朝刊を取りに玄関を出る。久しぶりに全天青色、ちょっと冷たいが気持ちよい風が通り抜けた。風を追っかけるように何羽ものツバメが飛び去る。が、すぐに舞い戻って来る。昨日は路面すれすれに飛んでいたが今日は電線より高いところを飛ぶ。弁慶が謝ったというツバメの早業だから、見ていて飽きないのだろうか。
久しぶりに数多くのスズメの姿も見た。上空で飛び交うツバメを気にすることなく路上で何かをついばんでいる数羽のスズメ。しばらく見ていると、2羽のツバメが低空でスズメの頭上をかすめるように複数回飛び去った。スズメは向かいの家の屋根に飛び去った。見ると、屋根には群れになったスズメが居る。対峙するかのように向かいの電線にツバメが止まっている。
このところ、近くで上手くはないが「ホーホケキョ」と鳴いている鳥がいる。姿は見えないが一定の間をおいて繰り返し鳴く。1度だけ姿を見たのは向かいの寺の本堂の屋根の高いところ。気づいたらすぐに飛び去ったが鳥の名は分からない。ある文章でその鳥は「モズ」と知った。漢字ではあの速贄(はやにえ)を作る百舌で、百舌は物まね上手とあるから、百の舌なのか、と納得した。
日の出直後の短い時間だったが、飛びかう鳥を眺めながら生き物の軽やかな姿にわが身が軽くなったような錯覚に苦笑する。こんな言葉がある。「仕事が楽しみなら人生は極楽だ。仕事が義務なら人生は地獄だ」。あのツバメたちは、早朝からどんな思いで飛んでいるのだろうか。会話できるものなら聞いて見たい。