「これらはその生まれたところで朽ちて土にかえる。そして次世代の肥しとなる」。これは朽ちて崩れ落ちた幹の根本の木くずの中に芽吹いた小さな苗木を指しながら古木を案内する人の言葉。その静かな語り口調から自然を心から愛おしむ気持ち、それが画面からでも伝わる。
その樹齢は推定で600から700年と説明があった。それだけの年月を経てもなお次世代へつなげていこうとする自然という営みの未知。驚きながら、一方ではそうかと納得し、人知が自然力に及ぶことがあるのだろうか、見終わったとき思った。
古木の番組を見てしばらく経ったころ、桜の木の朽ちたところに芽生えた小さな苗が育っているのを見つけた。
公園とその周りには、幹が大きく欠けたり空洞になった桜の木が多くある。それらはみんな古い幹で、自然に崩れてそうなったと思わせる。そんな木でもその季節になると花を咲かせ訪れた人を楽しませている。
この小さな苗がどんな風に大きく育っていくのか、古木の番組の後なのでちょっと気になり、眺めたが、教えてくれるものはなかった。幹の上から無数の根のようなものが下がっているがそれが何かはわからない。小さな苗も無数の根もこの幹の伝え残したい何かを受け継いでいるのだろう。ときどき回り道をして見続けよう。
(写真:親木のようになるのには何年かかるだろう)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます