倭建命の最期

2008-11-13 | 読書
 古事記、死をむかえる倭建命の段。
 尾張の国の美夜受比売のもとに、草薙剣をおいて、倭建命は伊吹山に向かう。山の麓で牛くらいもある白猪に出会う。倭建命は、「どこかの神の使者だろう。帰り道に殺してやる」と言って、行き過ぎる。その白猪は、神そのもであった。神は、倭建命の言辞に不快を抱く。倭建命自身も、自分の言辞にしっくりこないものを感じていた。いつもなら、神であろうとその使者であろうと、ここで決着をつけていただろうにと。心からにわかに落ち着きが去って行った。
 倭建命は、神の祟りをうける。雹が降り、雹に打たれて、倭建命は、すっかり平静を失った。足もともおぼつかなくなった。少し歩くといやに疲れた。杖をつくなど、これまで考えられぬことだった。それでも、故郷たる都に朦朧としたままよたよたと歩を進めた。能煩野という地にいたった時、故郷、なつかしき国を思って歌をよんだ。
 「やまとは国のまほろば たたなづく青垣 山隠れるやまとしうるわし」
 「愛しけやし 我家の方よ 雲居立ち来も」
 そして、これまで己を守護してくれた剣も携えていないことを思う。
 「嬢子の床の辺に 我が置きし剣の太刀 その大刀はや」と歌い終えると・・・・。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿