▼夜の飛行船

原宿『クレヨンハウス』の中庭に出たら
暗い夜空から機械音が降ってくるので
空を見上げたら巨大な飛行船が浮かんでいた



船の上から身を乗り出して
暗く深い海の底をのぞき込んだら
巨大なクジラが見えたなどという体験に近いかもしれない。

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▼鳥と紙飛行機

月一度のマンドリンレッスンのため上京した友人は
最近紙飛行機を折って飛ばすことに夢中になっているそうで
妙齢の女性になって男の子の遊びに目覚め
「おもしろい!」
と目を輝かせているのがおもしろい。



紙飛行機は羽ばたいて飛ぶわけではなく
人の腕による押し出し力を揚力に換えて舞い上がるのだけれど
羽根で空気をつかまえることによって
宙に浮いて滑空状態に入っているのを見るのが心地よく
高度一万メートル近くを飛ぶ飛行機から目撃されるという
高所を飛んでいるツルの姿は綺麗なんだろうなと思う。

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【桂才紫と秋葉原寄席】

【桂才紫と秋葉原寄席】

理科の月刊誌編集をしている女性が、仕事のファックスに混ぜて落語会のチラシを送信してきて
「こんな会もやってます。いかがですか?」
などという。


突拍子もないものが送られてきて驚いたので
「なんであなたが落語なの!?」
と聞いたら
「わたし落語が好きなんで手伝ってるんです」
などと意外なことを言う。

「なんであなたが……!?」
と人を喜ばせる意外な一面を持っていることは、なかなか素敵なことだと思う。

   ***

午後5時追記。

清水落語王国の人々に上京して聴きに来ないか(飲まないか)とメールを書いたら残念ながら予定が入っているという。
返事のメールに本日4時20分頃清水の上空にかかった珍しい虹の写真が送られてきた。


東京に行けないかわりに清水に二重橋がかかりました……おあとがよろしいようで。

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▼表皮の延長

女子フィギュアスケートなどを見ていると
ずいぶん大胆に背中や胸をあけているなぁとドキドキし
よく見ると肌色の肉襦袢で表皮を延長したものなのでがっかりする。



   ▲11月9日、文京グリーンコートにて。

スケート靴まで肌色の肉襦袢で覆ってしまうと
もの凄く足が長く見えるのでなるほどなぁと思い
それでも長さが足りない人は下半身すべてを
フィットした肌色の肉襦袢で覆っていたりするけれど
スッポンポンで滑っているようには見えないのは
そんなことはあり得ないと思う理性のせいだろう。

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▼三の酉

今年は最初のお酉さんが11月6日にあり
酉の日は12日ごとにめぐってくるので
三の酉まである年になる。
三の酉がある年は火事が多いという言い伝えがあるが
別段根拠はないらしい。



「御承拝の方にはおみき差上げます」
という言葉に心惹かれて義父母を誘って
出掛けてみたお酉さんの夜もあった。
三の酉の年はサントリーがお酒を提供するというのも
宣伝としていいんじゃないだろうか。

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▼芸術の秋

“芸術の秋”が唄い文句の季節になると
各地で“現代美術”の展覧会が開かれたりし
“現代美術”が今この時に与える衝撃を持ち得た時代の
カビ臭い模倣を見せられているような気がしてげんなりする。


   ▲巨大な物体を梱包する現代美術家クリストばりの
    マンション改装風景も珍しくなくなった。
    期せずして本郷通りに1本だけ飛び出した
    BSアンテナが芸術的味わいを産み出している。

テレビのニュースを見ていると
「ああこれも芸術かとびっくりしました」
などと、そういうものにいまだに感心する素朴で善良な人々が登場し
そういう人々を相手にアーチストなどと名乗っている人々を見ると
田舎の村祭りを選んでやってくる
ある種の香具師(やし)に似ていると思う。

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【橡面坊】

【橡面坊】

郷里静岡県清水の清水銀座にかつてあった『エコー』というレコード店の袋を持っている友人と、清水駅前銀座の『はまや』でギターを買った友人と記憶の突き合わせをしていたら、現在支那ソバ『りょう』がある場所の話になり、その前は『ロリエ』だったという話になったので、『ロリエ』のあと『とちめんぼう』というピザの店だったことがないかと聞いたら。『はまや』でギターを買った友人は、今も『とちめんぼう』の電話帳を使っているそうで、携帯で撮影して送ってくれた。
『とちめんぼう』は『橡面坊』と書くのだった。


宅配もしていたらしいけれど最近の宅配ピザチェーンのピザとは一線を隔す、アメリカンタイプではないイタリア的なおいしいピザの店だった記憶があり、ピザ好きだった母親によく連れて行かれた。
ああ、なつかしい。

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▼バラに逢う

サクラの花は見に行っても
バラの花は見に行くもんじゃないような気がする。
近所にバラの名所があるので出掛けていっても
花が傷んでいないタイミングに遭遇するのが難しい。
 


  ▲豊島区駒込にて

かえってひとけのない路地裏を歩いていて偶然、
ちょうど見頃のバラに逢うことがあり、
その方がドキッとするほど嬉しかったりし
人と人との出会いも似ているかもしれない。

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【『エコー』と『すみや』と『あかほり』と『はまや』】

【『エコー』と『すみや』と『あかほり』と『はまや』】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2008 年 11 月 5 日の日記再掲

清水の友人が送ってきた『すみや』のレコード袋

主に中学から高校時代の静岡県清水市、そして大学時代の東京で買いためたレコードが段ボールに数箱あるので、パソコンにレコードプレイヤーをつなぎ、仕事の合間に取り込んでデジタル化している。

最近はほとんどの楽曲が CD 化されて売られているけれどわざわざ買うこともないという気がするのと、古いレコードがたてる微妙なノイズが懐かしくて好きなので、最近は埃をわざと払わずに録音したりしている。そうすることで世界でひとつだけのオリジナルになり、パチパチという雑音の中に過去の思い出がはぜる。

そういう古いレコードの中にひときわ雑音のひどいレコードがあり、それらは清水港を出港した漁船員がマグロ漁の長い遠洋航海のあいだ船内で聴いていたものであり、航海を終えて上陸し、母親が営んでいた飲み屋を訪れるとき手土産にくれたものだ。外洋を航海してきたレコードということになる。

再び出港が近づくと漁船員たちは清水市内で買い物をし、『トラヤ』で山ほど買い込んだ衣類を担いで船に運び込んだりしており、市内に何軒かあったレコード店ではシングルレコードをひとかかえも買っていく姿を見かけたものだった。そういうこともまた清水の景気を支えた時期があった。

我が家にある『あかほり』シングル盤の袋

この袋の裏面には清水にやってきた歌手三島敏夫(顔が三島由紀夫に酷似)のサインを貰っている。

僕は主に清水駅前銀座の『あかほり』でレコードを買い、『あかほり』にないときは斜め向かいの『はまや』で買っていた。

友人たちは清水銀座の『すみや』を利用していた者が多く、どうして『あかほり』だったかというとおやじさんの人柄が好きだったのと、レコードを買うついでに奥にある憧れのオーディオ機器を眺めるのが楽しみだったからだ。

友人のひとりは『はまや』がご贔屓だったそうでフォークギターも『はまや』で買ったといい、『はまや』の店内でギターが売られていた記憶がないので聞いたら、ギターは天井から吊るして売られていたのだという。

友人が送ってくれた清水銀座『エコー』のレコード袋

人の記憶というのは不思議なもので、別の友人が『エコー』という名のレコード店の袋を持っていて写真に撮って送ってくれたのだけれど、その店の名前に記憶がない。住所が銀座四丁目ということは戸田書店の並びなのだけれど、本当にそんなところにレコード店があったのか、あったとしても僕が高校を卒業して清水を離れた後ではないかと『はまや』でギターを買った友人に聞いたら、戸田書店並びにかつてあった『つり好』という釣り具店のとなりあたりにあり、僕が清水にいた時代にもあったはずだという。

友人が送ってくれた清水銀座『エコー』のレコード袋

記憶というものは曖昧でもあり『すみや』があった場所はどこだっけという話になると洋服の『てんとうむし』のある場所だったのではないか、いや『てんとうむし』のところは楽器の『すみや』で、レコードの『すみや』は『エコー』と『つり好』の正面だった、などと右往左往し、いずれにせよ記憶の中の『すみや』と場所がかなりずれている。記憶というのはそんな風に勝手に欠落させたり変形させたりしてできあがっているので、友人たちとつきあわせてみるとひどく違っていておもしろい。

『はまや』のレコード袋の写真が手元にないと言ったら『はまや』でギターを買った友人が店に行っておねだりしてくれたが、今は出来合いの袋を使っているという。

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▼めんどくさい

よく知らないのだけれど、外食産業ではつけ麺がブームなのだろうか。
東京の町を歩いていると新規開業店につけ麺の店が多く、
昼食時に行列ができている店はラーメン屋よりつけ麺店が多い気がする、
 
80歳になる義母が流行に敏感なはずはないけれど
つけ麺を家庭で食べさせたらとても気に入っているようで
たべながら「おいしい」と言う余裕がある。
ラーメンをすするよりめんどくさくないんじゃないだろうか。
 


雨後の竹の子のようにつけ麺店が乱立する光景は
もう郷里静岡にも波及しているのだろうか。
昼食時にざるやもりをすする会社員で蕎麦屋が満員になる
都会から波及していくブームのような気がする。
 
新宿区百人町にある出版社にデータを届けた帰りに
『バクダンヤ』という凄い名前のつけ麺屋を見つけ
店の前を通りすぎる時にちらっと見たら
『バクダンヤ』は広島の店らしいのでさらにびっくり。
最近の若者はびっくりしないんだろうか。



『バクダンヤ』のそばにあった蒙古タンメンの店。
蒙古タンメンで思い浮かべるのは内蒙古の
羊の骨でダシを取り1億年前の岩塩で味付けした……
などという高原の遊牧民族的な簡素なタンメンを思い浮かべるけれど
「辛うま日本一」などと書かれていた。
だから赤いのか。

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【祝真打昇進】

【祝真打昇進】

11月3日(文化の日)、清水テルサで郷土出身の落語家春風亭百栄(ももえ)の真打昇進披露会が開催された。

清水落語王国の友人から招待(実は手伝い要請だったらしい)されたので、是非行きたかったのだけれど仕事が忙しくて断念した。


今朝ほどその友人からメールが届き、大盛況のうちに無事終了したとのことで証拠写真を見てひと安心した。
ああいっぱい入ってる、大漁だ。


来春には清水落語王国も手伝って新たな催しの計画もあるという。
生まれ故郷での真打昇進お披露目会を無事に済ました落語家の今後の活躍を期待したい。

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▼指導者の名前

友人がラジオを聴いていたら
国際関係学部客員教授をしている某国際ジャーナリストが
このところの日本の総理の名前は
福田総理大臣=Fuckだ総理大臣
麻生総理大臣=AssHole総理大臣
外人の耳にはそう聞こえるのでひどいもんだと言っていたという。
ホントか?



そんなことを言うなら
オバマは「オバマ候補を勝手に応援する会」のある日本海側の田舎町だし、
マケインは負け犬の遠吠えに似ているし、
クリントンは栗きんとんの言い間違えみたいだし、
福田にも麻生にもオバマにもマケインにもクリントンにも
たかが名前のことでとやかく言われたくないよね、と言ってやりたい。

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November Steps

November Steps

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▼大宴会と大不況

親たちの介護が始まって外で飲み歩く機会が少なくなり
ましてや友人たちとの大宴会とも縁がなくなって久しい。

久しぶりにあった友人たちとダイニングバー貸し切りの宴会をし
二次会は16名になって飲み場所を探して夜の街に出た。



郷里静岡県清水でも東京でも
小さな飲み屋は不況のため閑古鳥が鳴いているけれど
大きい居酒屋チェーンをのぞくと満員盛況の
大宴会がどこでも繰り広げられていてびっくりする。

どうしてこんなチェーン店で飲んで楽しいんだろうと友人に聞いたら
「だって安いんだもん」という。なるほど。
大きくなることで無理して安くしている店で景気のいい宴会をしても
景気を良くするための潤滑剤としてお金が世の中にまわらないわけだ。

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▼惑星を揺るがす時が来ようとも――

10月31日、仕事帰りに見た景色。
本郷通り沿いにある古書店のかざり窓。
どうしてこれらの本を選んで取り合わせたのかと
書店主の意図を解き明かすように立ち止まってしばらく眺める。



夕暮れが近づいてきたので
「(わかんないけど、じゃ、続きは家に帰ってから)」
と心の中で呟いて立ち去れるのはデジタル写真の時代ならではのこと。

  あの夏の少女のことは
  一生忘れない。
  惑星を揺るがす
  時が来ようとも――

何となく気になる帯のコピー。

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