酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

高校野球と「リンダ・リンダ・リンダ」

2007-08-10 00:12:28 | 戯れ言
 甲子園で熱戦が繰り広げられている。特待生問題で揺れた春、高校野球の景色は一変するのではと予想したが、今年も従来通り<プロ高校>が顔を揃えている。

 サラリーマン時代、ビルぐるみの高校野球トトカルチョに参加していたが、結果は21連敗だった。博才ゼロの俺が今大会に一票を投ずるとしたら、今治西、宇治山田商、日南学園―桐光学園の勝者辺りか。

 高校野球はアメリカ人の目にどう映るのだろう。先日WOWOWで「高校野球~HIGHSCHOOL BASEBALL」(06年)を見た。取材班は智弁和歌山と天王寺(大阪)の両校が地区大会(04年)で敗れるまでをカメラに収めていた。精神主義、強調される教育的効果、神聖化された甲子園……。アメリカ人には理解不能な点も多かったはずだが、監督、選手、応援団の言動をレアのまま提示し、高校野球の本質に迫っていた。

 高校野球が夏の風物詩になったのには、日本人のメンタリティーに沿っていたからだ。「プロジェクトX」が人気を博したように、仲間が挫折を乗り越え夢を掴む過程が、集団への帰属意識が強い日本人の琴線に触れるのだ。

 高校野球に劣らぬ青春ドラマなら「リンダ・リンダ・リンダ」(05年)だ。韓国からの留学生をボーカルに据えた急造ガールズバンドが、たった3日で高校文化祭のステージに立つまでを追った作品である。

 ♪ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には映らない美しさがあるから

 彼女たちはブルーハーツの「リンダ・リンダ・リンダ」を選んだ。ジャンルを問わず日本語の歌で「リンダ・リンダ・リンダ」ほどカタルシスを呼び起こす曲はあるだろうか。その歌詞は、高校野球を毒してしまった「偽善」と「建前」をぶち壊す力をも秘めている。

 恵、響子、望、ソンの3日間を、各の恋や青春に付きものの行き違いを織り交ぜて淡々と描いている。「平成の原節子」香椎由宇(恵役)を筆頭に、キャストの多くは撮影前、既に女優としてミュージシャンとして脚光を浴びていたという。彼女たちについて無知だったので、より新鮮な気持ちで映画に接することができた。

 徹夜で練習を続けたため、メンバーはスタジオで寝過ごしてしまう。少しハラハラさせるが、ラストの爆発は予想通りだった。「フラガール」にも感じたが、最近の邦画は「青春」を扱うのが上手になった。砂漠化が囁かれる日本社会だが、底深くに熱いマグマが流れているのだろう。

 高校野球と「リンダ・リンダ・リンダ」(曲も映画も)は、炎暑でひからびた俺の心まで潤してくれる。日本人であることを実感する至福の時といえるだろう。


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4 コメント

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リンダリンダ (トメノ)
2007-08-14 22:58:33
ブルーハーツ(甲本ヒロト)の
清らかさと潔さがあれば、
戦争は必要なくなるかもしれません。


 愛じゃなくても 恋じゃなくても
 君をはなしはしない
 決して負けない 強い力を
 僕は1つだけ持つ
ブルーハーツの魅力 (酔生夢死浪人)
2007-08-15 00:08:28
 彼らがデビューした頃、30歳を超えていたので、ビビッドに反応することは出来なかった。でも、インパクトは十分でしたね。

 フジロック97でハイロウズ時代の彼らを見た。出演した外国人ロッカーの誰かが、「日本にもイギー・ポップがいた」と甲本を見て感心していたそうです。佇まいは似てますよね。
Unknown (なみ)
2007-08-16 19:06:04
それは、多分「フー・ファイターズ」のデイヴが言ってたかと思います。
フジロック97は、人の体から立ち上る水蒸気が印象に残ってます。雨でドロドロになったけどいい思い出です。
やっぱり (酔生夢死浪人)
2007-08-16 20:32:22
 デイヴでしたか。ちなみに、俺の横にいた外国人は「イギー・ジャップ」と声を掛けていました。

 場所は変われど、フジロックに雨は付きものの。台風のあの日は、いろいろな意味で伝説でしたね。レイジの名演は凄まじかったけど、今年のミューズも、パフォーマンスの質ではいい勝負ができたと思います。

 来年レイジが来れば、出演日限定で行かざるをえない。再結成ツアー、いつまで続けるんでしょうか。

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