保護猫と暮らす隠居爺の“自然農法”野菜作りとスキーの日記

5~11月は自然農法による自給用野菜作りと冬に備えた体力作り、12~4月はスキーに明け暮れ、保護猫活動は1年中無休です。

“想定外”について考える…③原発を造る場合(その1)

2011年05月23日 | 世の中のあんなコト、こんな事

工学的モノ作りで要求されることは
基本的な性能を発揮するための条件下において
技術や経済性が成立することです。

そして次に、想定される異常な条件における事象と
それが及ぼす悪影響を検証して
結果の評価に基づいてその事象を起こさないように
さまざまな対策を施す設計が必要になることはすでにお話ししました。

【5つのシナリオ】

 A)事象を想定し、影響を評価し、対策を取る。
B)事象を想定し、影響を評価するが十分な対策は諦める。
C)事象を想定するが、影響を十分に評価できないため
最大限の安全係数をもって対策とみなす。
D)事象を想定するが、影響を評価できないため対策も取られない。
E)事象を想定せず、対策も取られない。

 

さて、問題は原子力発電所です。

原発が厄介なのは、例えわずかな可能性の条件下であっても
放射線漏れという事象に陥った場合の悪影響は
甚大かつ長期にる亘るからに他なりません。

この最悪の事態を引き起こすかもしれない「異常な条件」を
どの範囲まで想定すべきなのか?

想定する対象でさえ、地震、津波はもちろんですが
例えば、隕石等の衝突やテロリストのハイジャック機による衝突
外国からの攻撃、もしかしたら宇宙からの侵略などなど
原発は自動車のように移動しませんので
想定する異常な条件のほとんどは
能動的ではなく受動的な要素になるのでしょう。

まず、隕石等の衝突は、地震、津波の頻度に比べると桁違いに少なく
最も最近の記録はシベリアで1908年に起きたツングースカ大爆発で
(3mから70mの物体が落下し爆発。隕石の可能性は低いらしい)
このクラスの爆発が原発の間近で起きると多分
建物ごと完全に破壊されて、大量の放射性物質が
周囲に飛散する可能性は極めて高いに違いありません。

そして、これまでの日本の原発の立場は
隕石等の衝突を想定外のD)またはE)としているはずですが
ツングースカでも“らしい”としか言えないものを
想定すること自体、不可能な気がして
個人的にはやむを得ないと思うのです。

もっとも、直撃は例外としても、起こり得る異常としたら
爆風、地震、津波などが具体的な形になるのですから
そちらの想定はもちろんするべきです。

隕石等の直撃と言ったら、誕生から今日までの人類の歴史の
数百倍もの長きに渡って地球上で栄華を極めた恐竜でさえ
たった直径1kmの隕石の落下で舞い上がったチリが太陽光を遮断
氷河期に陥りで絶滅したとされているのですから
原子力がどうこうの問題ではなく
人類の存続さえ危うい事態になる可能性もあるのです。

さて次に、テロリストによる旅客機の衝突は十分に現実的な想定で
アメリカ同時多発テロ事件で原発を狙われなかったのは不幸中の幸いでした。

これは隕石等の衝突などよりははるかに高い確率で起こり得るのですが
それによってどのような事象が想定されるのか、また
原子炉格納容器の強度を上げればそれで済むのか、など
正直、私には分かりません。

同じく、例えば
北朝鮮の弾道ミサイルが原発に照準を合わせて来たら…。

隕石等、テロ、ミサイルのいずれも
直撃を受けたら、多分、どうにもならないのですから
原発政策を続けるのであれば、という前提でしたら
逸れても襲ってくる具体的な形(地震、津波など)を想定するしかなく
C)でしょうがないと思うのです。

他方、隕石はともかく、テロ、ミサイル攻撃を含む
コト戦争に関しては、政治的解決に頼ることは当然のことです。

ただし、もちろん飛躍し過ぎでE)に違いありませんが
宇宙からの侵略に関しては政治的解決も不可能かも…。


ところで何の関係もありませんが
最近あまり話題に上らない核シェルターは
現在、どの程度普及しているのでしょうか?

 

(次回、津波の想定について)

 

 

 

 

コメント
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