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わたしを離さないで、読書

2012-08-06 23:15:48 | 本と雑誌

カズオ・イシグロ著

土屋政雄訳

早川書房

クローン人間を,人間のパーツ取りに育てている話です。
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クローン人間は、普通は家畜やモルモットのように育てていたが、これを人として教育し育てたら、どんな感性を持つのだろうと,先進的な施設があった。

環境こそ閉ざされているが、まっとうな教育を施したら、普通の人間と同じような感情,感性を持つようになって、社会が驚き,反対にクローン人間の教育を止めたと言う。
クローン人間の一生は、パーツ取りされるので、いずれは何回目の手術のあとには役目が終わる。つまり何回目かのパーツ取りで死ぬわけだ。

クローン人間の命は普通の人間の命とは価値が違うということになっている。
クローン人間は自分の運命を淡々と受け入れている。
そのために作られた生命体だからと納得している。
だけど、感性が豊かで教育を受けられたクローン人間の物体は、社会の仕組みにいくばくかの空しさと、疑問を持つのではと書いている。

つまり,この本で言いたかったのは、人がどんな生命体まで,人のために喰われていいのか(命を落とす)、それが許されるのかということだと思った。
知性がある人を(クローンだったとしても)喰っても良いのか、、、。臓器移植とはそんなものでしょう。

動物は人に食われていいのか?
馬やイルカはダメで豚,牛,鶏は良いのか?

犬やクジラはダメでネズミや猿はいいのか?

なんて社会が違えば常識と思われていることだって違う。欧州文明では馬は人の生活に近いからダメでイルカは知性があるからダメといっている。だけど白人の金持ちは発展途上国へいき臓器移植をしてくる。

名著「闇の子供たち」の世界です。

馬やクジラはだめとか、そんな簡単なことじゃない。
部族の英雄を食べるのは英雄から勇気を頂くことだ、、、といったら私だっら納得する。
自分が病気になり臓器が痛んでいて、人の臓器を頂ければ治ると知ったらどうでしょう、、、考えがおよびません。自分の身体をどこまでチェンジしたら自分でなくなるのだろう、、、と考えたら、、、自分が自分であるのは考えることなんで頭で考えているのだろうとわかっていても、場所を特定はできません。考えるから自分なので考えなくなったら自分じゃないのだろう。

この「わたしを離さないで」に似たストーリーの映画を25年以上前に見たことがある。クローン人間には人間に比べて短い寿命しかなくて、クロン人間も人並みの寿命が欲しくなった。クローン人間同士が愛し合うようになって、神がおりクローン人間が人間と同じ寿命を得たというストーリーだった。
クローン人間にしろ、クローン羊にしろ、生命体として命を吹き込まれたら、元の生命体と同じように扱うのが良いのではと思う。
クローン人間を喰っちゃ行けない。倫理の問題です。クローン人間を労働力として捉えるならば、ある程度納得します。

ただ倫理ってなんだ?
と問いつめられたら、今のわたしには答えられない。
命とは与えられたもので、いつかなくなるもの、、、良い答えだ、、、。
倫理とは命をうやまうこと、、、で、どうだろう?

おもたい内容ですが、静的な描写と緻密な描きがすばらしい、お勧めします!

日の名残り カズオ・イシグロ ブッカー賞受賞

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/25998571461c070cee36d328258a1c7d

 紀の川 有吉佐和子 女3代にわたる、女の一生

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/42e8223a65d0f2a5ba642c51139f88a8

イザベラバードの日本紀行㊤ 1880年代にイギリス人女流冒険家&写真家&作家さんが1人で日本旅行した 

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/9c4b8150096cccbbba33fbc2711c3c2e

イザベラバードの日本紀行㊦

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/119fb8e45d2c7563144f348f6c65d6bb

イザベラバードの中国奥地紀行㊤ 1880年代、ちょうど日清戦争が終わった頃の一人旅です

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7c1d52aa204ccb6975824f020bdcc504

イザベラバードの中国奥地紀行㊦

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/96ac13d80f8fb7067ac229984ae53ce1

イザベラバードの朝鮮紀行 日本、中国、ロシアに挟まれた当時の朝鮮

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/5f2f1b42636aa986b44cb7594e14d909

ホテルローヤル 桜木紫乃

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7336ab8978fa67681d133f096c2f2390

すばらしい新世界 バックスリー 1932年に発行された破壊的懐疑主義空想物語

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/24ecbe9335f0cce6345980ca1d2c1ad7

わたしを離さないで カズオ・イシグロ 代表作のひとつ 2017年ノーベル文学賞を受賞

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/5f171addb3dc788c75939e82d34be018

夜と霧 ヴィクトールEフランクル 第二次世界大戦時のアウシュビッツでの生活

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/88d701444d03e880344237c875562569

憑神 浅田次郎 貧乏神、疫病神、死神が次々にやってくる、ファンタジー小説

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漂流教室 楳図かずお 極限状態に設定した世界での人の本性を描く

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/b9d8b6217b3a0cce2bc26ad9c2417a8d

風の影 カルロス・ルイス・サフォン 舞台は第二次世界大戦直前のスペイン、フランコ政権時だった

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容疑者Xの献身 東野圭吾 大学時代の天才が時を経て再会、数学者の犯罪を物理学者が解いていく

https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/775ba2cbeb9bbf089274adef1ebef503 

天使と悪魔 ダンブラウン この後書かれた、ダ・ヴィンチ・コードが世界的ベストセラーになった

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イリュージョン リチャード・バック かもめのジョナサンで知られている作家

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病んだ家族、錯乱した室内 春日武彦 部屋は住まわれている方たちの精神状態を表している

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人間の証明 森村誠一 野性の証明のほうが面白いかな

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闇の子供達 梁石日 東南アジアの臓器売買の実態

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悪魔の飽食、野生の証明 森村誠一 731舞台の話と、東北を舞台にした殺人事件

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もの食う人びと 辺見庸 食らい、語らい、鮮やかに紡いだ、世紀末の食の黙示録

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