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黙示録3174年*読書

2020-10-15 13:36:20 | 本と雑誌

黙示録3174年

著者:ウォルター・ミラー

出版:創元推理文庫

図書館で借りてきました。

人がお勧めしていたので、何も考えずに借りてきたが、壮大な時間と空間、歴史を語っていた。

1971年の本なのでページが外れたり黄ばんでいたりしました。

あらすじはWikipediaが一番わかりやすい。長文にならざるを得ないぐらい壮大です。

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舞台設定

20世紀、全面核戦争『火焔異変 )』が勃発した。さらに、それに続いて核兵器、ひいては科学技術全般を憎む生存者たちによる暴動『単純化運動 (原理運動)』が勃発、知識人、科学者は殺され文明は破壊された。ついには読み書きができる者さえ殺され、あらゆる書物が焼かれるまでになった。(私感:中国の文化大革命のようだなー)

アイザック・エドワード・リーボウィッツは、『単純化運動』から逃れてカトリック教会へ逃げ込み、改宗して聖職に就き、砂漠にリーボウィッツ修道院 を創始し、人類の知識「大記録」を単純化運動から隠して密かに保存するプロジェクトを開始した。

第一部「人あれ」

26世紀。リーボウィッツが残した『大記録』は、宝物のように扱われていたものの、もはや誰にも意味がわからないまま中世の写本のように書き写されるだけとなっていた。(私感:文明が文字のない世界まで徹底的に退化した)

第二部「光あれ」

3174年。暗黒時代は終わり、科学文明の兆しが現れていた。

専制軍事国家テクサーカナ の王族で稀代の天才科学者タデオ・ファーデントロット博士は、リーボウィッツ修道院の『大記録』の噂を聞き、半信半疑ながらも調査に訪れた。

『大記録』を解読し古代の知識に触れた彼は感動する。しかし同時に、自分のこれまでの研究が単なる再発見に過ぎないことに気づき落胆し、『大記録』を秘密にしていたことで修道院長を責めた。

テクサカーナは大陸統一のための大戦争を始め、リーボウィッツ修道院とも対立する。修道院長と博士は、つまり宗教と科学は、言葉では共通の敵権力に対する協力を謳いつつ、理解し合えないまま別れていった。

(私感:文字ができ読み書きができるようになったが、今のような科学までは至らない時代)

第三部「汝が意志のまま」

3781年。人類の文明はかつての水準以上にまで回復し、ついに恒星間移民までが達成された。『火焔異変』の教訓から戦争は国際法により厳しく管理されていたが、ついに大西洋同盟(かつてのテクサーカナ)とアジア連邦の間で戦争が勃発し、ルシファー(核兵器)が使われた。

ニュー・バチカンは、『群ノオモムクトコロ 』計画を実行に移した。ケンタウロス座アルファの植民地に『大記録』のコピーと聖職者の一団を載せた星船を送り、地球が滅んだ時には彼らが教会を継ぐことになる。

リーボウィッツ修道院長ジョン・ジェスラー・ザーチは、修道院で難民者の支援に努めるが、助かる見込みのない被爆者に対する安楽死の是非をめぐって、苦痛が唯一の悪であるとする医師と対立する。

ついに核戦争が勃発、修道院も被災した。ザーチ院長は修道院の倒壊に巻き込まれ、重傷を負って苦痛に耐えながら死んでいったが、死ぬ直前に奇跡を、復活の前兆を目にしたと信じる。

そして星船に乗った聖職者たちは、立ちのぼるルシファーのキノコ雲を見て、「カクテコノ世ハ変ワリユク」と言い残し、星の世界へ、第二の出エジプト行へと旅立っていった。(私感;人の業なのか、、、)

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人類の文明開化とその後に起きる核戦争で人類の大多数が滅びるが、生き延びた者たちは文明や化学を嫌い、書物さえも敵視してそれまで価値があった全ての物を捨て去った。イスラムの原理主義、毛沢東やポルポトなどが陥った科学者虐待、、、。なぜか人類は通常社会と科学などを否定する社会が、相反して出てくるものですね。

その後数千年がたち、遺跡から発掘されるかっての文明の証、記録は意味不明の文書だったが、ようやく天才科学者が出て解読された。天才科学者は今まで私たちが発見してきたものは過去にあったものの再発見に過ぎなかったと驚いた。

その後、数世紀が過ぎ人類が星間移動をするようになり、遠くの星に移民地を作るまでになっていた。その時、また人類の間で核戦争がおき地球の滅亡が始まった。人が死していくときに宗教者と科学者である医師に大きな見解の相違があった。それは生命の自我に対する見解の相違だろう。

壮大なストーリーですが、人が考えられることは、、、必ず現実になる、と言うことを考えれば、このストーリーはこれからの黙示録ではあるが予知であるのだろう。

輪廻なんでしょう。手塚治も同じような漫画「火の鳥」を描いています。手塚治は核戦争で人類が完全に滅びて、人類がいなくなった荒涼とした地球に小さな虫が発生して、それが何千年をへて虫から大きな生き物になり、「人とは言えない」高等動物になり、現在の人と同じようなような文明を築き、そして人類と同じように生き物同士の戦いで、それらが滅びてしまう。ただ荒れた地球のみが残る。そして、また地球に下等生命が起きて、数万年を経てだんだん高等生命物になっていく。壮大な輪廻の世界を描いていた。ただ手塚治の「火の鳥」では文明の輪廻ですが、次に繁栄する生きものが人類とは限らないのが、手塚治のすごいところ。おそらく違った生物が反映する可能性のほうが高いんじゃないか?人類だといずれ互いを殺し合って滅亡する可能性が高い。違った生きものだったら違った結末になるだろう。

いい悪いは別で、この書かれた世界感は十分に現実味のあるお話です。

いい本を読みました。南蛮連合の〇〇さんのお知り合いがチェックされていた本です。

最初は取っつきにくく、読みずらいけど第二部、第三部に入ると食い入るように読みました。昔々、コッポラ監督のベトナム戦争を題材にした映画「地獄の黙示録」があったが、映像自体はいいのだがストーリーが陳腐で物語の奥行きがなかった。コッポラ監督はゴットファーザや華麗なるギャッツビーなどそうそうたる名作を作っていたが、「黙示録」と名付けるにはストーリーが弱く、強いバックボーンが必要でしょう。このウオーター・ミラーの黙示録3174にはそれがある。

黙示録3174 ウォルター・ミラー 核戦争後の人類の退化と発展と業

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/e8fc99baeee0d4ddfa8f041027ff0330

荒野へ ジョンクラカワー

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/1ed709cf66d01a55e5b187730e4058b0

熱海奇跡 市来広一朗 熱海再生ができた理由

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/b2d9b34172c891afa0792934fe9809e8

架橋ビジネス 山下昌美

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/403c49ce3ce60906e84b9f36a2e236ce

ゴールデンスランバー、井坂幸太郎 国家の犯罪に市民が犯人にされる

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/bd27db62541df45c8898576a24c7643d

書店主フィークリーの物語 ガブリエル・ゼウイン 

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/67c105e77fad0dab2dfe81ea2595ca16

京都の雑学100選、清水サトシ著

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/464e6bafa3dcdc1ddf1c84fa9af0c6e1

神々の嶺、夢枕獏 ヒマラヤ登山の黎明期の出来事を、史実をもとにフィクション

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/0ecafc40c9d75b010683a613a7ed37fe

陽気なギャングは3つ数えろ 井坂幸太郎 明るく陽気なギャングシリーズ

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/390f44a4704683665229dbf0915e35fa

氷点、三浦綾子著 北海道を舞台にした私小説

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/8aadcbe1130b26dccfac02e258cfbe2f

ハリーポッター賢者の石 JKローリング著

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/86f85de96cb9d765f04d7c99f859549d

文庫X、犯人はそこにいる 清水潔箸 記者さんが追った犯罪の実録記事 迫力満点です

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/82468b4a3f86892b534aa2650f927822

夜行 森見登美彦著 不思議な短編小説です

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/b81956f461db85b1a38b291d01442d34

かなたの子 角田光世箸 おどろおどろした、女性独特なブツブツした感性です

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/3f9d0f6466a4fecfa0fa4d205964927d

ローカルバスの終点へ 宮脇俊三著 ローカルバスの100kmを越える旅です

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/ed917733ec15d51ecd5f9a52d1904a51

神秘な国ネパール Dマーフィー著、1960年代のカトマンズあたりの話

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/b275d13e8a32d2c39b5f0945880d5f8a

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著、80年前に書かれた名著で、今でも十分に通用します

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/a9da8128f4acc043d1d53ffbe1f3dd02

紀の川、有吉佐和子 女3代にわたるお話、親子供は反発しあっても、思いが繋がっていく

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/42e8223a65d0f2a5ba642c51139f88a8

日の名残り カズオ・イシグロ  英国愛をユーモアで語る ブッカー賞受賞作!

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/25998571461c070cee36d328258a1c7d

鉄道エッセイコレクション 読み鉄へのご招待

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/ab719d6a265331c9c1ef97bb50b6ade3

イザベラバードの日本紀行㊤ 1880年代にイギリス人女流冒険家さんの1人旅 

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/9c4b8150096cccbbba33fbc2711c3c2e

イザベラバードの日本紀行㊦ 1880年代に1人で北海道に渡る 

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/119fb8e45d2c7563144f348f6c65d6bb

イザベラバードの中国奥地紀行㊤ 1880年代、ちょうど日清戦争が終わった頃です

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7c1d52aa204ccb6975824f020bdcc504

イザベラバードの中国奥地紀行㊦

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/96ac13d80f8fb7067ac229984ae53ce1

イザベラバードの朝鮮紀行 日本、中国、ロシアに挟まれた朝鮮、今も昔も変わらない

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水平線 桜木紫乃 6編のオムニバス 生まれ故郷の北海道を題材にしたものが多い

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ホテルローヤル 桜木紫乃 個人商店のような自分の境遇が、身につまされる

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すばらしい新世界 バックスリー 1932年に発行された破壊的懐疑主義空想物語

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わたしを離さないで カズオ・イシグロ 2017年ノーベル文学賞を受賞 代表作でしょう

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夜と霧 ヴィクトールEフランクル 第二次世界大戦時のアウシュビッツでの生活

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憑神 浅田次郎 貧乏神、疫病神、死神が次々にやってくる、ファンタジー小説

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