寄与分…被相続人の財産の維持もしくは増加のために
多大なる貢献をした相続人が、遺産分割による相続分に加えて
受け取ることができる別の取り分。
このちょっと特殊な取り分の存在が
実は相続で一番もめる原因になっているようです。
なぜ“もめる”のかというと
貢献したとみなす範囲が曖昧で、一般の人には
容易に判断できないからに他なりません。
【ケース1】
波平はサラリーマンですが、個人事業を経営していたとして
リーマンショック以降の不況で一気に苦しい経営に陥りましたが
カツオが寝る間を惜しんで波平の事業を支えてくれたおかげで
何とか持ち直して財産も増やすことができました。
その後、波平が亡くなった際、カツオはサザエやワカメよりも
多く財産をもらっていいはずだ、と主張しました。
【ケース2】
妻のフネは当然、波平の生活の面倒をみていましたし
亡くなる前の病気の際も献身的に看病したことを訴えました。
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民法で認められている被相続人に対する主なケースは
・事業に関する労務の提供
・事業に対する財務上の給付
・療養看護
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ケース1…波平の事業を手伝い、財産形成に著しく貢献しましたので
寄与分が認められると思われます。
ケース2…妻の通常の家事労働や、妻としての夫に対する看病は
特別の寄与貢献とは言えず、寄与分にはなりません。
看病で認められるには、扶養義務を超えた
著しい程度の療養看護が必要とされます。
寄与分の存在を認めるかどうか
認めるにしてもどの程度の価値になるか、は
相続人全員による話し合いで決めます。
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(決着が付かない時)
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家庭裁判所に寄与分を定めてもらう審判を申し立てます。
↓
(寄与分が認められると)
↓
この分を切り離して残った財産を法定相続によって分配
↓
寄与分が認められた人にはそれをします。