カズオ・イシグロ著
土屋政雄訳
早川書房
クローン人間は、普通は家畜やモルモットのように育てていたが、これを人として教育し育てたら、どんな感性を持つのだろうと,先進的な施設があった。
環境こそ閉ざされているが、まっとうな教育を施したら、普通の人間と同じような感情,感性を持つようになって、社会が驚き,反対にクローン人間の教育を止めたと言う。
クローン人間の一生は、パーツ取りされるので、いずれは何回目の手術のあとには役目が終わる。つまり何回目かのパーツ取りで死ぬわけだ。
クローン人間の命は普通の人間の命とは価値が違うということになっている。
クローン人間は自分の運命を淡々と受け入れている。
そのために作られた生命体だからと納得している。
だけど、感性が豊かで教育を受けられたクローン人間の物体は、社会の仕組みにいくばくかの空しさと、疑問を持つのではと書いている。
つまり,この本で言いたかったのは、人がどんな生命体まで,人のために喰われていいのか(命を落とす)、それが許されるのかということだと思った。
知性がある人を(クローンだったとしても)喰っても良いのか、、、。臓器移植とはそんなものでしょう。
動物は人に食われていいのか?
馬やイルカはダメで豚,牛,鶏は良いのか?
犬やクジラはダメでネズミや猿はいいのか?
なんて社会が違えば常識と思われていることだって違う。欧州文明では馬は人の生活に近いからダメでイルカは知性があるからダメといっている。だけど白人の金持ちは発展途上国へいき臓器移植をしてくる。
名著「闇の子供たち」の世界です。
馬やクジラはだめとか、そんな簡単なことじゃない。
部族の英雄を食べるのは英雄から勇気を頂くことだ、、、といったら私だっら納得する。
自分が病気になり臓器が痛んでいて、人の臓器を頂ければ治ると知ったらどうでしょう、、、考えがおよびません。自分の身体をどこまでチェンジしたら自分でなくなるのだろう、、、と考えたら、、、自分が自分であるのは考えることなんで頭で考えているのだろうとわかっていても、場所を特定はできません。考えるから自分なので考えなくなったら自分じゃないのだろう。
この「わたしを離さないで」に似たストーリーの映画を25年以上前に見たことがある。クローン人間には人間に比べて短い寿命しかなくて、クロン人間も人並みの寿命が欲しくなった。クローン人間同士が愛し合うようになって、神がおりクローン人間が人間と同じ寿命を得たというストーリーだった。
クローン人間にしろ、クローン羊にしろ、生命体として命を吹き込まれたら、元の生命体と同じように扱うのが良いのではと思う。
クローン人間を喰っちゃ行けない。倫理の問題です。クローン人間を労働力として捉えるならば、ある程度納得します。
ただ倫理ってなんだ?
と問いつめられたら、今のわたしには答えられない。
命とは与えられたもので、いつかなくなるもの、、、良い答えだ、、、。
倫理とは命をうやまうこと、、、で、どうだろう?
おもたい内容ですが、静的な描写と緻密な描きがすばらしい、お勧めします!
日の名残り カズオ・イシグロ ブッカー賞受賞
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/25998571461c070cee36d328258a1c7d
紀の川 有吉佐和子 女3代にわたる、女の一生
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