ひびレビ

特撮・アニメの感想や、日々のことを書いてます。
当ブログの記事をコピーした、怪しいサイトにご注意ください。

ウルトラマン80 第19話「はぐれ星爆破命令」

2020-08-07 07:34:35 | ウルトラシリーズ
ウルトラマン80 第19話「はぐれ星爆破命令」

 地球に迫りくる赤いはぐれ星「レッドローズ」を破壊するべく、各国はロケットを発射し、スペースマミーで誘導・命中させる「ローズプロジェクト」を実行に移す。近くの星には生物がいないとされていたが、そのうちの1つ、惑星ガウスに生物がいたことを猛=ウルトラマン80は知っていた。しかし誰にも言い出せないまま、ローズプロジェクトは進行し…

感想
 綺麗なバラにはトゲがある。「地球を救う」という美しい名目が打ち出されたローズプロジェクトにも、その裏では惑星ガウスの生物が死滅するという痛々しい出来事が起きていました。劇中では殆どの人がその痛みに気づくことなく、ただただ花の美しさばかりに注目している様が描かれていました。

 爆破直前になって惑星ガウスに生物がいることを知り、それでも計画を実行に移したイトウチーフ。地球へ帰還する最中、猛は席を外したイトウチーフの後を追いますが、そこでイトウチーフは「矢的、地球はあそこにある。我々が救ったんだ…」と呟き、一瞬だけ微笑んだように見えましたが、すぐに哀しそうな表情へと切り替わっていました。
 このシーン、凄く良いですね…猛に語り掛けているようで、自分に「地球を救った」と言い聞かせて、惑星ガウスの生物の犠牲は已むを得なかったと必死に取り繕おうとしているけれども、それが出来なかった。割り切ることが出来なかった。そんなイトウチーフの責任感の強さ、罪悪感を見て取れるシーンでした。
 猛もイトウチーフより以前に惑星ガウスに生物がいることを知っていながらも何も出来なかったわけですから、あそこでイトウチーフに詰め寄ったりするつもりは無かったのでしょう。むしろ、あの場で決断をくださなければならない立場にあったイトウチーフの心情を察し、少しでも寄り添おうとしたのかもしれません。猛が他の隊員たちと同じように「地球が救われた」ということに安堵しているだけだったならば、イトウチーフも笑みを保てたでしょう。ですが、神妙な面持ちをした猛の表情を見て、互いに同じ気持ちであることを察し、無理に笑顔を取り繕うことをやめたのかな…と。

 そして現れた惑星怪獣ガウス。かつてのギエロン星獣を彷彿とさせるような、人間の都合による犠牲者でした。
 戦闘機を破壊するなどの行動は見られたものの、80のカラータイマーが終始青だったことから戦闘力そのものは決して高いわけではないのでしょう。80と戦っている最中に疲れて落ち着いたのか、それまでとは違う哀しい泣き声を発して怯えた様子を見せるガウスの悲哀っぷりがもうね…
 最終的に80のテレポートにより、ガウス星と似た環境の惑星で暮らすことに。わざわざ一礼する律儀さよ…

 イトウチーフと猛の心に深く刺さったバラのトゲ。その痛みを忘れることなく、第2、第3のガウスを生み出さないことを祈りつつ、話の幕は閉じられました。イトウチーフの心理描写が素晴らしかった第19話でした。
 次回はオコリンボール登場!先輩にヤメタランスやモットクレロンなどの突飛な名前の怪獣がいますが、それでもこいつの名前を始めて知った時は驚いたなぁ…
コメント