日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

あま酒

2010年11月09日 | 町かど
           

ここは由緒ある神社の一の鳥居を入ったところ。こぎれいな茶店の前にはゴザを敷いた縁台が数脚並び、そこには銀杏の葉数枚が客の代わりにのっている。茶店から若い娘の楽しげな笑い声が聞こえる。

通りがかった旅の一行。「ご隠居、一服していきませんか」「そうじゃのう。銀杏の色も見ごろだし、そうしましょう」。供の者たちは、乾いたのどを潤せると喜んだ。娘らの笑い声が消え「いらっしゃいませ」と転がるようにして笑顔の娘があらわれた。

堀にかかる石橋を渡り、吉香神社正面の鳥居をくぐったところに茶店がある。そこに茶店のあることを知って何年になるだろう。季節ごとに工夫された飲食物が出されている。といって、客になったことはないが、店先のお品書きからそう思っている。

晩秋となり朝夕の風を肌寒く感じる。茶店の屋根よりはるか上から、うどんや蕎麦の品書きを見下ろし、「あま酒」の旗が「飲んでお行き」と棹の先で揺れている。おいでおいでと澄んだ空を背にして呼びかける。

こんな景色を見ると時代劇の1場面を連想する。ここだけではない、公園にはなん個所もある。子どものころの時代劇はロケ、実風景がふんだんに使われた。文明が進み人が自然を変えるとセットやCGが駆使され、風景の時代的深さが薄れた。

それでも「水戸黄門」は続く。同じパターンの繰り返しながら、訪れる土地が毎回違うことや勧善懲悪に徹しているところがポイントで長寿番組なのかも知れない。もうひとつ、今、一喝して正しい世に変える人を欲しているからかもしれない。

(写真:飲んでお行きと誘うあま酒の旗)
コメント (4)
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