馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

第一指骨の外骨症と球節の骨片骨折

2014-12-23 | 整形外科

現役競走馬。徐々に右前肢の球節の遠位が腫れてきて、ついに跛行し、X線撮影で第一指骨に大きな骨増勢が見つかったので帰ってきた。

たしかに大きい。

どうしてこんなとこにこんな骨増勢が起きたのかわからない。

伸腱とこすれるだろうから、跛行するならへし折って取り出して削るしかない。

反対肢の球節も腫れている。

X線撮影したら、こちらは関節内に骨片が見つかった。

激しい競走生活を送り、両前の球節にかなり負担がかかってきたのだろう。

右前肢は総指伸腱上を切皮し、伸腱の内外から第一指骨に到り、骨ノミででっぱりを割って摘出した。

取り出した物を見ても、どうしてできたものなのかわからない。

この馬、右前肢の第二中手骨の先端も折れていた。

繋靭帯炎もあるので、繋靭帯に押されて折れたのかもしれない。

第二中手骨の骨折部分も摘出した。

それから馬の左前球節の関節内の骨片と軟骨片と増成した滑膜パッドの一部を関節鏡手術で摘出した。

ほかには、この馬の右前の種子骨の遠位には小さい骨片があるが、これは症状につながらないと考えて処置しなかった。

                        -

アスリートの体は激しく傷む。

回復が間に合わなくなると故障する。

一箇所の大きな損傷が起こることもあるし、あちこち傷むこともある。

外科的に治せるものは処置して、あとは休養とリハビリだ。

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 今日も風が強く、すこし雪も降った。

珍しく荒れる年末だ。



6 コメント

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Unknown (zebra)
2014-12-23 19:36:20
靱帯性腱鞘に関係があったりはしませんか。
もしそうであれば骨増勢のどこを伸腱が通っていたかは一つのヒントになるのでしょうけれども。
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>zebraさん (hig)
2014-12-23 20:01:55
外側指伸腱の付着部が剝がれたのかと考えましたが、そのような形跡はなく、骨増勢はもっと広範囲におきていました。
総指伸腱の下で幅広く骨形成していました。
第一指骨そのものは形状を保っているので、大きな剥離骨折の跡でもないようでした。
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Unknown (はとぽっけ)
2014-12-23 21:07:43
 こんなになるまでがんばっていたのですね。
 骨折したときのように仮骨から派生している形跡はないということでしょか?
 オラ君、今日は晴れ間もあって、外で遊べてよかったですね。
 
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Unknown (piebald)
2014-12-23 21:53:01
 立派な骨片ができてしまうんですね。
 あちこち損傷してしまい、夢中で治そうとしちゃって、間違えてしまったのでしょうか?
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>はとぽっけさん (hig)
2014-12-24 05:38:25
これだけ大きな骨片が骨折によるものなら、元の部分に欠損がなければならないと思います。また亀裂骨折に沿ってできた贅骨ならこれほどしっかりした骨体ができるのもヘンです。

雪は大好きみたいですね。
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>piebaldさん (hig)
2014-12-24 05:40:30
あ~なんかそんな感じです。私たちがまだわからない体の修復の仕組みがあって、それがその場所で過剰に働いてしまったんじゃないでしょうか。
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