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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

第三手根骨矢状盤状骨折のscrew固定

2023-06-06 | 整形外科

午前中は、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

距骨外側滑車が大きく割れていて、それでも苦労しないで終わるはず・・・と思っていたら、

めずらしいほどいくつもに骨片が割れていて、微妙に時間がかかった。

             ー

午後は、2歳未出走馬の第三手根骨矢状方向盤状骨折。

第三手根骨の内側の部分、第二手根骨と関節している部分が矢状方向に、第三中手骨との関節面まで割れている・・・らしい。

このタイプの骨折としては割れ方が大きい。

幸いなことに、関節鏡で覗いても、盤状骨折片の変位はほとんどなく、骨折線部の損傷もひどくなかった。

このタイプの骨折は、skyview と呼ばれる屈曲位での近位-遠位方向撮影でないと描出できない。

若い獣医さん、覚えておいてね。

それも、わずかに外近位から撮影しないと骨折線が写りにくいことがある。

怪しかったらやってみてね。どうしてか考えてね。

             ー

私はこのタイプの”盤状”骨折が、本当に盤状なのか、つまり第三中手骨との関節面まで割れているか疑う。

途中で、第二手根骨側へ骨折線は抜けているのではないかと疑う。

それなら、固定するscrewは、関節面に近い部分に入れる必要があるだろう。

ただ、今回の症例は骨折部は大きく、厚く割れているようだ。

             ー

関節鏡で観ながら、目印の注射針を刺しておいて、

2.5mmドリルを当ててみる。

screwヘッドが第二手根骨に当たらない位置にドリリングした方が良い。

骨片部のドリル孔は3.5mmドリルで広げておいて、3.5 mm screwを入れて締める。

いいんじゃないの。

関節鏡で関節内の骨折線部をトリミングし、そこと当たる橈側手根骨の損傷がないことを確認して終了。

              ー

あきらめようか、との話も出たそうだが、生産牧場が手術に連れて来られた。

よくある腕節のchip fracture 剥離骨折より長い休養期間が必要であることを伝えておいた。

            ///////////

もう酪農家は草刈り始めてるよ~

出穂前期に刈ると蛋白含量の高い牧草が獲れる。

遅れると収量が増えても、繊維分が増えるだけ。

これはライグラスかな?

葉より穂が長く前が出穂前期。

これはオーチャードかな?

 

 

 

 

 

 



8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2023-06-06 06:12:30
 若い、昔若かった、先生方はこんな記事を見たら質問したくなりそうですね。
 生産牧場の方の気持ちに応えて良好に治癒に至りますように。

 そうなんですよ。今年は牧草の伸びが早いのでは?
 馬って先のほうから嚙み切って食べるようですが、穂先を食べているのを見ると、美味しいのかって訊きたくなります。外でのみ食べている馬にとっては、季節ごとに食べる植物はそれなりに体に合っているようには思いますが。
 歯やおなかが丈夫な馬って安心感あるなぁと常々。
 これから急に気温が上がったように感じる日もありそうですね。牧場の方々も先生方も隠れ熱中症に気を付けてお過ごしくださいね。いい一日を
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>はとぽっけさん (hig)
2023-06-06 18:08:24
若いか昔若かった獣医さんばかりです;笑

アスパラは先が好きな人と根元が好きな人と居るかも;笑 
馬は食える動物なのだそうです。しかし、総量で食べ過ぎるのは疝痛の元です。高品質な粗飼料が望ましいのは高泌乳牛と同じではないでしょうか。
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Unknown (zebra)
2023-06-07 05:31:59
理想的はCTに突っ込んでの手術なのでしょうね。
写っているものが全てかどうかは分からず、要因Xによる不成功が技術のせいにされたものではたまったものではなく。

アスパラ根っこ好きとか信じられず。
あれは馬の食うものでないの?

牛は遅れたくらいの草の方が安全ですね。
事故にならない方を作ってほしいです。
馬で脚にきてしまうタイプの草ってないですか。
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>zebraさん (hig)
2023-06-08 03:39:33
CT撮ってから、大型Cアーム(透視装置)で観ながら手術、が理想なんですかね。まあ、私の時代の物語ではありません;笑

アスパラの根っこというか、太いところ、柔らかいとうまいですよね。

牛も食い過ぎて鼓腸症になったりしますか。今の酪農事情だと、高泌乳を求めて牧草早刈りなんてありえないかもしれませんが・・・

春の栄養価の高い草、そして霜が降りる頃の糖質を蓄えた草は、蹄葉炎のリスクが高まります。難しいものです。
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Unknown (zebra)
2023-06-08 05:57:01
突拍子もなくCTなんて語り出した理由は射影斜めなんて補正できるよなーと思ったからですが、画像屋は描出しか弄らないですね。
内視鏡で覗いても見えないなら、本当に難しい診断になるのだろうと思います。

アスパラの皮削いで芯の柔らかい所ならまあ、と思いますが、hig先生とびきりの頂いてませんか。
売っているものではそうはならない様な気がします。
ブロッコリーとかカリフラワーとか茎食えるの最近まで知りませんでしたけど笑

草でひっくり返るくらいのアシドーシス起こす事知らないと治せない病態があるのですが、食うもの尋ねるよりアニオンギャップ測るのが今の獣医師なのかも知れません。
春と秋は未熟と未完熟の違いなんですかね。
一元論で解こうとするから解けないのかも知れませんが。
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>zebraさん (hig)
2023-06-09 04:57:02
ヒト医療でも「わからないなら取りあえずCT撮っとけ」とか、それはよろしくない、とかあるそうですよ。馬の肢もそうなるかも。

ブロッコリーは茎の方が栄養があるそうです。有名オーベルジュで、長いブロッコリーが1本だけ皿に載って出てきたことがありました;笑

ほ~生草だけでルーメンアシドーシスになるのですね。泡沫性鼓腸じゃなくて?
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Unknown (zebra)
2023-06-11 07:25:25
取り扱っている競走馬としての個体価値からすればもう少し資材が投入されてしかるべきなのでしょうけれども、それが未熟さをフォローできるかといえばそうではないのですよね。
エコー持っていれば直腸検査できなくても良いかといえば、まあ間違えますよね。
おまけに感触という情報が脱落するわけです。

平野レミインスパイアブロッコリーでしょうか...
料理が上手いにたどり着けず素材が美味いで満足してしまうと素人なんでしょう。
ポン出しだとそこかなり際どい笑

泡沫の鼓張症はどっちか言うとアルカローシスアシデミア?謎です。
北海道だとアシドーシスになるような草を人為的に食わせることなどないのではないですかね。
畦畔とか無理やり更新された草地にやっとで生えた草かき集めると問題が起きます。
ガスにすらならないので素人目にはさっぱりわからないまま静かに死んでいきます。
無責任な遠隔診療でそれ頓珍漢とされると大変だったりします。
クレーマーは自分の先入観を支持するコメンテーターを常に求めてますね。
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>zebraさん (hig)
2023-06-13 04:24:13
CTも超音波もDRも、ヴィデオスコープも、サーモグラフィーも、まあその通りですね。客観性であったり、記録であったり、可視化であったりしてくれますが、よく観て触って、の代わりにしてはいけないのでしょう。

とてつもなく蛋白含量が高い生草ですか?いやルーメンアシドーシスになるなら炭水化物量か・・・こちらでは盗喰した牛くらいしか診たことがありません。
低Mgじゃなくて??
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