いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

君はボブサップを見たか

2002-10-16 03:17:18 | いぶたろう日記クラシック
とんでもない奴が現れた。
その名はボブ=サップ。
身長2メートル、体重170キロの豪傑ファイターだ。
とにかく、何もかもが規格外れ。全身が筋肉の鎧なのだ。
しかも、ただの巨漢ではない。
ついこないだまでトップアスリートの集団であるNFL(アメフトね)の選手であった彼は、
なんとその巨体で100メートルを11秒台で走るのだ。
とにかく見たことない人は、一度その姿を目にしてほしい。
俺だったら例え拳銃持ってても奴とは絶対にケンカしない。
ボブサップと対戦した連中はバンジーやスカイダイビング以上の勇気の持ち主だ、尊敬する。

そんなボブサップ、今までどんな試合をしたかというと。
まずはK-1で中迫という日本人でそこそこ強い奴とやった。
ボブサップの前評判は、その巨躯とパワーはともかく、
テクニック的には素人同然のため、負けないまでも苦戦するだろうという見方が多かった。
試合の結果は反則負け(反則を犯した方が負けることね)。
しかし勝負として見た中身は圧勝、大人と子供の喧嘩だった。
「蟷螂の斧」という言葉があるが、文字どおりカマキリ対ゴリラだった。

相手がダウンしたり、ゴングがなったらすぐ攻撃をやめるというのが絶対のルールだが、
彼はこの枠にも収まらない。
それをやっていいのは猪木だけ、もとい、プロレスだけだ。
ひたすらぼっこぼこ。中迫の攻撃はまったく効かない。
このため、反則行為ばかりが注目を集めてしまい、
K-1ファンの反感を一身に集めてしまったが、彼は悪びれた様子も全くない。
どころか、自らに期待されている通りの悪役キャラを演じきっているのだ。

次の試合はプライドという総合格闘技の場であった。
「総合」とは、要するにパンチキック寝技何でもありである。
急所攻撃と目潰し以外は基本的に何でも認められるというルールで、最近流行りの試合形式だ。
ここで、ボブサップの真価が爆発した。
相手は「人類最強」とまで呼ばれたアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラという、
ブラジリアン柔術の達人である。
これに格闘技は素人同然のボブサップが挑む。
勝負やいかに。
観客みんなが度胆を抜かれた。
ノゲイラの攻撃がなにも効かないのだ。
マホカンタ状態、いやアストロンといっても過言ではあるまい。
しかもノゲイラは頭からさかさまに落とされたりして、危うく死ぬとこだ。
結果こそ、一瞬の隙をついてノゲイラがボブサップの腕間接を極め、
ノゲイラの勝利に終わったが、試合後の両者の様子からするとおおよそ勝敗は逆に思えた。
「わぁお~、信じられないよ~ボブ~」
深夜の通販ならずとも、こう叫んでしまいたい程の非常識な強さだ。

そして先日のK-1。
K-1最強最高のテクニシャンにして、過去3度の優勝を誇り、
ミスターパーフェクトと異名を取るアーネストホーストとの一戦だ。
前評判ではホースト有利だった。
あの完璧な技術の持ち主が素人相手に負けるはずが無いと。
ホースト大好きな俺もまた、彼の勝利を信じて応援した。
ところが。
ボブったら勝ってしまったんである。
序盤こそ、ホーストのローキックに足を封じられたが、
突如突進したかと思うとあとは左右交互に猛然とパンチを打つのみ。
それだけで、勝ってしまったんである。
正確には、ホーストが右目まぶたを大きく切ってしまったため、
流血が止まらず、医師が試合続行不可の判定を出したのだ。
ホースト自身はまだやれそうな感じではあった。
しかし、負けは負けだ。
呆気にとられた。
誰が勝てるんだこいつに。

続いて昨日は新日本プロレスで中西という怪力レスラーと試合をした。
ここで奴はなんと巨体を浮かせてドロップキックまで披露し、
まるで相手にしない感じで圧勝してしまった。
決着はキックで場外にふっ飛んだ中西のリングアウト負け(プロレスでは20カウント以内にリングに戻らないと負け)、
いささかプロレス色の強いラストだが、
とにかく彼はまた勝った。
しかも普通これだけの短期間に、
ルールのまったく違う試合を続けて行なうなど、考えられない。
ましてや相手はいずれも一流どころだ。
これは認めざるを得ない。
ただちにいくつもの記事をチェックし、ボブサップの何たるかを調べあげた。

結果、奴は相当なインテリであることが判明したんである。
アメリカの一流大で薬学を専攻してたらしい。
しかも、コメントがいちいち知性的だ。ユーモアのセンスもある。
おそらく彼はかなり頭がいいはずだ。
自分に求められているものが何か完璧につかんでいる。
テレビの前でりんごを握りつぶしたり、
対戦相手の名前の書いた紙をむしゃむしゃ食ってしまったり、
それらはいずれもインパクトを与えるための演出だ。

実は中西戦の前にテレビで彼の特集があって、
彼は動物園に連れていかれ、対戦相手を捜し求めてさまよい歩き、
ゴリラやゾウの檻の前で吠え暴れるというキャラを演じきった。
普通、バカにされてると思ってまじめにやりはしない。
ところが彼は真剣なのだ。
きちんとカメラの前で期待通りの姿を見せてくれるのだ。
これは本物のプロだ。
しかも、檻の前で勝ち誇っているところに、
スタッフが中西の写真パネルを持ってくると、
とたんに「ナカニシ~~!!」と雄叫びをあげておもむろにシャツを脱ぎ、
パネルをびりびりに引き裂いてしまうという演出付きだ。
何度も何度も律儀にお約束を果たす。
おまけに一人二役で
「おい中西、負けを認めるか?」
「ハイ~ボクノマケデス~(裏声で)」
「俺が最強のチャンピオンだな?」
「ハイ~アナタサマハ最強デス~」
などとミニコントまでやってくれるんである。

気に入った!!!!

このプロ根性には脱帽だ。
しかも文句無しに強いんだ。応援することにした。
みんなもボブを応援してやってくれ!
ホースト戦で圧勝しながらも、心ないK-1ファンのブーイングを浴びてしまった、
可哀想な彼に熱い声援を!

ひとつ、とっても驚いたことが。
なんと奴は、俺と同い年なんである。
阪神今岡、巨人松井、ミルコクロコップ、そしてボブ。
う~む。
うう~む。

俺も頑張らねば。


〈2005年追記〉
いまや誰もが知るところとなったボブサップ。
彼の登場に限りない可能性を感じた俺の熱き文面がまぶしい。
その後伸び悩んでいるサップだが、きっとまた度肝を抜いてくれるだろう。
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