3週間前、右後ろ肢の外側蹄側蹄冠部を大きく裂いてしまった3歳種雄馬。
怪我して18時間以上経っていたようだし、傷は汚れていたし、
おまけに蹄冠部の血管叢がむき出しになっていて、デブリドすると血が噴き出すので徹底してきれいにすることはできなかった。
蹄軟骨も切れていた。
Distal Limb Castを巻いて3週間。
キャストの上に滲出があったり、キャストトップが当たったりはしなかった。
distal limb cast ってあんまりやらないけど、良いかも。
うるさい種雄馬なので、しっかり鎮静して、鼻ネジして、右前肢を持ち上げておいてギプスカット。
傷の状態はとても良い。
角質部は当然癒合しない。
しかし、蹄冠がだいじょうぶなら蹄はまた伸びてくる。
distal limb cast の蹄底部は磨り減ってなくなり、土や汚れが入っていた。
ずっと完全に覆っていたい、例えば蹄底に大きな穴を開けた症例なら、もっと保護が必要だろう。
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下肢の傷をキャストで動かなくすることは傷の癒合にとても良い。
もっと使うべき症例があるのかもしれない。
逆に、傷を負ったまま歩き回ってしまう馬の創傷管理の難しさを思う。
受傷部を高く保って、ベッドでおとなしく寝ていてくれればこんな苦労はないのだけれど。
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本格的な冬の寒さがやってきた。
暖かくして寝ていましょう。
余計な肉芽増殖もないし、感染でぐちゃついてもいないし。
記事のリンクがここだったけど、11月24日のはっちゃき牡馬のことですね。
オラ君、それほど寒くないのでしょね。まるまり具合がほどけ気味。
蹄底が抜けないようにするなら、蹄底部を厚く巻いて、蹄負面に樹脂を塗って、さらにダクトテープで保護します。3-4週はもつでしょう。
あの傷としては、最良の状態だと思います。これから汚さないようには管理してもらいたいです。
この桶は秀逸です。丸くなって眠りたいワンコの習性をよく理解しています。
3点、お聞きしたいのですが
①この3週間は抗生剤投与などの感染予防等はされたでしょうか。うるさいとのことでしたので難しいそうですが。
②縫合糸はすべて抜糸されましたか。状況が許せば蹄の部分だけ残して段階的にしたほうがよかったりするのでしょうか。
③このあとは様子見で特別な処置は必要ありませんか?牛はかなり汚すのできれいに直そうと思うと真皮が露出している部分には包帯交換が必要になります。
先日、育成牛の前肢で同様の蹄まで達する裂創をみました。受傷から時間が経っている上に欠損が大きく縫えませんでしたが、キャスト材で当て板を作って繋を不動化し、対側に下駄をつけてみました。牛は下駄が使えるのが本当にありがたいです。今のところ順調のようですが明日の再診でどうかというところです。
①3週間投与し続けていたかどうか・・・10-14日後からは不要だったかと思います。
②もう3週経っていますので、全部抜糸しました。もう効果はありません。
③上皮欠損している部分が肉芽増勢しないか心配もありますが、完全に上皮化するまで治療を続けるのは現実的でないと思います。フリーストールの牛は傷を糞尿漬けにしているようなものですから・・・
そのような傷をした牛はフリーストールから出してやりたいですね。牛はdisital limb castはどうでしょうね。
山岳山羊は副蹄も使って、断崖を登り降りするのだそうです。馬より丈夫なのだと思います。
もちろん人為的にだけでなく負重でも傷が動くので治りにくいのでしょう。
ハイドロゲルの絆創膏は広く粘着して皮膚を固定しますが、これの治療効果は相当あると思います。
湿潤だけに注目して、紙おむつやラップを褥瘡どころか切創にまで拡張して最新式!の治療を施して大惨事を引き起こした先生もいないわけではないと思います。
キャストが擦り切れた段階でいずれの機能も消失したでしょうからターンオーバーはもう少し短いのでしょうね。
私だったら蹄壁の伸長が始まるまで裂蹄状の角質除去とキャスト固定を続けてみたいと考えます。
正常な蹄冠が形成されるのはもう少し先でしょうし、そこまでキャストの固定が奏功するならこれは装蹄師にも福音をもたらすでしょう。
裂蹄のままでは治ったとは言えないでしょうし、より期待したい効果です。
傷の内部が癒合するかどうかに湿潤療法は関与も貢献もしないでしょう。
この症例ではキャストの蹄底は重要ではありません。ほとんど下巻きせずにキャストを巻いていますので、蹄機を抑えてくれれば良いのです。汚れも蹄壁についていただけで傷には付いていませんでした。
安全策をとりたくなるかもしれませんが、写真でわかるように繋の皮膚もそろそろ擦れて、蒸れて、きています。私は経験から、キャストは3週間がひとつの目安と考えています。
そしてハイドロゲルの絆創膏も相当そうなのではないかと思うわけです。
蹄底が切れてしまえばキャストは上にせり上がり蹄機の抑制は難しくなるのではないかと思いますので、その機能はもっと早く失われていたでしょう。
そしてキャストを外してしまう方がどちらかといえば安全策だと思います。
装蹄師さんは裂蹄の応力分散だけでなく反回を短縮したりパテや接着蹄鉄もつかって蹄機の抑制を図り続けるのではないかと思います。
軟部組織は取り扱えないと思いますがhoofcastは装蹄師さんのアプローチの一つにあっても良いのではないかと思いますが如何でしょう。
1枚目の画像でわかるとおり、キャストはずれあがったりしていませんでした。
hoof castは装蹄師さんでも使う人が居るかもしれませんが、cast材は消費期限があり、ある程度の使用頻度がないと無駄になりがちです。また、鎮静剤を使いたいことが多いですよね。固まるまで持っていなければなりませんから。
蹄尖だけ切れてたなら問題ないのかも知れませんね。
逆に反回が伸長して蹄踵に負重が寄るより良いかも知れません。
蹄尖を投げて、4ポイント的な摩滅を狙っていくのも手ですね。
この部位をタイトに巻いたものについて、蹄の伸長は巻き替えのタイミングとして無視できない要因なのでしょう。
蹄にキャストを接着してしまえばよりタイトになりますが、後が悪いですよね。
ブチルゴム系の自己融着テープが使えるかも知れません。
海外ですと人工授精資格で硬麻までやりますから装蹄師さんも使えたら良いのに、と思います。
よくやるなぁと思いますよ。
獣医流にはまらないで、常々結果に拘って技術を提供していけば相互理解につながるのだろうと思います。
あるいはdistal limb cast は有効です。
それらの方法の基本は、蹄壁上は下巻きを巻かないか、巻いてもとても薄くすることです。(蹄冠、つなぎ部は別)
海外にはhoof cast様のキャスト材があるそうです。伸びにくいとか、粘着性が強いとか弱いとか、工夫されているのでしょう。しかし、通常のキャスト材で問題ありません。
獣医師がまず何でもやれなければなりません。そして、充分な仕事量があり、職業や資格として成り立つなら独立させて委託しようということになります。