要注意の場所


D800E + AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

大きな画像

先日谷中の墓地を散歩した。
帰宅後、疲れてソファーで寝てしまった。
人気の無い墓地を、ひとりで歩いたのが原因かもしれない。
あそこは人によっては要注意の場所だ。

吉村昭氏は、墓地を抜けて日暮里の駅にかかる橋の上で、急に何かに引き込まれる様に、飛び降りたいという衝動に襲われた体験について書いている。
その場にへたり込んでしまい、通行人から大丈夫かと聞かれたという。
母親から、知人の女性があのあたりで飛び降りて亡くなったという話を聞いたこともある。
ずいぶん昔の話だが、絵のモデルをするほどきれいな女性だったという。

僕の場合は、特別霊感が強いわけでは無いので、墓地を歩いたからといって、まず何かが起きるということはない。
若い頃一度だけ、ウィーン郊外の墓地にグスタフ・マーラーの墓参りに行った時に、墓地の入り口に一歩足を踏み入れた瞬間、頭の上にぐっと重いものが被さってきたのを感じた事がある。
あれは確かに異様な体験であった。
しかしそれ一回だけで、以降は墓地でおかしな目に遭遇したことは無い。

霊感が強くて、何かと霊に憑かれてしまうような人を見ると、親切で面倒見のいい人が多い。
この人なら何かしてくれる・・と、霊から期待されるのではないかと思う。
その点、僕の場合は、この人に何を言っても無駄・・というタイプなので(笑)、あまり相手にされていないのだろう。

そういえば、墓地を歩いていると、犬を連れて散歩している女性などと遭遇するが、彼らは大丈夫なのだろうかと思う。
毎日のように歩くわけだから、霊の方も、また来たな・・と思っているはずだ。
犬が墓地を怖がるという話も聞いた事は無い。
亡くなった人が、生き物の姿を借りてメッセージを伝えることがよくあるが、体を貸した動物の方は平気なのだろうか。
何とも思わないから、墓地を楽しそうに歩けるのだろうが・・・

広い墓地に行くと、けっこうな数の野良猫がうろうろしている。
参拝者の置いていくお供え物を食べているのかと思ったが、猫が生きていけるほど食べ物があるようには見えない。
一度谷中で、野良猫が鳩に飛び掛って仕留めるのを見たことがある。
広くて自然が多いから、獲物を捕獲しやすい環境なのだろう。

いつもあまり考えずに、散歩のコースに墓地を選んでいたが、本当はもう少し気を遣うべきなのかもしれない。
昼間とはいえ、誰もいない寂しい墓地で、墓石の間をひとり歩くのは、さすがに少し気味が悪かった。
勲何等・・などと書かれた昔の人の立派なお墓が、ボロボロになっているのを見ると、かわいそうだなと感じる。
だが、そこで足を止めて長く留まるのは、避けるようにしている。
迷い込んできたこちらの姿を、多くの目が興味深そうに眺めているような気がするからだ。
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )