シャノン


LEICA X1

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チャーチのシャノン。
僕のもっとも好きな「外羽根式プレーントゥ」。
その代表格として、大抵この靴と、オールデンの990(9901)あたりが取り上げられる。
990はコードバンであるが、こちらは牛革(ガラスレザー系であるが)であり、それぞれが一方の雄と言えるだろう。
外羽根式プレーントゥとしては、ひとつの終着点と考えていい。



雨に強いダイナイトソールのものを探していたが、たまたま市場に在庫の無い時期だったらしく、しばらくみつからなかった。
ところが、急に安価に売られているものと巡り合った。
しばらくダイナトソール仕様は在庫が切れていただけで、案外これからは出回るのかもしれない。

チャーチの高級ラインであるカスタム・グレードの製品。
作りはさすがにしっかりしていて、僕が多く持つ2、3万円のラインとは一線を画している。
品質的には、やはりオールデンと同格のクラスであるし、トリッカーズのカントリー・コレクションとも被る部分がありそうだ。

シャノンの場合、外観は普通の紳士靴であるが、実際にはカントリー系の靴の作りに近い。
表面は、光沢加工の施されたポリッシュド・バインダーと呼ばれるカーフであり、通常のカーフよりは耐水性を持っているようだ。
ソールはダブルレザーであり、手で持つとずっしりと重い。(このサンプルは、前述のようにダイナイトソール仕様)
タン(舌革)の両サイドは柔らかい革で塞がれていて、張り出したコバにもストームウェルトが採用されており、水などが浸入しづらくなっている。

手入れが楽で雨に強い・・という、実用性に重点が置かれた設計になっているのがわかる。
そこが一般のプレーントゥの靴との違いであり、この靴の存在を際立たせている特徴である。
ポッテリとした形状のラストが使われているのも、カントリー系のイメージを強めている。
スーツの時に履こうと考えて購入したのだが、一見地味ながら、なかなかの存在感があるので、履いていても満足度が高い。

並行輸入品では幅広(ワイズG)も用意されているのだが、今回はダイナイトソール仕様という条件が加わったので、普通幅のワイズFしか選べなかった。
UK7のワイズFというと、通常僕の足には少し小さめになるのだが、木型が結構幅広なので、何とかなるのではないかと踏んだ。
僕は普段ゆるく履く癖があるので、今回は足にピッタリのものにしたかった。
交換可能とはいえ、通販では交互に試せないのが辛いところだ。

到着したシャノンに恐る恐る足入れしてみると、シュボッと空気の抜ける音がして足が靴に入った。
余裕はほとんど感じられず、型にはめたようにピッタリである。
ヒールカップが意外にタイトで、踵に吸い付いてくる。
そのため履き口も小さめで、靴べらで滑らせながら、足を強めに押し入れてやる必要がある。

見た目通り、Fとはいえ幅は広めに作られており、UK7は僕の足にはタイトではあるが不快ではない。
いいのか悪いのか、僕の足の形に合っているようだ。
いつもなら、もうひとサイズ上を選ぶところであるが、今回はこれで行ってみよう、という気になった。

実際に一日歩いてみると、甲が少し低めなようで、足の上面が当る。
僕としては例外的なくらい、羽根も開き気味になる。
しかし靴擦れになる事は無く、しばらくすると、甲の当たりもほとんど気にならなくなった。
恐らくさらに使い込んでいく内に、足に馴染んで消えてしまうだろう。

ビジネス用として、本当に買ってよかったと思える靴だ。
やはりこのクラスの仕事靴を、一足は持っていたい。
足元を質のいいもので決めると、すべてが一段引きあがる感じがする。

たまたま青山で仕事があったので、帰りにブリフトアッシュに寄ったところ、その場で磨いてもらうことが出来た。
ガラスレザーの場合、表面がコートされていて、与えた栄養分が染み込む事はほとんど無いので、クリームやワックスは主に光らせるために塗ることになるという。
もともと光沢処理されたレザーをさらに磨きこんだので、仕上がったシャノンはかなり強い光を放ち、周りの景色がそのまま映りこんでしまうほどの鏡面仕上げになった。
まるでエナメルの靴のようで、さすがに少し気恥ずかしさを感じながら歩いた(笑)
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