<2924> 大和の花 (978) サギスゲ (鷺菅) カヤツリグサ科 ワタスゲ属
湿地に生えるワタスゲ(綿菅)の仲間の多年草で、地下茎を伸ばして群生する。細長い根生葉とともに、高さが20センチから50センチほどの細い花茎を立てる。花期は6月から7月ごろで、花茎の先に2個から5個の小穂を出し、小穂全体が倒卵形の白い綿毛の束状になる。群生することによって白い小穂がシラサギの群れのように見えることからこの名が生まれたという。
日本では本州の近畿地方以北と北海道に分布し、朝鮮半島からユーラシア、北アメリカ大陸の周極帯に広く見られるという。寒冷地においてはワタスゲとともに生えるが、近畿地方ではサギスゲしか見られないので、サギスゲの方がより温暖地への適応力があるとされている。大和(奈良県)では曽爾高原のお亀池の湿地に見られ、地球寒冷期の遺存種ではないかと言われ、学術的に貴重な存在として、保護の対象になっている。
昨今地球温暖化が問題視されているが、お亀池のサギスゲは温暖化の影響によるものか、年々少なくなっている感があり、奈良県版レッドデータブックには絶滅寸前種としてあげられている。 写真は帯状に群生し、花期を迎えたサギスゲ(左・中・2008年撮影)と小穂のアップ(右・2006年撮影)。 冬の月孤高と言へば孤高なり