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発想や直感的な感覚、ぽいと発した一言、名役者といえどもかなわぬ表情など、子どもとは思わぬ出会いに驚いたり感激したり、時には嫉妬からか老いを感じたりする。それでいながら、それらのどれにも喜びを感じる。増えているという子どもへの虐待を一瞬忘れさせてくれる。
近くに小学校がある。数人ずつの児童が笑いながら、ふざけあいながら冷たい風の中を元気に登校する。たまには方言も入り混じり嬉しい。「お早う、気をつけて」と声を掛けると「お早うございます」と一斉に返してくれる。先に挨拶をもらうこともよくある。大切な大切な日本の卵たち、素直で元気な声、寒い朝でも気持ちが温かくなる。
遅くなった新年会のメニューは鍋。盛られた具材はカニ、フグ、ハマグリなど豪華、それを見ながら、昨年の暮れの押し迫ったころ聞いた話を思い出した。帰宅した父親、夕食準備の食卓を見て「お、今夜は鍋か、何鍋だ」すかず母親が「寄せ鍋」と返事する。それを聞いた本を読んでいた小学生の息子がお父さんに「それは寄せ集め鍋、または残り物鍋」と教えた。
子どもの説明はこう続いた。お母さんはお正月の準備といいながら冷蔵庫の整理や掃除をした。その時、食材の残りがいろいろ出てきたので「今夜はこれで鍋にしよう」とつぶやいた。父親は大声で笑い、母親は明日の夕食にと買っておいた魚の切り身をプラスしながら、子どもの正直さとウイットに一本とられた、と苦笑い。鍋の味は聞かなかった。
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