日々のことを徒然に

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桑重儀一画伯

2015年08月01日 | しっちょる岩国
 


 昭和14(1939)年発行の「山口懸人物史」に岩国出身の一人の洋画家が紹介されている。その書き出しは、「本邦洋画界に名声の嘖々たる人に美術科出身にして現在太平洋美術学校教授、 自由学園女学校講師、洋画家桑重儀一氏あり」とし「山口県人として斯界に頭角を抜けるは頗る意を強くすることなり」と続く。

 茅野 友さんの紹介で、川下のクスノキ巨樹群近くにある桑重儀一画伯の生家を訪ねる機会に恵まれた。100号近い女性の絵などの絵画、墨絵、絵付けされた陶器など多数の作品を拝見した。大正9年帝展出品で入選した「書見する人」は県立美樹館に所蔵されていると教えられる。徴古館HPには平成22年1月に所蔵の作品展開催の記録がある。

 画伯は明治16(1883)年1月3日、現在の川下にて誕生。年少より画才に富み長ずるに及び米国に渡り加州大学美術科を卒業。大正元(1912)年からに渡仏すること2回、画堂の奥義を極める。資性温厚篤実の士不撓不屈の精神で大成をなせる。美術界に頭角を抜ける潔人として推すに足るべく俊敏なり、と人物史は続く。昭和18(1943)年5月24日死去。享年61歳。

 各地にはこうした著名な人の功績を次代に伝え残す美術館など文化施設がある。悲しいかな当市にはそれらが無い。ただ一点、錦帯橋だけが頼りでは文化都市としての進展は望めない。先人の業績を常に見て学べる公共施設の完成することを願っている。
  <写真左:生家に保存されていた写し(初夏之窓)、右:「山口懸人物史」に挿入の写真>
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