すっかり雪景色に戻ってしまった朝だった。大雪などと言うと豪雪地帯の人に怒られそうだけど。20cm以上積もってた。
朝6時から入院馬の治療をして、朝飯食って、子供たちを学校へ送ってからトラクターで除雪作業。
もうスキーして楽しい雪質じゃないね。
ほとんど春にしかやらない手術に 子馬の肢軸異常angular limb deformity (ALD) の手術がある。実にいろいろな異常があるが、パターンとして多いのは左の写真の子馬のように腕節で外反 vulgus になっていてX脚と呼ばれるタイプ。
左の子馬は蹄に靴を履かせて矯正しているが、これくらいひどいと蹄の処置だけでは矯正するのは厳しい。
で、橈骨の遠位成長板の内側に金属を入れて、内側の成長を遅らせる。と、外側ばかりが成長するのでまっすぐになる。
以前は左のように成長板をはさんでスクリューを2本入れて、それをワイヤーで結んでいた。
次いで、右のようにステープル(かすがい)を打ち込む方法を多用するようになった。
しかし、どちらの方法も皮膚の下に金属があるので、傷の治りが悪かったり、包帯ずれができることがあった。
で、去年から成長板をまたいでスクリューを1本入れるようにした。
この方法では皮膚の下にはスクリューヘッドしかないし、手術のときの傷もドリルで孔をあけるだけなので今までの問題はなくなった。矯正の効果も問題なかった。
微妙な位置にスクリューを入れるのは結構難しいし、どんなスクリューを選ぶかなどの課題も残っているが、とりあえずこの方法には利点が多いと思っている。
整形外科orthopedic とは実は「子供の肢をまっすぐにする」と言う意味だそうだ。子馬の肢軸異常の手術はまさに orthopedic surgery と言えるかもしれない。
子牛でもこういう手術を必要とするのがいるんじゃないかと思うんですけど、どんなもんでしょうか・・・・・
競馬場の獣医ではありますが、産科や新生仔は獣医師としてマスターしなければいけないと思っております。大学の獣医教育(帯広蓄産はスゴイですけど)も進化して欲しいものです。
今後ともブログ期待しております。
関節付近に穴を開けるのですから
位置と大きさって重要でしょうネ。
(フムフム(^^))
生産地でも競走馬の診療をすることが増えてきました。今後ともよろしくお願いします。
>マスターさん
整形外科はとても大工仕事に似ています。ドリルで穴を開けて、補修用の金具を入れて、ネジで留めて・・・ 見ている牧場の人に「大工のほうがうまいんじゃないの」と言われたこともあります(涙)。
子牛ではたまに生まれつき前肢の球節がかえらないのがいて、よく添え木をあてて伸ばしながら包帯を巻く、なんて処置くらいです。
肢軸の異常で将来、肥育に耐えられなかったりする症例があるのかもしれませんが、経験したことありません。
何よりレントゲンをとるなんてこと、皆無です(;´д`)トホホ
牛は肢軸異常自体が少ないのかもしれませんね。実は私の地域でも頭数は馬より牛の方が多いのですが、相談されたことがありません。ただ、奇形として相談されず処分されている可能性もあるかなと思いますが・・・・