何年前になるか知人が「隣の家が解け更地になった。売却されるらしいが何が建つのか、どんな人が見えるのか気になる」と話していた。その後出会った時に「戸建てでいい隣人ができた」と喜んでいた。そんな似たような思いを何度かした。というのは我が家の近くでも何度か更地が生まれ、何が建つのだろうと思ったことがある。
数年前になるが、多くの利用者が並び、開場前は社交場のようになっていたこの近辺で最後の銭湯が焼失した。それは我が家の斜め向かいだった。煙突からの煙、それは藩政のころからの古い町並みによく似合っていた。焼失後しばらくして解体され更地となった。銭湯の跡なので広い空間が出現した。
空き地のまま年数が過ぎた。立ち入り禁止の看板や綱張などもなく、近くの子どもがたまにかっけこするくらいだった。銭湯という人の集う場所が空間に変わったが次第に違和感を感じなくなっていた。が、住宅地にある広い空き地がこのままではないだろう、そう思っていた。
秋になって不動産関係企業の看板が立ち、何が建つのかね、と近所の人と話していた。しばらくして隣地の人から、駐車場になると教えられた。これは意外だった。人の住まいが建つとばかり何故か勝手に思い込んでいた。駐車場に変えるための整地作業の入念さに驚いた。もうまもなく完成しそうだ。