日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

角いが丸い絆の岩国寿司

2009年01月29日 | 回想
               

エッセイサロン例会での中休み。Yさんが持参されていた、器に山と積み上げられた自家製の「岩国寿司」が姿を表した。皆さんでいただく。小腹が空いていたからではなく酢加減、具の味と色、本当に美味しい味付けだった。

岩国寿司の味を引き立てる1番は「押さえ」加減と思っている。具の個々それぞれにいくら良い味付けがされても、押さえが効かないそれは味の浸み渡ったいいた味にならない、と教えられてきた。押寿司といわれる所以でもあるが、この押しのきいた寿司でした。

岩国寿司、子どものころは角寿司といった。この発祥については、岩国藩を潤した「岩国和紙」を海路大阪に運んだ人が、大阪の押寿司にヒントを得た。いや、岩国城築城のとき保存食として献上したのが始まり、など諸説ある。

子どものころには、1度に5升炊きの釜を竈(かまど)に掛けて炊き、5段重ねの寿司桶に作っていた。具その他の準備は母、寿司桶につけるところから父の手にかかる。重しをのせてひと晩置く。

よく朝、寿司きり包丁で切る。芭蕉の葉で仕切られた各段がきれいに揃う。150個をもろぶたへ乾かないように保存し来客を待つ。年に何度かのイベントで出される決まった我家の一品だった。戦後すぐでもこのときは銀シャリ。

その頃は、スーパーに行けばいつでも何かの寿司が食べれる今とは違う。岩国寿司を作るということは、その家にとっては大変な作業だけども、家族や縁者の絆を角いけれども丸く繋ぐ寿司だった、そんなことを思い出しながら押しのきいた寿司を2個もいただいた。

(写真:Yさん宅伝統の味がする岩国寿司)
コメント (12)
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