ひびレビ

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ウルトラマンZ 第11話「守るべきもの」

2020-09-05 11:02:21 | ウルトラマンZ
ウルトラマンZ 第11話「守るべきもの」

 父の命日に実家のある深間市に帰っていたハルキ。その束の間の休息を破るように、深間市の採石場にレッドキングが出現した。 
 ストレイジの基地から完成したばかりのキングジョーストレイジカスタムが発進する一方、ハルキはかつてギーストロンから一人でも多くの人を逃がそうと奮闘した父のように、今度はゼットと共に人々を守ろうとするが…

感想
 さて今回はキングジョーストレイジカスタムの華々しいデビュー戦!…になるかと思いきやシリアスな雰囲気に包まれ、EDが染み入る第11話でした。

 ハルキの父親はかつて凶猛怪獣ギーストロンが出現した際、ハルキと母親を先に逃がし、自身は1人でも多くの怪獣を救おうと行動した勇敢な人物だったようですが、既に故人。恐らくはギーストロンの被害に巻き込まれたのでしょう。
 この時父から「お母さんを守れ」と言われたこと、そして父を亡くしたことがきっかけで、ハルキはもっと強くなるために武術の道を歩み、そしてストレイジへの入隊を決意したのかもしれません。冒頭、ハルキと父親がキャッチボールをしている姿が描かれていましたが、それまでは普通の野球少年だったりしたのかな。

 仮にギーストロンにより父を亡くしていたとしたら、怪獣は父の命を奪った仇であり、トラウマにもなりかねない存在だと思います。しかし今のハルキは怪獣に一切臆さず立ち向かっていますし、1話でゴメスが迫っているにも関わらず子犬を助けようと行動した様を見ると、怪獣への恐怖以上に父の「守る」という教えが心に残っているのだろうなと感じました。

 故にハルキの戦いは「怪獣が憎いから倒す」のではなく「誰かを守る」ための戦いであったはずです。が、今回現れた2頭のレッドキング(A・B)は、ただただ卵を守ろうとしていたことが戦いの最中に発覚。恐らく工事による爆破に驚いて、自分の住処を荒らされたと勘違いしてしまったのでしょう。レッドキングたちもハルキと同じく「守るために戦っていた」ということが、ハルキの胸に深く突き刺さってしまうこととなりました。
 ハルキにしてみれば、あのレッドキングを倒したことは、自分の父親を倒したのに等しい行為でしょう。かろうじてレッドキングBだけは守ることが出来たものの、それで心の整理がつくはずもなく…
 怪獣だからという理由だけで倒していいはずはない。しかし倒さなければ人間の暮らしが脅かされる。相手の事情を考慮したり、迷っている間に命が消えていく。そこを割り切るかどうかも難しい問題ですよね…加えてハルキはレッドキングAに父親を重ねてしまっているのが…
 また、普段は変身中のハルキを映すのはあんまり好きじゃないんですけど、今回はハルキの動揺や焦りが見て取れたので良かったなと。まだ余裕そうだったカラータイマーが急に点滅するのは、2人が本当に一心同体なんだなと感じる場面でもありました。

 そんなゼット…もといハルキがキングジョーストレイジカスタムの攻撃からレッドキングBを守る様子を見ていたヘビクラ隊長は「あぁ…ありゃもたねぇな」と呟いていました。
 隊長であればこそ、ハルキの入隊理由や父を亡くした過去は把握しているでしょうから、ゼット=ハルキがレッドキングを守った理由をいち早く察したが故の「ありゃ(ハルキの精神が)もたねぇな」だったのかなと。近くにいるユカには「(キングジョーが)もたねぇな」に聞こえるあたり、上手い言い回しです。

 今回レッドキングBは卵と共に姿を消しましたが、ヘビクラ隊長が言うように、次現われた時に人間を襲わないとは限らない。それこそ、怪獣から人々を守るために強くなろうと決意したハルキのように、今度は卵から生まれたレッドキングの子供が、レッドキングBを守るために強くなろうとしてもおかしくはないと思います。穴の奥に消えていったレッドキングの鋭い眼光は、人間やウルトラマンを許したわけではないという意思の表れだったようにも感じました。

 ハルキの父がハルキや母を守ろうとしたように、ハルキは人々を、ヨーコはゼットを、レッドキングは子供を守ろうとした。誰もが誰かを守るために戦い、そして傷ついた。事情が分かれば争う必要など全く無かった今回の一件。キングジョーストレイジカスタムのデビュー戦は苦い結果に終わり、ハルキの心にも深い棘が突き刺さることとなりました。
 ここでOPの「傷つき倒れても構わない、強く、優しく」やEDの「守るものが今抱きしめた腕から零れないように戦うのさ」「何を背負い歩いて、涙を流すの」などの歌詞がより深い意味を持ってきました。傷つき倒れても、子供を守ろうとした怪獣を倒してしまったという消えない事実をも背負いこみ、それでも守るべきものが何かを見据え、戦い続けることが出来るのか。

 
 そんなシリアスムードに包まれた第11話ですが、特撮シーンにも見ごたえがある分、より一層レッドキングの結末の哀しさが増します。
 街に出現したレッドキングAに対してはベータスマッシュのパワーとアルファエッジの技で対抗。投げたり切ったりと、こちらは初代および二代目レッドキングの倒し方を彷彿とさせます。アルファエッジの猛攻、良かったなぁ…
 続いて出現したレッドキングBは、ウルトラマンマックス以降よく見るようになったレッドキングとは異なり、三代目に近い印象を受けるレッドキングでした。ギャラクシーファイトでリブットが戦っていたレッドキングもよく見ると今回出たレッドキングAとBに似ている…?ともあれ、こちらの相手はキングジョーストレイジカスタムが主に相手取ったわけですが、ウインダムの操縦感覚とはまるで異なるために悪戦苦闘。性能が良すぎるが故のじゃじゃ馬っぷりを発揮し、ヨーコですらまともに扱えていませんでした。てっきりレッドキング相手ならゼットとキングジョーストレイジカスタムで余裕だろうと思っていたら、こういう罠が潜んでいたとは…
 
 また、個人的に特に印象に残ったのはレッドキングBに対して首を振るシーンです。あの何ともいえない悲しげな、申し訳なさそうな素振りがハルキの心情を表していて凄く心に残りました。


 次回はグルジオライデン登場。迷っている暇など無さそうな相手ですが、果たして!
 …あ、ボイスドラマ第11回はセブン大大師匠とレオ大師匠を含めたセブン一門の話。本編がシリアスな分、こっちは笑えます。いや、笑えない話もあるんですけど、笑えます(笑。そういえばゼロとアストラってどういう関係なんですかね…?
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