大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年01月03日 | 植物

<2916>  大和の花 (971) アオギリ (青桐)                                          アオギリ科 アオギリ属

             

 中国南部原産とされる落葉高木で、幹は直立して高さが15メートルほどになる。樹皮が平滑で、緑色を帯び、葉が大形の掌状で、浅く3裂から5裂し、ゴマノハグサ科のキリの葉に似るのでこの名があるという。大和(奈良県)では点在的に見られ、野生状態のものもあるが、みな植栽起源と言えるようである。

 雌雄同株で、5月から6月ごろ、枝先に大形の円錐花序を出し、黄色が勝った小さな花を多数つけ、1つの花序に雄花と雌花が混在する。花に花弁はなく、花弁状の萼片5個ある。雄花は花糸が合着して円筒状に伸び、葯が先端に固まって丸まり、目につく。雌花は短い柄を有する子房が露わにつき、基部に退化した雄しべが見える。実は袋果で多数に及ぶ。

 別名はアオノキ(青の木)。漢名は梧桐(ごとう)で、『万葉集』には梧桐で作った日本琴が登場する所謂、万葉植物であるが、この梧桐については、詩歌の世界では単にキリとの認識もあることから、ゴマノハグサ科のキリとする考えもある。庭木や街路樹に植えられ、ときに見かける。材は黄褐色で軟らかく、キリほどの耐久性はないが、家具、楽器、下駄などに用いられる。

 樹皮は強く、その繊維は布や縄に用いられる。また、樹皮の中の物質は粘液性に富み、和紙の糊料として知られる。一方、種子は漢方で梧桐子(ごとうし)と呼ばれ、咳止めや口内炎によいという。葉は止血や高血圧症に用いられる。なお、中国の伝説上の霊鳥である鳳凰が止まる木と言われるのは梧桐のアオギリである。 写真アオギリ。左から花期の姿、花序のアップ、若い実、袋果、幹。

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