。

大人しく人に曳かれてくるのだが、注射しようとすると立ち上がった。

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ダニだらけだったりしないかと思ったが、ダニはいなかった。

牛は1ヶ月ごとに殺ダニ剤をかけているそうだ。

ドサンコはダニにも強いのか?

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ドサンコはこのあたりではすっかり見かけなくなってしまった。

むかしはかなりの数が当て馬として飼われていたのだけれど。

1歳でセリに出して10万円あまりで取引されているそうだ。

買おうかな?

草刈りしてくれるし、自転車より安いし。

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P5296263

 

 

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難産・子宮穿孔・腸間膜損傷

2014-05-28 | 繁殖学・産科学

前日疝痛だったという繁殖雌馬。

まだ予定日前だったが分娩が始まり、しかし肢が直腸側へ入って、怒責も強く押し戻せない。とのことで来院。

すぐに全身麻酔して、後肢を吊り上げる。

なんとか膣壁から肢を引き抜き、顎を引張り出す。

下胎向(胎仔の背中が母馬の腹側を向いている)なのを捻って直す。

あとは引張って娩出させた。

が、母馬の腸管も出てきた。

小腸で、腸間膜が裂けている。

これは開腹手術しての腸管手術をしなければならないし、膣壁も縫わなければならない。

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P5286260 で、後躯を高くしたポジションを保って手術台に乗せ、手術台でも後を高くしておく。

トレンデレンブルグ・ポジションと言う。

呼吸には無理がかかるが、膣の穿孔創から腸管がたくさん出るのは防ぎたいから。

空腸下部で腸間膜が裂けていたが、腸管の損傷はひどくない。

血行を失うであろう部分を切除して吻合する。

腸閉塞を起こしていない腸管手術は、腸捻転などの手術に比べれば楽だ。

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膣の穿孔創は開腹手術創からは縫えない。

トレンデレンブルグ・ポジションにしているので、縫合しやすいかと思ったらそんなことはなかった。

膣鏡で開いても周りが寄ってきて見えない。

仕方がないので、吸収糸に三稜針を付けて手探りで連続縫合する。

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腹水を見るとベージュ色がかっている。

羊水が腹腔へ入ったのだ。

引っ張り出した胎仔は胎便をもらしていた。

死ぬ前に低酸素になるとそうなる。

生理食塩液を腹腔内へ入れて、吸引機で吸引することを繰り返した。

腹腔ドレーンを残して閉腹する。

終わったのが3時過ぎ。

もう夜明けだ。

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今日は、

1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

繁殖雌馬の蹄葉炎の深屈腱切断術。

午後は、競走馬の腕節chip fracture の関節鏡手術。

肢軸異常の当歳馬の診察。

繁殖雌馬の来院。

膣穿孔だと思っていた馬は、子宮が収縮してみると子宮頚管奥の子宮穿孔だった。Dsc_2594

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妊娠初期と末期

2014-05-27 | 繁殖学・産科学

Us 交配後2ヶ月ほどの繁殖雌馬。

疝痛で来院して、左膁部の腹側あたりで見えた。

受胎しているのは確認されている。

体表からこの時期にこれだけはっきり見えるのは珍しいかもしれない。

雄雌がわからないか観ようとしたが、良い位置と角度にこなかった。

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電話では別な相談。

もう分娩が50日遅れているがどうしたら良いか?

待つしかありません。と答える。

結局、60日遅れで生まれたそうだ。

妊娠期間1年という馬はときどきいるが、2ヶ月遅れというのは記録的だと思う。

馬は長期在胎で過大仔になったりはしないようだ。

胎盤の機能が悪いのか、胎仔の発育が悪いとちゃんと育つまで生まない。

60日遅れで生まれた子馬は長さはあるが、肉付きの良くない新生仔だとのこと。

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今日は、

1歳馬の臍ヘルニア。

肢軸異常が矯正されたのでスクリュー抜去。

3歳馬の後肢の跛行診断。

当歳馬の肢軸異常、左右の腕節

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繁殖雌馬の披裂軟骨炎の永続的気管開創術

2014-05-26 | 呼吸器外科

P5256245去年、披裂軟骨にできた肉芽腫を切除した繁殖雌馬。

順調だったが、1年経って分娩したら異常な呼吸音がするようになり、苦しくなった。

喉頭内視鏡検査をしたら、去年は右の披裂軟骨小角突起に付いた肉芽だったのに、今年は左の小角突起に肉芽が付いていて、左の小角突起自体も肥厚し、動かなくなっていた。

もう喉頭の機能は回復しないだろうと予測されるので、永続的気管開窓術を行った。

この手術は立位でも行えるが、馬の首の下での上を向いての手術になるし、丁寧にやらないと肉芽が出て再手術を繰り返すことになるので、全身麻酔でやりたい。

初めてやった頃は、気管から呼吸していて、冬の北海道の寒さに耐えられるか心配だったが、今までやった馬でそういうトラブルは聞いたことがない。

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全身麻酔は最近よく使っているプロポフォール。

覚醒が良いのが利点だが、呼吸抑制があるので油断できない。

去勢などの決まった時間で終わる手技だと良いが、外傷縫合やその他の手術のように手術時間の予測ができないと麻酔の深さや長さの調節がしづらいかもしれない。

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その他に、1歳馬の前肢の腫れの超音波検査とX線撮影。

2歳馬の骨盤のX線撮影。

入院厩舎に入院2頭。

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そして夜に結腸捻転。

UEFAチャンピオンズリーグもアジア杯なでしこも観ている余裕はない(涙)。

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P5256247P5256253

 

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