周防教会・牧会ジャーナル

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2月13—19日

2022年02月20日 | 日記・エッセイ・コラム

この写真が一番お気に入りやった僕の大親友が逝った。時代劇好きな僕を「殿」と呼んでくれた。牧師のくせにキリスト教が嫌いやった。正確に言えば、こんなキリスト教にしてしまったことが嫌いやった。ジョンレノンもそんなことを言っていたな。だから僕とはとても気が合う男やった。矢野一郎。享年60。

 

2/13(日) 夕方、礼拝堂に中学生のカップルが来てピアノを弾いていた。時々やって来ては大騒ぎをする悪ガキ野郎どもとは雰囲気がちがう。どれくらいの仲なのか覗いてみたかったが、そこは我慢して牧師室に退散した。自分の中学生時代と言えば…。卒業する間際まで、まだカエルを取って遊んでいたっけ。

 

14(月) 耳を疑うとはこのことか。電話の向こうから聞こえてくる恵利子さんのハキハキした声からは悲しい知らせなどとは思えなかった。その足で広島に向かう。ご自宅には本当に眠っているとしか思えないヤノイチの姿があった。つい先日会ったばかりで「また来てね」なんて言ってたがな。冗談きついで。

 

15(火) 冗談にしろ、真剣にしろ、人がしないようなことをして驚かせる破天荒な性格に共感が持てた。そういう点が僕ともよく似ていて、とにかく取り扱いの難しい男やった。骨上げの時、彼の股関節の骨を拾ったのは僕やで。思わず小声で「チンチンのそばや」と呟いた。彼ならきっと笑ってくれるはずや。

 

16(水) ヤノイチのショックは大きいがこんな時に喪に服すのを許してくれるような奴ではない。ちなみに僕の場合、死んだらハチマキをして、瞼の上に目を書いて、ひげも書いて、頬にグルグル巻き、胸に「これでいいのだ」と書いた紙を持たせてくれというのが遺言。だから今週のジャーナルも暗い話題は書かん。

 

17(木) 起きたら雪が積もっていた。こんな日はさすがにバイクは無理やからリフトバスで学校に行く。スタッドレスを履いていても一度ケツを振った。そういえばヤノイチにもバイクの後ろに乗せてやるという約束をしていた。こんなことになるなら二人乗り解禁になる前に違反承知で乗せてやれば良かった。

 

18(金) 今日の気温は10℃まで上がるそうなので当然バイクや。しかし学校に着くと全身が冷え冷え。コーヒーを入れて温まる。思い出すのは僕が聖書の教師になった時、ヤノイチが「参考に」と自分の教材や試験問題をくれた。でもその内容のすごさに僕はすっかり自信を無くしてしまったことを覚えている。

 

19(土) 小学生の頃に合い鍵を作るのが流行った。中学生時代は学校で僕に開けられない鍵は無いほど腕をあげた。ポケットには常に何種類もの鍵を入れていて、いちいち職員室に取りに行かなくても自分で開けまくった。もしも天国というところに扉があって、そこにも鍵があるのなら、僕が全部開けといてやる。


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1 コメント

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Unknown (I)
2022-03-03 22:45:47
教え子でした。
訃報を聞いて、ショックを受けています。
筋の通った、血の通った先生でした。
60歳、あまりにも早いお別れで、お悔やみ申し上げます。
困った時の神頼みで良いと笑っていたことと、何かにすごく怒っている時の声音が思い出されます。
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