近位成長板のところで折れてしまった。
たいていは、外側からドンとやられるらしく、膝が内へ入る方向へ、そして肢先が外へ変位するように折れる(左のx線画像は尾-頭方向で撮影している)。
この子馬の場合は外力が強かったらしく、変位の仕方が酷く、おまけに 骨折端で皮膚まで損傷していた。
脛骨は後ろへも変位していた。
斜め前外側から強い力で・・・・蹴られたか、ぶつかられたか・・・・
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膝の内側を曲線状に大きく切開し、剥がれてしまっている成長板を見ながら、骨端部にスクリュー孔を開ける。
T字プレートの頭をそのスクリューで固定して、脛骨体にもスクリューで固定する。
肢がブラブラになっているなら、この1方向からの固定では不十分なのだが、剥がれる成長板の面積が広く、関節周囲の筋肉や靭帯でとくに 外側は固定されているので、内側が開かないようにしてやればうまく行くことが多いとされている。
が・・・・実際にはそれほど簡単ではない。
子馬といえどもすでに100kg以上あり、それを支えることができる骨が折れてしまって変位しているのを戻し、その状態を保ちながら、薄い骨端部へできるだけ長いスクリューを入れなければならない。
どんな手術でも3時間以内に終わらせるのが理想とされているが、
4時間近くかかってしまった。
子馬の骨は柔らかくて頼りないが、5.5mmのセルフタップ皮質骨スクリューは良い感じに効いてくれた。
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子馬の成長板損傷は骨折の中でも特殊な条件について考えなければならない。
強固に固定すれば良いと言うものではない。
いつまでも内固定しておけない。
骨が成長できなくなってしまう。
人の子供の骨折もできるだけ内固定は避けるそうだ。
子馬は人の子供以上に大人しくしてないし、成長が速いからね・・・・・・
筋肉も多いでしょうし、骨折面が広い割にてこをかける余地もないでしょうから癒着してしまえばお手上げになりそうです。
非観血的に変位を整復する余地はあるのでしょうか。
骨端板をまたいだスクリューによる成長阻害ではなく、骨端板障害自体による早期閉鎖はあまり考えられないのでしょうか。
変位してしまっている骨折の内固定は、整復できるかどうかが鍵ですね。そして、仮止めするまでそのまま保持してもらわなければなりません。忍耐力のある屈強な助手が望ましいです(笑)。
非観血的に整復できるなら、minimally invasive surgeryも可能になると思います。
成長板損傷自体による成長板の閉鎖もありえます。