旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

KAFUKA TOKYO × 真澄

2022-06-23 | 日記・エッセイ・コラム

 麻布十番大通りから一本南に入ったら、先ほどまでの人混みが嘘のような閑静な住宅街に変わる。
さらに大黒坂へと抜ける細道へ折れると、オーストリア大使館の木立が影をつくる辺りにレストランがある。
何にせよ呑み人には似つかわないエリアに足を踏み入れたのは、蔵元とのコラボレーションを覗くためだ。
ウェルカムドリンクは “ゆず酒” をロックで、今宵、洗練された和食と諏訪の酒・真澄を愉しむ。

 会が始まると蔵元からの長いプレゼンテーション、若い社長室長は熱い。
とても関心のある内容なのだけれど、お行儀の良くない呑み人としては、いただきながら伺いたい。

ひんやりと “焼き茄子のズっぺ” をいただいてから、前菜は “蟹と帆立とあやめ雪かぶ” がボウルで供される。
山田錦と七号酵母で醸した “山花SANKA” は、華やかで優しい口当たりの純米大吟醸酒だ。

ひかる水面のような金属の皿に “稚鮎” が泳いだら、グラスには微かに発泡する “突釃TSUKIKOSHI” が注がれる。
江戸時代の製法を再現というが、その先は聞き逃した。鮎の苦味に、ほんのり甘みのフレッシュな吟醸がいい。

お椀は “とうもろこしの卵豆腐と冬瓜” をいただく。ちょっとホッとするね。

たけづつに夏酒が注がれる。その名も “すずみざけ”、ほのかな酸味がアクセントになって口当たり爽やかだ。
炙った “かつおのたたき” は、大根おろしに刻みネギとみょうがをのせ、ポン酢を垂らして美味しい。夏が来た。

山梨のマス “富士の介” が、たっぷりの胡麻味噌ソースをバーナーで炙り、ヤングコーンを従えて登場した。
先ほどから感じていた甘い香りの主は、キングサーモン×ニジマスのこのひと皿のようだ。
山廃づくりの “七號” は県産米と七号酵母(真澄の蔵から発見された)で醸したまさに信州の地酒と云える。
酸味と苦味が同居したちょっと贅沢な大吟醸が旨い。余談だけどチェスの駒のようなこのグラスが欲しい。

アルコール抑えめの純米吟醸 “白妙SHIRO”、穏やかなやや甘は “里芋の餡かけ” のような濃い味の料理にも合う。
普段飲みに手が届きそうな酒を、こんな素朴な陶器の酒器でいただくとなんだか落ち着くね。 

デザートにひんやりと爽やかな “トマトのコンポート”、深紅のトマトにペパーミントがお洒落でしょう。
すっとスプーンが入る柔らかで甘ぁいトマト、合わせるゴールドイエローがかがやく “真澄スパークリング”。
果実の香りと滑らかな甘味が、はじける泡とともに口の中に広がって、麻布十番の夜は更けゆくです。

恋するカレン / 大瀧詠一 1982
     


吉備路を桃太郎が往く 吉備線を完乗!

2022-06-21 | 呑み鉄放浪記

2018年初夏のアーカイブ。
広島から幹線を避けて相生まで、山陽裏街道をビールと地酒をで呑み潰しました。 

 JR吉備線(桃太郎線)は、総社から岡山まで、古代ロマン漂う吉備路を往く。
旧国鉄時代から走っている気動車には、桃太郎伝説を描いたラッピングがされている。

気動車に乗る前に自転車に乗る。吉備路のシンボル「備中国分寺」を訪ねるのだ。
総社駅前でレンタサイクルを汗をかきかき自転車をこぐこと30分、この風景に出会う。 

水田の中に浮かぶような丘陵からぽつんと立つ五重塔が作り出す景観が美しい。
現存の五重塔は江戸中期に再建されたものだが、風景は聖武天皇の時代を想像させる。 

13:01発の岡山行きで吉備線の旅は始まる。旧い気動車にはやはり朱色が似合う。

 

秀吉の水攻めで有名な備中高松を過ぎると最初の目的地吉備津に到着する。
ここで "桃太郎伝説" ラッピング車両と交換、それにしてもこの鬼、格好良すぎないか? 

 吉備津神社は大吉備津彦大神を主祭神とする山陽道屈指の大社、備中国一宮である。
第7代孝霊天皇の皇子大吉備津彦命を祀る本殿は比翼入母屋造の国宝に指定されている。
神社には桃太郎伝説のモデルとも云われる温羅退治の話しが伝わるのだ。

一つ先の備前一宮駅へ足を伸ばす。女性のひとり旅が多いね。気のせいだろうか。
彼女たちの目的地であろう吉備津彦神社、こちらも御祭神は大吉備津日子命だ。
神社は備前一宮。二国の一宮がその国境近くで背中合わせに同じ神様を祀っている。 

吉備津彦神社は、夏至の太陽が鳥居の真正面から昇り神殿の御鏡に入る。
それ故、太陽を神と仰ぎ豊穣発展と幸運を祈る神社として「朝日の宮」と呼ばれる。 

 

 二社に詣でたら「自然食材おはな」でキリンラガーを一杯、浸みわたる。
評判の高い日替わりランチは既に完売、で "うどん定食" をつるりといただく。美味いね。 

お腹を満たしたら桃太郎線をラストスパート。笹ケ瀬川の鉄橋を渡ると住宅街が広がる。
やがて朱色の気動車は岡山駅10番ホームにガクガクっと終着、傍らには0キロポストだ。

吉備線(桃太郎線) 総社~岡山 20.4km 完乗 

リップスティック / 桜田淳子 1978


山手線立ち呑み事情 JY6「晩杯屋」

2022-06-18 | 津々浦々酒場探訪

 鶯谷駅南口からホテル街をやり過ごすと言問通りに出る。っと対面に角打ちが一軒、立ち呑みが一軒。
どちらも連休明けまで営業自粛していたから、それが「山手線立ち呑み事情」運転見合わせの理由でもあった。
漸くの運転再開。っで、ちょっぴり妖艶なオレンジの灯に誘われて「晩杯屋」に吸い込まれてみよう。

一杯目はお約束の “生ビール” を呷る。泡立ちもジョッキの冷えも申し分ない。好感度良好なのだ。
アテは “黒ムツ刺身”、旬を外して脂のりはさほどでないけれど、ちょっと一杯のお供には申し分ない。

カウンターの調味料の脇に紙とえんぴつを入れた籠を見つけた。どうやら自分で伝票を書くのがお作法らしい。
それでは早速 “極厚ハムカツ” と走り書きしてお兄さんに手渡す。二杯目は爽やかに “生ゆずハイ” を択んだ。
辛子をたっぷり付けて厚切りをかじる、鼻にツンっときたところに生ゆずハイをゴクリ、これが楽しい。

場所がら客層はご同輩ばかりと思いきや、若者もお嬢さんもオバちゃんも、老若男女が並び立つカウンター。
“冷やっこ” には小エビを散らして、このひと工夫が客の心を掴む。刻みネギと生姜、ポン酢をかけて美味しい。

食事代わりの “納豆オムレツ” でまったりしたら、中をお代わりした “黒ホッピー” でさっぱりと流し込む。
開け放した窓から流れ込む心地よい風に吹かれて、ちょっぴりほろ酔い気分の鶯谷の夜。次はぁ日暮里ぃ。

哀愁のカサブランカ / 郷ひろみ 1982
     


室町和久傳 × SAYS FARM

2022-06-15 | 日記・エッセイ・コラム

 堺町通り御池下ル、白地に「室町和久傳」のシンプルな暖簾が揺らめいて、老舗の威厳を感じさせる。
京料理と日本ワインのコラボレーション企画、今回の京都行の本来の目的だ。無論ボクの提案ではない。

セイズファームは富山湾と立山連峰を望む氷見の丘上にあるワイナリー、魚問屋さんが興したという。
前菜には “オジコシャルドネ 2016”、フレッシュでフルーティー、すぅ〜と喉を通って料理への期待が高まる。

「先附」(写真は失敗)は、茄子釜に富山湾の “甘えび” と茄子アイスを詰め、トマトのジュレをかける。絶品だ。
カウンターの中では「中皿」に供される “蛍いか” がキラキラしている。このあと出汁とポン酢でいただく。

「椀物」は “鳥貝” に、ホワイトアスパラガスと柚子の実がコラボレーション、ほのかに潮の香りがする。
蓋を開けると貝がらごと入っていた。視覚的にも楽しませてくれる。合わせるワインは “ロゼ 2020” だ。

八角形を半分にしたようなカウンターはわずかに15〜16人の席、目の前で一流の包丁さばきを眺める。
氷見で揚がった “ブリ” をはじめ大きな皿にネタが並ぶ。これから「寿司」を握ってもらう。特別なことらしい。
ワイングラスはブルゴーニュに代わって “ピノ・ノワール 2018” が注がれる。606本しかないワインの1本だ。

「焼物」は初夏を告げる琵琶湖の “若鮎”、山蕗、しいたけ、三つ葉を添えて、 旨味と苦味が美味しい。
ワインは白に戻って “ソーヴィニヨンブラン2020”、柑橘系のアロマとドライな口当たりがいい。

湯呑みのような器で供された「凌ぎ」は “氷見うどんとジュンサイ”、ここでも富山の食材にこだわって、
マリアージュを追求している。それにしてもシェフの号令一下、料理人さんの流れるような動きは美しい。 

“プライベートリザーヴ・サンジョヴェーゼ2018” が注がれて、カウンターにルビーの影が揺らめく。
っと「強肴」の “牛カツ” が花山椒を散らして登場、カラッと揚がってるけど、肉はジュワッとミディアムレア、
赤酢たれを垂らして、ほんと美味しい。

一流の京懐石と洗練された日本ワインを堪能した「室町和久傳 × SAYS FARM」の企画だけれども、
やはり呑み人にはワインは難しい。

YES YES YES / オフコース 1982
     


山手線立ち呑み事情 JY5「ほていちゃん」

2022-06-11 | 津々浦々酒場探訪

 いい感じに暮れてきた。混み合う広小路口を抜けて横断歩道を渡れば、そこは酔客たちのワンダーランド。
酒場を物色してガード下を右へ左へ、まだ酔ってはいない。実に5か月ぶりの立ち呑みで巡る山手線の旅。

「ほていちゃん」のホールさん達、国籍は片手に余るのではないだろうか。実にインターナショナルだ。
そんな余計なことを考えながら、先ずは生ビールを注文。客層は若者が多い、ご同輩は少ない感じだな。
子どもが喜びそうな形状だけど “ねぎネギとろ” が美味い。海苔で包んで口に放り込むと蕩けるようだ。

二杯目は “デュワーズハイボール” を。最近CMを見たような、ロゴの入ったジョッキは気分がいいね。
今日のお奨めは “黒ガレイの竜田揚げ”、カラッと揚がった淡白な白身をポン酢おろしでいただく。合うね。

地酒を置いてない酒場では、三杯目は “ホッピー” がお約束になりつつある呑み人だ。っで今宵は “黒” で。
アテは確か “ピリ辛肉どうふ” だったっけ?唐辛子の真っ赤なスープで煮こんだ豆腐にゴロっと牛スネ肉、
いい感じの辛さに、この一椀いただくのに “中” をお代わりしてホッピー2杯いけちゃうね。
喧騒のガード下、ほろ酔いの立ち飲み席、そろそろ「おあとがよろしいようで」 では次回は鶯谷で。

匂艶 THE NIGHT CLUB / サザンオールスターズ 1982
     


旅するどんぶり 勝沼「南瓜ほうとう」

2022-06-08 | 旅のアクセント

 勝沼宿の脇本陣?と見紛うような重厚な門を潜ると、ツツジが咲く庭が広がっている。
ワイナリーを3軒巡って漸くのランチは、落ち着いた和の佇まいの中で、郷土料理 “ほうとう” をいただく。

かぼちゃほうとうに、季節のごはん、小鉢、焼きプリンのデザートが付いたセットを択ぶ。多分これが基本。
野菜とキノコがたっぷり、優しい味噌の味にコシのあるほうとう、南瓜の甘みを楽しんで美味しい一杯だね。

緑豊かな庭を眺めながら、ちょっぴり贅沢な時間を過ごしたら、復路の120kmもボクがハンドルを握る。
帰りも下道かって?いいえ大月から中央フリーウェイ ♪。GWをちょっと外してご機嫌な週末のドライブだ。

しあわせについて / さだまさし 1982
     


哀しき iced coffee

2022-06-04 | 日記・エッセイ・コラム

 甲府盆地の隅っこの、小さな扇状地の小高い丘の上、小さなワイナリー「98wines」がある。
涼風が吹く丘の上からは、青々とした葡萄畑と甲府盆地を見下ろし、正面には富士をのぞむ。

ハンドルを握るのは久しぶりだ。ずっと呑む旅ばかりしていたからね。
でも決してドライブは嫌いではない。そしてとにかく下道や峠道がお気に入り。だから同乗者の評価は良くない。

6時半にスタートしたステーションワゴンは、途中新緑透く奥多摩湖に遊び、大菩薩ラインで柳沢峠を越え、
openの10時ピッタリにワイナリーに付ける。このセンスに自惚れてほくそ笑んでいるいるのだ。

“ポークリエッタ“ のプレートを択んで、あと “ケークサレ” も、テラスのテーブルを賑やかしたら、
98wines がリリースする “甲州” と “マスカットベーリーA” のグラスを並べて、とても楽しそう。

でも今日のボクは、泡が膨らみきっていた時代で言うところのアッシーくん、日ごろ一人遊びしている償いだ。
カランっと、グラスの中で溶けだした氷が音を立てて、ボクの iced coffee が悲しい。

Sugartime / 佐野元春 1982
     


京町家のtrattoriaで

2022-06-01 | 日記・エッセイ・コラム

 紅がらの壁に黒い格子、温もりのある提灯がさがった京町家のtrattoriaを見つけた。
厨房の様子が窺えるゆったりしたカウンターに座って、今宵イタリアンワインを愉しみたい。

とはいえ、素直にワインから入れないボクは、そうはいっても一杯目は生ビールを呷る。
前菜の盛り合わせが華やかにシルバーの皿を彩る。小さなボウルに盛られた “大根のムース” が絶品だ。

“鰯のレモンオイル煮” を択ぶ、オイルサーディンが大好きなのだ。トマトとパプリカが赤を添えて美しい。
となれば白ワイン、でも呑み人はワインは分からない、奨められるままに “Tramonti“ のフリウラーノ。

♡のエチケットが可愛らしいサーモンピンクは “クオール ロゼ トスカーナ”、熟したリンゴの香りだって、
言われてみればそんな気もする。パスタは自家製パンチェッタと玉葱のトマトソース “アマトリチャーナ”。

ピッツァはオーナーシェフにお任せ。目の前で生地をのばして、出始めたトウモロコシを散らしてくれた。
甘酸っぱいトマトソースに甘味たっぷりのトウモロコシの一枚が美味しい。
三杯目は “シャルドネ  フリウリ コッリ オリエンターリ”、最後はしっかり目の辛口のシャルドネで〆る。
坪庭に面した掘りごたつ席には向日葵が生けられて、夏に向かう演出たっぷりの烏丸のtrattoriaなのだ。

雨のウェンズデイ / 大瀧詠一 1982
     


青もみじと鞍馬天狗と貴船の川床と 叡電・鞍馬線を完乗!

2022-05-28 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 青もみじからの木漏れ日を浴びながら、展望列車「きらら」が急勾配を登ってきた。
紅葉をイメージした「メープルオレンジ」に彩られた900系電車に乗って、貴船・鞍馬を訪ねる呑み鉄の旅。

 子どもたちが歓声をあげて飛び石を渡る。ドラマやアニメでお馴染みの風景だ。
鞍馬線の旅の前に、賀茂川と高野川に挟まれた新緑の鴨川デルタを歩いてみたいと思う。

12万4000平方メートルもの広さを持つ原生林「糺の森(ただすのもり)」、青もみじの参道が心地よい。
例年であれば、先週、紫の藤の房とカキツバタの花で飾りつけた牛車が「葵祭」の雅やかに演出したはずだ。

糺の森の緑の中に見えていた「朱」の点が徐々に大きくなって、東西に回廊を巡らせた立派な楼門に至る。
山城国一宮・下鴨神社は、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)と玉依媛命(たまよりひめのみこと)を祀って
少なくとも2100年の時を超えてこの地にある。

 初夏の日に照らされた叡山電車の始発駅・出町柳に戻って、これから鞍馬線の旅がスタートする。

叡山電鉄900系電車は「紅葉を観るために乗りに来ていただく車両」をコンセプトに製造された展望電車。
週末は30分ないしは45分毎に出町柳を発ち、貴船口へ鞍馬へと行楽客を運んでいる。

すべての電車は出町柳始発だけど鞍馬線の起点は宝ヶ池、ここで八瀬比叡山口へ行く叡山本線から分岐する。
途中の二軒茶屋までは複線で、山を降ってきた青もみじをイメージした「メープルグリーン」とすれ違う。

市原駅~二ノ瀬駅間のうち、およそ280本のイロハモミジ、オオモミジに囲まれた約250mの区間は
「もみじのトンネル」と呼ばれ、この時期の「きらら」は徐行運転して、車窓を楽しませてくれる。
初夏の日を浴びて眩しく揺れる瑞々しい「青もみじのトンネル」に、車内は清涼感に包まれる。

 メープルオレンジの2両編成は急勾配をグイグイ登って、出町柳から約30分で貴船口駅に到着。
多くの乗客(若いカップルが多いかな)に続いて、呑み人も木漏れ日が差すホームに降り立つ。

貴船川を遡ること30分余、赤い春日灯篭が並ぶ石段の参道が現れる。浴衣姿のお嬢さんたちが彩を添える。
貴船神社本宮の御祭神・高龗神(たかおかみのかみ)は水の供給を司る神、社殿前の石垣からは御神水が
こんこんと湧き溢れ、参詣者は霊泉に浮かべると文字が浮かぶ「水占みくじ」に興じている。

貴船神社の中社である「結社」は、磐長姫命(いわながひめのみこと)をお祀りする縁結びの社だ。
女流歌人・和泉式部が参拝し、歌を捧げた祈り成就したことから、以来「恋の宮」とされている。
その辺りに関心が薄くなった呑み人は、むしろ川床に降りて涼風に身を委ねることを択ぶ。

 

岩を打つ水の瀬音に包まれながら、先附と八寸をアテに冷たいビールを呷る。すっと汗が引いていく。

 

少しだけ白ワインをいただきながら、お造りに箸を伸ばし、ゆるりと陶板で霜降りの牛を焼く、美味いね。

貴船口に戻って鞍馬までの最後の一区間を仕上げる。巡り合わせよくやはりメープルオレンジの2両編成だ。
鞍馬線の最大勾配は50‰とかなりの急勾配だが、2両とも動力車の編成は怯むことはない。

終点・鞍馬駅では1.3mの鼻を持った大天狗が迎えてくれる。
鞍馬の大天狗は源義経に厳しい武術の修行をつけ、後に平家討伐を達せられるよう兵法の秘伝を授けたと云う。

鯖街道ウルトラマラソンのランナーが駆け下る山道を少しだけ登ると、長い階段の先に立派な門が見えてくる。
新緑に「朱」が映える鞍馬寺の「仁王門」はパワースポットである鞍馬山の浄域への結界でもある。

仁王門を潜って普明殿の山門駅から宗教法人が運営しているケーブル、鞍馬山鋼索鉄道に乗車する。
運賃は無料、待合室の券売機で200円の諸堂・施設の維持のための寄進をし、その御寄進票で乗車する理屈だ。

『近うて遠きもの 鞍馬のつづらをりといふ道』と清少納言が「枕草子」で嘆いた九十九折(つづらおり)の
高低差90mを2分でバイパスしてくれる。最急勾配は499‰だから、角度にして26°にもなる急坂だ。

牛若號IVを降りるのは多宝塔駅、ここから本殿金堂までは弥勒堂を経て緩やかな参道を往く。

本殿金堂には、宇宙の大霊「尊天」を象徴する千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊が祀られている。

ところで本殿金堂の左右には狛犬ならぬ「阿吽の虎」が睨みをきかす。虎は本尊毘沙門天のお使の神獣だと云う。

『何となく君にまたるるここちしていでし花野の夕月夜かな』與謝野晶子の歌碑から奥の院参道に入る。
牛若が兵法修行をしたと云う木の根道を経て不動堂、最澄が刻んだと伝えられる不動明王が安置されている。
鞍馬山の奥深く入り込んだ一帯は、僧正ガ谷と呼ばれる数々の牛若丸伝説が残る霊域なのだ。

そして奥の院、護法魔王尊が650万年前に地球救済のため、金星から降り立ったとされる鞍馬寺の中心的霊域だ。
ここからの急坂の谷底は先刻訪ねた貴船神社に至る。

呑み鉄旅と云いながら、ハイカーのように歩きに歩いた鞍馬線の旅、出町柳に戻ったらお疲れ様の一杯か。

叡山電鉄・鞍馬線 宝ケ池〜鞍馬 8.8km 完乗
 鞍馬山鋼索鉄道 山門〜多宝塔 0.2km 完乗

京都慕情 / 武田カオリ
     

 


水曜日は家呑み派 「勝鹿 大吟醸」

2022-05-25 | 日記・エッセイ・コラム

湯葉と水菜のサラダ、枝豆豆腐、炙り明太子、和の小鉢を盆に並べて、今宵は大吟醸をあけての家呑み。
“勝鹿 大吟醸” は、軽快でなめらかな味と香りの淡麗辛口だ。小鉢を突きながらゆるりと愉しむ。旨いね。
週末に旅したアーバンパークライン、野田市の利根運河沿いに窪田酒造はある。
車中酒にワンカップでも仕込もうかと何軒か店を覗いたけれど見つからない。生産量が少ないんだろうね。
旅の終わりに船橋のデパ地下でとうとう巡り会った “勝鹿”、っで呑み鉄旅の延長戦のような家呑みなのだ。

男の勲章 / 嶋大輔 1982
     


けっこういい線いってるでしょ アーバンパークラインを完乗!

2022-05-21 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 東武野田線は「アーバンパークライン」と愛称される。「のだせん」とはずいぶんイメージがちがう。
ターミナルの大宮、柏、船橋を結び、その間には緑豊かな公園が点在しているからだそうだ。 
フューチャーブルーとブライトグリーンに彩られた洗練された新型車両がシャトルし、浅草から大宮・柏へ
通勤特急が走る。東武鉄道的には「けっこういい線いってる」アーバンパークラインなのだ。

一方のターミナル大宮の朝、フューチャーブルーの60000系が到着して満員の乗客をはきだす。
1面2線の手狭なホームは改札に向かう降車客の渋滞をつくる。LEDの行先表示は既に折り返しの「柏」を示す。

大宮を発ったフューチャーブルーが停まる2つ目は大宮公園、静かな住宅街の瀟洒な駅舎だ。
大宮公園周辺には「朱色」が目につく。武蔵一宮 氷川神社の楼門の「朱」が新緑の杜に映えている。

NACK5スタジアムにはアルディージャ「オレンジ」の横断幕、そして幟がはためいている。
この日は午後からアルディージャVENTUSの試合がある。まもなくこの辺りはオレンジに埋もれるはずだ。

 フューチャーブルーの6両編成が、ほぼ90°の右急カーブを曲がると東武鉄道の本線とも云うべき
伊勢崎線(スカイツリーライン)と並んで春日部駅に進入していく。

ところで7・8番ホームには、駅そばならぬ駅ラーメンのスタンドがある。客が引を切らない結構な人気だ。
少々の時間がかかって “塩ワンタンメン” 着丼、これがまた手を抜くことなく美味いラーメンで一杯なのだ。

春日部からはお馴染みの8000系の6両編成、2駅に停車後江戸川橋梁を渡る。ここが埼玉・千葉県境になる。

野田市の中心駅はどこ?野田市駅に降り立ったけれど市街地は見当たらない。キッコーマンの工場群の只中だ。
駅の南側にはランドマークとも云うべきキッコーマン野田工場、敷地の中に「もの知りしょうゆ館」が在る。

さらに2つ先は運河駅、東京理科大のキャンパスがある。乗降する理系の学生さんは真面目そうだなぁ。
利根川と江戸川を結ぶ利根運河は銚子と江戸を結ぶ物流の動脈として開削され、明治23年(1890年)に通水した。
銚子と東京は汽船で結ばれたが、その後相次いて現常磐線、現総武本線が開通し、運河の全盛期は短い。

今や憩いの公園となった運河を渡して、60匹の “鯉のぼり” が薫風の波に気持ちよさそうに泳いでいる。
運河に沿って1kmほど下流へ歩くと東葛唯一の蔵・窪田酒造が「勝鹿」を醸している。
近隣の酒屋を覗いても見当たらなかった「勝鹿」は、旅の終わりに船橋の東武百貨店で大吟醸を見つけた。

 スイッチバックとなった柏駅の2・3番線に、新(60000系)旧(8000系)の急行が並んで交換する。
其々進行方向を変える車両のフロントとサイドにはTOBU URBAN PARK LINEのロゴ、ちょっぴりお洒落だ。

柏からは宅地の中を南進する野田線、新鎌ヶ谷で京成成田空港線とクロス、終点船橋では総武本線と連絡、
東京30キロ圏の外郭に半円を描くこの線は、都心から放射する6路線と交わり、その度に乗客の大半が入替る。
駅ビルに吸い込まれるように、フューチャーブルーの6両が船橋駅に緩やかに進入して野田線の旅が終わった。

 山口横丁の雑踏を左に折れると、行きたかった大衆酒場「増やま」には昼から暖簾がかかっている。

わずか20席のコの字に肩を窄めて座ると、先ずは “生ビール” から、ホワイトボードから “マダイ刺身” を択ぶ。
赤サンゴのようなインパクトがある “紅しょうがのかき揚げ”、箸で割れず齧ることもできず食べるに難儀する。
っが、この適度に酸っぱい一品はなかなか良いアテになる。二杯目は “すっぱレモン” をいただく。

赤サンゴのようなインパクトがある “紅しょうがのかき揚げ”、箸で割れず齧ることもできず食べるに難儀する。
っが、この適度に酸っぱい一品はなかなか良いアテになる。二杯目は “すっぱレモン” をいただく。

大きな寸胴で煮えてる “肉どうふ”、黒々と味が染みた一丁に刻みネギを散らして七味を振って美味しい。
久しぶりの “赤ホッピー” はラベルがちょっとリッチ感、ホップの爽やかな香りがするようなしないような。
濃ぉい味のアテに “なか” をお代わりしてほろ酔いの昼下がり、昼飲みの聖地を愉しんだ休日なのだ。

東武野田線 大宮〜船橋 62.7km 完乗

おまえにチェックイン / 沢田研二 1982
     


駅そば日記 八王子「あじさい茶屋」

2022-05-18 | 日記・エッセイ・コラム

 中央本線のほかに、八高線、横浜線が乗り入れて、八王子は賑やかかつ車両の彩り豊かな駅ですね。
信州から疾走してきた特急あずさに、大宮まで乗り入れる武蔵野線の電車、混沌としている。
そんなことは置いておいて、ボクは横浜線が発着する5・6番ホームの「あじさい茶屋」へ。
「いろり庵きらく」が主流になったJR東日本の駅そばにあって「あじさい茶屋」はむしろ少数派だ。

“菜の花と筍のかき揚げそば” を択ぶ、春を感じさせるこんな季節メニューがあるのは嬉しいね。
先ずはレンゲで汁を一口、えっ、かっ辛い。嫌いではないが、ちょっと辛いというかしょっぱすぎないか?
かき揚げに汁を吸わせて一口、そばをズズッと一口、冷水をゴクリと一口、この繰り返しで時間がかかる。
麺も汁も、どの店も同じものが入ってくるのだろうけど、けっこう店々で味が違うのは楽しいというか発見だ。
まだまだ通いがいのある駅そば日記なのだ。


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スローモーション / 中森明菜 1982
     


白馬三山と深志城とアルプス正宗と 大糸線を完乗!

2022-05-14 | 呑み鉄放浪記

 残雪を朝の日に煌めかせる白馬三山(白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳)、田起こしを待つ田んぼ。
田中の小道が跨ぐ踏切が点滅をはじめた。カタンコトンと軽快なリズムが薫風に乗って耳に届いてくる。
8時ちょうどに新宿駅を発った特急あずさ号が目の前を流れていった。今回は大糸線で呑む。

 糸魚川駅の新幹線側はJRの管轄、名称はアルプス口、ちょっと大きく出たなぁ、気持ちは解るけど。
階下に再現された赤レンガ車庫「ジオパル」には、かつて大糸線を走ったキハ52形気動車が保存されている。

と言うことで、最初のはくたかで糸魚川までやってきた。今日は松本まで大糸線に揺られる大人の休日。
4番ホームでアイドリングしているのはキハ120形、JR西日本の非電化ローカル線でおなじみの顔なのだ。

南小谷までの大糸線は姫川(奴奈川姫に由来)に沿って、ゆっくりと勾配を登っていく。
白馬〜糸魚川の45キロで標高700mを下るからかなりの急流、美しい風景とは裏腹に暴れ川として知られる。

カポっと “加賀の井” を開ける。新潟県最古の酒蔵は糸魚川宿本陣、前田公が滞在したことに由来する銘柄だ。
アテは “ほたるいか素干し”、ほんとはライターでちょっと炙るといい。急峻な山肌を眺めて朝の一杯を愉しむ。

35キロを1時間かけて南小谷に終着、ここはJR西日本とJR東日本の結節点、信濃大町行きの電車が待っている。

淡いブルーと淡いグリーンの帯を引いた信州色の127系が信濃森上に差しかかると急に視界が開ける。
正面は唐松岳か、視線を右に追うと鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳と白馬三山が標高を競っている。

プレートガーダの松川橋梁を渡るとまもなく白馬に到着する。ここからの北アルプスの眺望は素晴らしい。

車窓に仁科三湖(青木湖・中綱湖・木崎湖)が次々に現れると、いつしか川の流れる方向が変わっている。
これから松本に向けて安曇野を緩やかに下っていく大糸線の旅なのだ。
立山黒部アルペンルートの玄関口・信濃大町駅は山岳都市らしく山小屋をイメージした造りだ。

折角だから信州そばを食べたい。っと駅から5〜6分、明治元年に建てられた趣ある「タカラ食堂」を訪ねた。
突き出しのポテサラと柿ピーを傍にスーパードライをグラスに注ぐ。喉が鳴るこの瞬間が嬉しい。

先に出てきた天ぷらをアテにビールを呷る。サクサクの “エビ天”、“ふきのとう” の苦みを楽しむ。
せいろに右横書きの文字が老舗そば屋の風格を感じる。素朴な “信州そば” をズズッと啜る、美味いね。

 小走りで駅に戻ると、13:48発の5240Mに間に合った。標高の高い大町ではこの頃がサクラの盛りだ。

高瀬川橋梁から遠望する蓮華岳、その奥は針ノ木岳か。山塊を黒部立山アルペンルートが穿っているはずだ。

信濃鉄道として開通した信濃大町〜松本間は駅間が短い。信濃松川では同じ信州色の127系2両編成と交換する。

昭和15年(1940年)に改築された駅舎、立派な社殿造りになっているのは穂髙神社への参拝駅だから。

穂髙神社の御祭神は穗髙見命、古事記には別名・宇都志日金拆命(うつしひかなさくのみこと)とある。
その奥宮は上高地の明神池に、嶺宮は北アルプスの主峰奥穂高岳(3,190m)の頂上に祀られている。

駅を挟んで反対側には焼きレンガを積み上げた西欧教会風の碌山美術館、ここにもまた多くの人を集める。
日本近代彫刻の扉を開いた荻原碌山は安曇野の生まれだ。子どもの頃、家族のドライブで訪ねた記憶がある。

 駅舎とホームを繋ぐ構内踏切が鳴動して、この旅の最終ランナー5242M松本行きがゆっくりと入ってきた。
穂高駅の駅名表示版には安曇野の代名詞的な道祖神の写真、睦まじい夫婦道祖神に見送られて松本へ向かう。

安曇野を往く大糸線の車窓からは常念岳(2,857m)の存在感が大きい。やがて梓川橋梁を渡ると松本は近い。
槍ヶ岳を発し山々の雪解け水を集めた梓川は、奈良井川と合流して犀川となり北へと向きを変える。

先輩の添乗を得て乗務してきた車掌嬢が降車確認を終えて5242Mの扉を閉める。ほっとする瞬間だろうか。
松本駅の6・7番ホームには大糸線と上高地線の電車が並んで、まさにアルピニストの駅だ。

 酒場の提灯が灯るまで少し時間が早い。しからばお約束の松本城まで歩いてみる。城下はすでに葉桜だ。
五重六階の大天守が、乾小天守と月見櫓を従えて、黒漆塗と白漆喰仕上げの威風堂々とした姿を見せる。
背景には西に傾いた日によってシルエットになりつつある北アルプス、やはり常念岳が主役のようだ。

 駅近の大衆酒場「風林火山」は5時半に暖簾がかかる。人気のある店だから開店時間に合わせて戻ってきた。
メニューに “ふき味噌” を発見、これ酒に合うんだよね。今宵は生ビールはパス。信州の酒肴を堪能しよう。

先ずは辰野の “夜明け前”、ちょっとシュワシュワ感のある生一本しずく採りでさわやかに始める。
“馬刺し” はロースを択んで、たっぷりと生姜醤油をつけて美味しい。

若山牧水も愛飲したであろう “美園竹” は望月町の酒、中山道を歩いた時に訪ねた。ちょっと懐かしい。
この季節限定の “春花見” は生酛造りの純米生原酒、ちょっぴり黄色に色付いて卓に花びらが舞い降りたよう。
生酛を楽しみながら “いわな塩焼き” にかぶりつく。まず塩でそのまま、後半はレモンを絞って味わう。

山賊焼きと迷って “川中島納豆と野沢菜のかき揚げ”、大粒の納豆と野沢菜のコラボ、汁は相当に塩っぱい
でも嫌いじゃないなぁ、大根おろしをたっぷり浸して、刻み海苔を散らして、なかなかの美味。
真打は松本の “アルプス正宗”、兄さんが奨めてくれたフレッシュな生酒が、濃口のかき揚げを中和して旨し。

まだちょっと肌寒かった葉桜の松本の街、このほろ酔い加減が心地よい大糸線の旅の締めくくりだ。

大糸線 糸魚川〜松本 105.4km 完乗

聖母たちのララバイ / 岩崎宏美 1982
     


津々浦々立ち呑み事情 仙台「ぼんてん酒場」

2022-05-11 | 津々浦々酒場探訪

 一番町の「ぼんてん酒場」は、昭和のノスタルジックな雰囲気が味わえる酒場であるとともに、
余所者がこのシーンに溶け込むのは相当に難しい、上級者向けの立ち飲みスタンドでもあった。
開店10分前、東一市場の横丁側の入口に到着、すでに先客1名有り、5分前に店が開く。

肩触れ合えば30人は立てそうなL字カウンター、呑み人は通りに面した短い辺の隅っこに立つ。
大将、怪訝そうな表情、ここはヘビーな常連さんの定位置か?格子のガラス戸から黄昏のあかり。

宮城の酒を所望する、角屋の “金紋両国 浦自慢” が厚手のグラスから滴り落ちる。お迎えに行かないと。
一般には出回っていない飲み応えのある、冷でよし燗でなおよしの本醸造だ。
アテに狙っていた “中落ち” はなく、代わりに “本マグロ刺し” を。ちょっと厚めの切り身が嬉しい。

開店10分後、刺身が出てくる頃にはカウンターはほぼ満席になっている。隣客と頻繁に肩が触れる。
オーダーを聞かずして大将が一杯目を用意するあたり、みなさん定刻に現れる常連さんだろうか。
姿恰好からすると此処いらの商店主さんが多いだろうか、サラリーマンは少ない。あっ今日は休日か。

“帯広風焼豚” ってのを頼む。千切りキャベツの上に甘辛いタレをたっぷりかけて登場、ワサビで美味しい。
カウンターは二人で回しているから忙しい、でオーダーのタイミングが難しい。多分暗黙のお作法がある筈だ。
「浦自慢は美味しかったか」と大将、やっと口を開いてくれた。
二杯目をねだると “澤乃泉” が出てきた。コクと香りのバランスが取れた定番の特別純米酒が美味しい。

開店40分後、店内に立錐の余地なし、今宵はきれいに席を譲ることにしよう。お会計は満足の1,700円也だ。
まだ臨時ダイヤで走っている東北新幹線、はやぶさを1本逃すと1時間帰りが遅くなるしね。
次回はもう少し余裕ができるだろうから、ゆっくり楽しむことにしよう。まだまだ食べたいアテがある。
店を出ると支社が入居するビルディングが近いことに気付いた。遠からず出張の機会もある筈だ。

Casablanca / Bertie Higgins 1982
     


大人の休日 岩手山と石割桜と盛岡冷麺と

2022-05-07 | 旅行記

 東北新幹線が全線復旧しましたね。盛岡城跡公園の満開を狙って4月のとある大人の休日。

はやぶさ305号の車内に盛岡到着のアナウンスが流れる頃、車窓を占めるのは雄大に裾野を広げる岩手山。

駅前から盛岡都心循環バス「でんでんむし」(1乗車120円)に乗って、先ずは盛岡地方裁判所に向かう。

裁判所の前庭には国の天然記念物「石割桜」が孤高に美しく咲いている。
巨大な花崗岩の割れ目から突き出た樹高11.0メートルのエドヒガンザクラ、樹齢は360年以上だそうだ。

県庁前交差点から鳥居を潜り、じゃじゃ麺の白龍をやり過ごしたら盛岡城内の櫻山神社へ。
神社の厳かな雰囲気を引き立てるのはシダレザクラ、ピンクの花弁が可憐だ。

ところでここに来る前に、盛岡駅前の「ぴょんぴょん舎」で早めのお昼、そう盛岡冷麺がもう一つの目的なのだ。
ランチメニューの “ミニプルコギ丼” をアテに、地ビールの “BEAREN CLASSIC” をいただく。
甘く脂があるプルコギに、コクとほどよい苦味のラガーが美味しい。 

さてっと真打ち “冷麺” が登場。澄んだスープの真ん中に麺を盛り上げ、脇をキムチ、牛肉のチャーシュー、
ゆで卵に三杯酢漬きゅうり、ナシが固めて見目麗しい。
コクのあるスープ、コシが強い麺のツルッとした喉ごしを味わい、キムチを沈めて辛味を増したりして楽しい。
想像していたよりはるかに美味しい、初めましての本場盛岡の冷麺に満足なのだ。

北上川の支流中津川の河岸段丘、桃山様式の石垣を残す盛岡城跡公園の桜は主にはソメイヨシノか?
桜は二段目の淡路丸と腰曲輪を埋め尽くして爛漫を誇り、本丸に登城するとそこには桜の雲海が広がっている。
淡いピンクの雲海に、浮遊感というか、かるい眩暈を感じたというか、とても心地よい盛岡の桜。

ちょっと贅沢な大人の休日、満開のサクラと冷麺を求めて、日帰りの盛岡紀行なのだ。

夜よ泣かないで / 松山千春 1982