ウィルバート


D800E + AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

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アレン・エドモンズのウィルバート・コンフォート・シューズ。
アッパーの革にクロムエクセルを選べるカジュアル・シューズだ。
直接米国のアレン・エドモンズ社に注文した。

日本に輸入されることの無い幅広の3Eサイズを発注してみたところ、在庫は無いが、数週間待ってもらえれば作れるという返答。
昨年暮れに発注したところ、ほぼ予定通りの日数で仕上がり、今年になって到着した。
この手の特殊サイズを、メーカーが在庫として持つことは少ないと思うが、待てば作ってくれるようだ。



アレン・エドモンズは、オールデンと並ぶ米国を代表する靴メーカーである。
メーカーの規模としては、アレン・エドモンズの方がずっと大きい。
多民族国家らしく製品の展開は広大で、サイズや材質も幅広く揃えてある。

同社のウエブ・サイトは、機能面で充実しており、カスタムオーダーの靴なども、画像を見てイメージしながら発注することが出来る。
特筆すべきはユーザーのレビューで、機種ごとに購入者の評価が見られるようになっているのだが、その中にサイズに関する意見を集計する機能がある。

欧米の靴のサイズ表記は、足の大きさではなく木型が基準になっているため、表記だけでは実際の大きさが判断できない場合が多い。
例えば同じF幅でも、木型AのFと、木型BのFでは、大きさが違ってくる。

アレン・エドモンズのサイトのレビューでは、その靴の幅や長さが大きめなのか小さめなのか、実際に使っている人たちが投稿したデータを自動集計し、平均値を表示する仕組みになっている。
サンプル数が多ければ多いほど、現実に近い結果が得られる。
これはネットならではの機能を駆使した画期的な方法ではないだろうか。

一方で製品に対する評価の欄には、否定的な意見の投稿も少なくない。
製品によっては、度々クオリティの低さが指摘されており、その度に同社のカスタマー・サービスからの謝罪のメッセージが書き込まれる(笑)
もともと同社の製品は、カタログの写真がやけにきれいに撮られていて、現物を見た時の落差が大きい。
とても写真と同じものとは思えないこともある(笑)

ところがレビューのページには自分で撮った写真を載せることが出来るので、実物はこんな感じであると、細部のアップの写真まで公開する人がいる。
ユーザー側も、評価を共有することを重要視していて、積極的に書き込んでいるのがわかる。
そういう辛らつな意見が、隠すことなく見られること自体は、画期的と言えるのだろうが・・・(笑)

実際の製品は、独特の雰囲気を持っている。
オールデンなどと共通したもので、これぞアメリカン・・と呼びたくなるような存在感がある。
確かに細部の作りは少々荒っぽく、そういうことを気にする人には向いていない。
日本製の精密感のある作りの靴の、対極にあると言っていいだろう。
特に材質がクロムエクセルの場合は、原皮に元々傷やムラがあると思われ、逆にそれを売りにしている観さえある。

それでは同社の製品が好きではないかというと、全くその逆で、これがまた何とも言えない魅力を放っているのだ。
荒々しいながらも、無骨な職人が黙々と作り上げたような、手工芸品的な趣がある。
これを否定するのは簡単であるが、個人的には他にない個性と感じる。
沢山はいらないけれど(笑)、ひとつくらいは持っていたい・・という気持ちになる。

いかにも個体差がありそうな外観で、量産される工業製品が持つ安定性をあまり感じさせない。
逆にそこが、独自のアナログ的な雰囲気の理由になっている。
これこそが伝統なのかもしれない。
普通こういうものを作れと言われても、簡単には作れない(笑)
サイトはデジタルを駆使しているのに、製品はアナログ的というアンバランスさが面白い。



ウィルバートは、同社の製品の中でも、ユーザーの評価が高い製品である。
同社の靴の中で一番履き心地がいいと賞賛する意見もあり、投稿人数が多いにもかかわらず、評価の平均はかなりの高得点である。
どちらかといえばカジュアル系の靴であり、仕事の時に履くのには必ずしも適してはいない。
材質にクロムエクセルが選べることも、この靴の性格を物語っている。

アッパーは、ゴールデン・ブラウンという、少し黄色みのある茶色のクロムエクセル。
(それ以外にブラックとブラウンのアウトランド・レザーがラインナップされている)
経験上、クリームの色に染まりやすい革なので、オリジナルの色を残すためには、手入れ用品の選別には気を遣う必要があるだろう。
しばらくは無色のクリームを使う予定だ。
ジーンズともチノパンともスムースに溶け込む、なかなかいい色である。

しなやかな革質のクロムエクセルの貢献も大きいのだろうが、コンフォートというだけのことはあり、とにかく抜群に履きやすい靴である。
履き口には厚手のクッション材が挿入されており、ナチュラルラバー製のソールの底には、同社独自のパターンが刻まれている。
このソールは、適度に弾力があり、歩くとしなやかに曲がってくれ、その履き心地が素晴らしいと思った。
靴紐は手に食い込むような細いものが付属していて、ちょっと緩みやすいのだが、クラシカルな雰囲気を出すのに一役買っている。

サイズは7ハーフの3Eを選んだが、幅はほぼ適切、長さは少し余裕がある。
例によってヒールカップは大きめなので、厚手の靴下を履いてちょうどいいくらいだ。
踵がゆるいのはいつもの事で、海外の靴は、体型の違いからか、どうしてもその傾向が出る。
どのサイズを選んでも、完全にフィットする・・というのは難しいのかもしれない。
オールデンのブルーチャーに相当するほど履き心地の優れた靴なので、これで足に完全に合う形が選べたとしたら、どんなに素晴らしいだろう・・と思う。
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