つきみそう

平成元年に出版した処女歌集の名

早智まゆ李歌集「ひかりのしだり尾」

2021-06-22 | 短歌

 先週、早智まゆ李歌集「ひかりのしだり尾」が、著者より贈られてきました。岐阜県歌人クラブ所属ですから、どこかでお目にかかっているはずですが、直接の面識はありません。お名前が個性的ですから、ペンネームかと思い、中部歌人会名簿で調べるとやはりそうでした。本名もすてきなお名前ですが。「さちまゆり」さんと読みます。毎月の歌人クラブ紙で作品も提出されているはずですから、改めて今月号を拝見しました。作品は、歌集の中身と同じく個性的。それに粒ぞろいです。このような作者にはこれまでお目にかかってしません。俳句は号で名乗る人が多いのですが、短歌はせいぜい漢字を仮名にするとか、その逆であったり、旧姓を名乗る人とかありますが、こんなに個性的な方は初めて。気負いが感じられます。

 結社では早い時期に新人賞を受けておられます。どのページをめくっても遜色ない出来栄え。全部挙げても異存はないのですが、紙数が足りません。一部のみといたします。ここまで抽象化できるのは、天性の才能でしょうか。これからの作品も楽しみです。歌人クラブ紙面から目が離せません。どれもすらすらと詠まれ、苦吟のあとが見られないのが凄いです。

 作品にも登場するように、生前の春日井建さんの指導を受けておられました。咽頭癌により早世されました。六首目に挙げている作品の一部が題目となっています。204頁。短歌研究社発行。

だあらりとダリの時計が指す時間 犬の温みが眠剤となる

裏白の緑さを飾る床の間の書院にひとり亡き父の坐す

エクセルはべうべうと海 利のうすき数字を日ごと夜ごと浮かばせ

たらちねの末期の呼気をふふみゐるこの朝の気をゆつくりと吸ふ

春日井建歌集携へミラノからヴェネツィアへゆく夏至のイタリア

陽をあはく負ふみどりごが泣き止みてひかりのしだり尾つかまむとすも

ホルストもサラサーテも厭ふ耳 催花雨ふるをしつとりと聴く

 

 

 


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2 コメント

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ブログ記載ありがとうございました。 (早智まゆ李)
2021-07-10 10:10:01
 松原様 こんなに早い時期に、こんなに丁寧に読み込んでいただき大変恐縮しております。その上、お手紙に添えて温かなお気遣いをいただき、早速、昨日コメントを入れましたが何故か載らなくて。ブログなどは疎くて、投稿デビュー失敗で申し訳ございません。今度はうまくいきますように。
 現在は読んでいただいた方からのお手紙を読みながら、お一人お一人にお礼状をしたため、自分なりの反省会を開く毎日です。
 どうぞ、これからもよろしくお願い申し上げします。
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早智まゆ李さま (matsubara)
2021-07-10 17:50:00
ここでは、はじめまして。
ブログを初めて18年目になりまして、
15冊は歌集は贈呈されていると思います。
しかし、著者自らコメント頂きましたのは
初めてです。歌人はあまりネットはされない
ようですが、その中で、さすが・・・
お若いです。
これからもご活躍下さい。応援しています。
こちらこそよろしくお願いします。
返信する

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