大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年06月22日 | 植物

<3444> 奈良県のレッドデータブックの花たち(68) カノコソウ(鹿子草)  スイカズラ科(旧オミナエシ科)

                                  

[別名] ハルオミナエシ(春女郎花)

[学名] Valeriana fauriei

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種

[特徴] やや湿気のある山地の草地に生える多年草で、根茎から匐枝を出し、繁殖する。茎は太く直立し、高さ40~80センチ。葉は羽状に全裂し、対生。小葉は2~4対で、先が尖り、縁に粗い鋸歯がある。苞葉は線形。花期は5~7月で、茎頂に散房状花序を出し、淡紅色乃至は白色の小さな花を多数密につける。花は筒状で、普通5裂する。花冠は直径3ミリほどで、雄しべ3個は長く、花冠から突き出る。また、花冠の片側が膨れる特徴がある。なお、カノコソウ(鹿子草)の名は蕾の形が鹿子絞りに似ることによる。

[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国。ヨーロッパには同類のセイヨウカノコソウ(西洋鹿子草)がある。

[県内分布] 御所市、宇陀市、曽爾村の山地、高原。

[記事] 大和地方では自生地も個体数も限られ、草地の管理が十分でなくなり、自生地の消滅が懸念されている。なお、カノコソウの乾燥した根茎は吉草根(きっそうこん)と呼ばれ、鎮静剤としてヒステリーに効能があると言われる。また、芳香のある精油が含まれ、香料としても用いられる。 写真は高原の草地で花を咲かせるカノコソウ(左)と淡紅色の蕾が開き始めた花(右)。

   現在にあるものにとって

         過去は静寂の領域であり

   現在は動揺の領域であり

   未来は夢幻の領域である