<3434> 余聞 余話 「進む曽爾高原のススキ再生プロジェクト」
再生は夕陽に染まる薄原為せば成るとは思はるるなり
ススキの名所で知られる奥宇陀の曽爾高原では近年ススキの衰微が著しく、管理に当たっている曽爾村では2019年から「曽爾高原再生プロジェクト」を立ち上げ、ススキ再生の取り組みを進めている。
実験的に移植したススキの成長がよく、このほど実験箇所を増やし、約1000平方メートルに村内の今井、山粕地区から調達したススキの株を植え替えるとともに約1ヘクタールのススキ原にシカによる食害を防ぐ獣害防護ネットを巡らし、ススキ再生の取り組みに拍車をかけている。
このほどススキの移植と防護ネットが張り巡らされたのは高原湿地で知られるお亀池の北側の丘に登るメインの遊歩道沿い。防護ネットはススキが芽出しをする四月から九月の間取り付け、ススキの見ごろの時期から山焼きの春先までの間は取り外すという。
曽爾高原の草原は約40ヘクタール、草原のほとんどはススキ原で、急斜面では無人ヘリによる肥料の散布を行い、プロジェクト立ち上げの翌年すでに実施。効果を見極めているという。平地部は移植と獣害防護ネットの活用により、五年から十年の単位で、長期を見据え再生に当たっているという。 写真は遊歩道に沿って張られたシカ避けの防護ネット(左・後方の山は日本ボソ山)とネット内に移植されたススキの株(右・後方は亀山の稜線。下にお亀池が見える)。