馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

経膣分娩が不可能な奇形の難産

2020-03-25 | 繁殖学・産科学

夜中に電話で起こされた。

が、すぐ切れた。

折り返し電話すると、帝王切開するということだったが、牧場がやはり帝王切開まではしない、と判断したとのこと。

夜中の出勤をしたら、もう諦めた馬を運び出すところだった。

後肢から産道に入ってきていて、前肢も産道へ来て、頭は触らない、とのこと。

解剖したら、尾位に見える。

しかし、前肢も産道へ向かっており・・・・

そして異常に細い。

この格好で子宮に入っていた。

首の湾曲、前肢の発達異常と変形。

後肢も形がおかしい。

19歳の繁殖雌馬だ。

もう子宮の中で正常な子馬を育てる能力がなかったのかもしれない。

その馬を帝王切開して助けて、20歳で種付けして21歳で無事分娩させられる、と期待するのは無理だろう。

            ///////////

東京オリンピック2020の延期が発表された。

仕方がないことだろう。

私はそもそも東京でオリンピックをやるって、どうなの?という派だった。

(手伝って欲しいと言われ、やると決まっているならできるお手伝いはすべき、とも思っていたがそれはまた別な判断)

でも、ことここに至っては、この世界的な困難に打ち勝って、立派な大会として成功させよう!と強く願う。

東日本大震災からの復興のオリンピックというより、

人類が未曾有の困難と闘った記念のオリンピックになるだろう。

それも、来年、コロナウィルスのパンデミックがコントロールされていて東京オリンピックが開催されれば、だ。

頑張ろう!

(って言うか、できるだけ家に居よう!っていうだけだ;笑)

                ー

そして多くの人の命がかかっている。

甘く見ない方が良い。

日本はまだコントロールできているように見えるが、いつ感染爆発するかわからない。

若い人も真剣に捉えた方が良い。若い人だって重症化する可能性がある。

                ー

「アスリートファースト」という言葉も聞くが、私はこの状況では違和感を感じる。

スポーツより大事なことがある。

今は、そういう事態だ。

 

 

 

 



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2020-03-25 20:49:20
 30歳の雌馬に会ったことがあって、そのプライドや気迫に圧倒されたものでした。仲良くしてくれて嬉しくもありました。
 ここまで大きくなれたのなら、ある時点からこうなったのでしょね。
 19歳。うまく育たたなかった子と命を終えたのですね。産地の競走馬はいろいろと大変そう。関わる人も。
 
 オリンピックは選手なしでは、、、。選手だけでも、、、。
 hig先生、来年開催の暁には(明けない夜はないらしい)おんまさんたちのためにお役目を果たしてくださいませ!
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2020-03-27 07:10:32
この肢の細さから行くと、分娩予定1ヶ月以上前でしょうね。

スポーツの祭典は、世界が平和で仲良くてこそ、だと思います。アスリートファーストが大事ですが、今はそれより大事なことがあります。
返信する

コメントを投稿