蹄葉という用語は蹄葉炎としてしか意識することがないのではないだろうか。
左は蹄葉炎で駄目になった馬の蹄底。すっかり平らになってしまっている。崩れていたり、割れてしまっていないだけましだ。
右はその割面。蹄骨が回転(ローテーション)を起こして蹄底を割りそうになっている。
もとは、蹄骨は蹄にピタリと張り付いていたのだ。だから馬は蹄で受けた体重が蹄骨に伝えられ、蹄で歩くことができる。
その組織が蹄葉だ。その組織がダメージを受けると、貼り付ける力がなくなって蹄骨は体重がかかるまま蹄のなかで沈むか、深屈腱に引かれるままにローテーションしてしまう。
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結構人気のある種馬が蹄葉炎を起こした。装蹄師が鉄を着けていったのが左。
道具がそろっていなかったとか、時間がなかったとか事情はあったのだと思うが、これではエッグバー鉄を着けても馬は楽にならない。
蹄尖をはがす力が働いてしまう。
診療所へ連れてきて、別な装蹄師にも来てもらって、X線写真を撮りながら装蹄してもらったのが左。蹄踵側で負重できるようになっている。
蹄壁は蹄尖部を中心に大きく削除した。蹄内部にはすっかり異常な角質ラメラウェッジが形成されていた。
蹄鉄を前後逆向きに装蹄した。鉄橋をつけているが、これは蹄底を支えようとしているのではなく、蹄底にものがあたって痛かったり、蹄底が割れるのを防ぐためのもの。蹄底には当たっていない。
削蹄師、装蹄師は鎮静剤をうったり、X線撮影したりができない。そして、毎日頭数をこなすのに忙しい。そして、治療はしてはいけないことになっている。
獣医師は蹄鉄を細工したりできないし、道具もそろえていない。お互い協力し合う必要がある。
削蹄師は血を見たり、痛いところまで削るのは嫌う。だから、獣医師が協力して、「もっと」と言ったほうがいい。左のように削ってもらった。
ローテーションを起こした蹄を削って、蹄骨が沈み込んでしまうシンカーに発展しないかどうかはお互い協力して考える必要がある。
この種馬はなんども装蹄、削蹄を繰り返して痛みもなくなった。前肢だったが、1肢だけだったのが救いだったかもしれない。
対側肢まで蹄葉炎を起こしていたら・・・・・・危ない状態だったのだ。
蹄骨が出て、レース復帰するというのはすごいですね。
蹄底が割れるとか蹄冠が自壊するなどというのをあきらめるきっかけにすることがありますが、どんな状況でもチャレンジは必要なのかもしれませんね。
以前、脱蹄した馬を助けた報告があったのを知っています。
発熱ですか?以前から蹄葉炎で右前が痛かったとすれば、ローテーションした部分に感染した可能性があります。いずれにしてもX線撮影をお勧めします。空隙ができているなら、蹄壁を大きく切除する必要があるでしょう。感染していればとくにです。
ほんとにひどい天気です。
蹄踵を削蹄する手はありません。蹄葉炎では蹄葉が支持力をなくし、蹄骨が深屈腱に引っ張られることで、蹄尖部で蹄壁と蹄骨が剥がれてローテーションがおきてきます。
蹄尖部に体重がかかると、蹄を剥がされるので馬は蹄踵に体重をかけたいのです。
蹄尖部を削蹄し、蹄壁が剥がれているならその部分は取ってしまう。感染していることも少なくありません。
装蹄は装蹄師に頼まないと無理です。発泡スチロールで蹄底を支えてやることで楽になることもあります。安上がりでよい方法です。
蹄葉炎では、幹細胞移植は効果がないのでしょうか?誰か幹細胞移植して治癒したり、治療のためにされた獣医さんいるのでしょうか?
興味あったサイトですので、コメントしました。
お時間あれば、ご教示願えれば、有難いのですが。
蹄葉炎に幹細胞移植というのは聞いたことがありません。幹細胞移植は再生しにくい組織を再生させるために行うのですが、蹄葉炎は再生しないというより物理的に崩壊しているので、力学的な管理がまず必要なのだろうと思います。
蹄葉炎について教えて下さい。
3年前、蹄葉炎と装蹄師に言われました。
今年、25歳になる馬ですが、5月3日に装蹄をしましたが、爪の状態は大変良く、ヒールを付けて鉄を付けてもらっています。
破行も並足ではみられません。
ただ、熱が高く、一か月続いています。
バナミン、ペニシリン、エクセネルの抗生剤と人間用の座薬で対処しています。
ほぼ39度前後あり、40度あると息が荒くなるため、解熱剤を使います。
すぐに38度~37.5くらいになりますが、3日もすると徐々に体温があがります。
高熱があっても食欲はあり、元気なのです。
獣医は蹄葉炎が原因というんですが、他に考えられる原因か、熱を下げる方法はありますか?
どうかお知恵を是非、お貸し下さい。お願いします
蹄葉炎はかなり重度なようですので、X線撮影してもらうと良いと思います。ローテーションした蹄はしばしば感染し、内部が化膿します。X線画像で空洞や化膿部分は透過域として判別できるはずです。
40度の熱というのはただごとではありません。解熱剤で下げるより感染部位を特定して、原因療法する必要があります。
跛行がないなら、蹄以外の運動器の感染は考えにくいので、心内膜炎、肺炎、胸膜炎、腹膜炎、乳房炎、それらの膿瘍化が類症鑑別リストでしょうか。