「ど根性大根」、歩道脇に生えた大根が大ちゃんといわれマスコミに取り上げられた。そのれを受けて各地で野菜や花などが幾つも話題になった。ど根性植物、人に例えれば筋肉隆々とした活力ある姿が印象に残っており、見る者はそこから元気さを貰った。今では珍しさは薄れたようだ。
コンクリートや舗装道路のわずかな隙間などから自然に生えた植物、どこからやって来たのか、その身元は分からない。植物はやわらかい畑の土で育つものと思い込んでいるから、こんな所からと驚いた人間がつけた「ど根性」、植物に根性があるとは思わないが、何かを教えたり示唆してくれる例えにした。
元気はつらつというそうしたど根性植物、とは思えない一株が散歩道に育っている。10本ほどの細く長い葉の半分はだらりとし、風に揺れている。名前は知らないが、ど根性雑草とはいいがたい貧弱な姿勢をしている。この場所は少し窪んでいて雨が降ると水がたまる。その点は恵まれていて、弱弱しいのだろうか。
プランターのキュウリ、みな同じではない。同じ苗なのにスーと伸びスーパー店頭品と同格のもの、ごつごつして三日月形のような異形もある。異形のそれはなぜそうなったのか知る由もないが、野菜にも根性があるのかと思い直させる。その味はスマートな物と変わらない。
根性とは困難にもくじけない強い性質のことをいう。ど根性と言って思い出すのは巨人の星の主題歌「行け行け飛馬」のど根性。歌詞全体が燃え滾る血潮をうかがわせ、そこから投げ出される一球一球の剛球、魔球のような球筋を楽しんだ。純粋など根性、いまの日本にも求められている。