大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2013年11月27日 | 写詩・写歌・写俳

<816> 大和寸景 「紅葉の奈良公園にて」

      ひとときを みな紅葉に 与かれり

 紅葉(黄葉)真っ盛りの奈良公園で、結婚式場から飛び出して来たような新婚カップルが現われ、紅葉(黄葉)やシカを入れて写真を撮り始めた。遠くで見ていると、映画かテレビドラマ、あるいはCMのロケーションかと思われるほどで、この光景は春のサクラが咲くころにも見たことがある。

 新婚カップルに加え、カメラマンなど撮影スタッフが三人ほどついてやって来た。あらかじめ撮影場所を探しておいたのだろう。場所を決めるのにもたつくことはなく、てきぱきとして見えた。シカと一緒に撮影するときはスタッフがシカにエサを与えて巧みに誘導していた。相当手なれている様子がうかがえた。

                        

 みんな珍しいと見えて、通りかかる人ごとにこのカップルの姿をスナップしていた。私もその一人であったが、スタッフの言葉が日本語でなく、中国語のようだったので、どこの国から来たかということを聞いてみた。だが、言葉が通じなかったか、それとも答えたくなかったか、話はそれ以上進まなかった。

 想像するに、新婚旅行先でウエ―ディングドレス姿の記念写真を撮るのが人気になっているのだろう。わざわざ衣装を用意し、スタッフを組んで撮影に来るということは、この撮影が一つのビジネスになっているのに違いない。言わば、奈良公園は新婚カップルの撮影にぴったりなのだろう。背景に申し分はなく、場所代はかからないし、自由に撮影出来ることがあげられる。これほど撮影に適った場所はなかろうという気がする。

 それに、このスタッフを含む新婚カップルは、奈良にとって泊まりがけで来てくれるお客さんであるから、この撮影の光景は、言わば、持ちつ持たれつの光景かと思われる。それにしても、ドレスの純白というのは映えて見えるものである。写真左はシカと一緒に写真を撮る新婚カップル。右の二枚は黄葉真っ盛りのイチョウをバックに写真の撮影をする新婚カップル。いずれも奈良公園で。