大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年01月19日 | 植物

<2931>  大和の花 (984) イボタノキ (水蠟樹)                       モクセイ科 イボタノキ属

             

 山野の林縁などに生える落葉または半落葉の低木で、よく分枝して高さが2メートルから数メートルになる。樹皮は灰白色から灰褐色で、丸い皮目がある。葉は長さが2センチから7センチの長楕円形で、先は尖らず、基部はくさび形。縁に鋸歯は見られず、質は薄い。極めて短い葉柄を有し、対生する。

 花期は5月から6月ごろで、新枝の先に長さが2センチから4センチの総状花序を出し、白い小さな花を円錐状に多数つける。花は長さが1センチ弱の筒状で、先が4裂する。液果の実は広楕円形で、秋に黒紫色に熟す。イボタノキ(水蠟樹)の名は、この木に寄生するイボタロウカイガラムシが分泌するイボタ蠟が皮膚に出来た疣を取るのに効くことによる。水蠟樹は漢名。

   北海道、本州、四国、九州に分布し、朝鮮半島から中国にかけて見られるという。大和(奈良県)ではほぼ全域に自生するが、北中部に多い感がある。刈り込みが容易で、生垣や庭木にされる。材は緻密で堅く、印材楊枝などに用いられる。イボタ蠟は加工して敷居に塗って滑りをよくしたり刀剣の錆止め、蝋燭などに用いられて来た。

   また、薬用としても知られ、生薬名を虫白蠟(ちゅうはくろう)と言い、皮膚の保護や止血に用い、これで疣が取れる。 写真は枝の先から出た花序の花(左)、緑色の若い実(中)、黒紫色に熟した実(右)。

  底冷えや今日はカレーの日なりけり