大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2013年11月21日 | 写詩・写歌・写俳

<810> シクラメン

       風邪を引き 室に籠れば シクラメン

 いつもこの時期になると、近所の親しい家から鉢植えのシクラメンが届く。もう随分になると思う。娘さんが花卉農家に嫁いでいるということで、野菜やら何やらいろんなものを頂戴する。シクラメンはその一つで、今年も頂いた。日当たりのいい窓辺に置くと、日が差して、花が鮮やかに見える。花というのは概ね太陽光に映えるようになっている。で、花がみごとだったので、写真を撮る気になって、ブログに載せることにした。

                                              

  人工で育てるシクラメンは観賞が目的の花であるが、大概の花は子孫繁栄を目的に咲く。シクラメンも元を辿れば、虫の仲立ちによって花粉の授受を行ない、それで子孫を増やすのが目的であったはずである。つまり、花はその役割をもって咲く。だから、花は目立たなくてはならない。これが自然の法則に適った花の姿である。花は虫たちを誘うために太陽光に映えるように咲くわけである。言わば、花は目立つように植物が心がけている証と言ってよい。

  ところが、人間は花を観賞する目的で育て、花は本来の役目を逸脱して、人の目を楽しませるように改造されて来たものが多く見られるようになった。シクラメンもその一つだろうが、どちらにしても、花は概ね美しいというのが条件になっている。

  こういう花を写真に撮る場合は、花が映えて見える角度が好まれるわけで、一概には言えないけれども、花は概ね逆光か半逆光気味に撮るのがよい。花が映えて浮き立って見えるからである。もちろん、花だけではなく、太陽光の加減でいうならば、どちらかと言うと、影の部分が写り込まない順光というのは撮影に向いていないと言ってよいように思われる。

  この世の世界は光と影によってあり、影によって光の当たる部分が強調されるので、順光は写真向きではないと言えるわけである。とにかく、窓辺のシクラメンは光に映えて美しく見えるという次第である。 写真は頂いたシクラメン。窓辺に置くと太陽光に一段と映えて見える。