国宝指定の陶磁器を訪ねる旅、今回は信州まで足を伸ばしました。
自宅から車で15分の最寄りの駅から、初めて長野新幹線「あさま」に乗りました!
途中、秋晴れの空のもと、新幹線の名となっている浅間山がとても綺麗。
長野まで1時間!善光寺参りはもはや日帰りですね!!
その後、特急・普通列車を乗り継いて、3時間足らずで目的地諏訪湖へ♪
小さい秋も見つけました。
ここの湖畔にある「サンリツ服部美術館」でお目当ての品が特別公開中。
(
3年前に行った旅行でここを見損なっていました!)
この美術館は、セイコー時計・セイコーエプソン会社の社長であった服部一郎氏の収集した、
茶道具、古書画や西洋近代絵画等、約600点の作品が収蔵されています。
美術館の裏は広大な敷地にエプソンの工場&会社が!
今回の特別展「茶入 もう一つの美術史」は美術館所蔵の茶入がすべて展示されています。
そこに、お茶がらみで国宝の「白楽茶碗 銘 不二山」が一緒に展示されて良かった♪
これは江戸時代の書家、陶芸家、芸術家である本阿弥光悦が嫁に行く娘に振り袖に包んで持たせたと伝えられています。
白片身変(しろかたみかわり)茶碗ともいわれ、
焼成中の偶然(窯変)から、白い釉薬が下半分で黒く炭化しています。
本来なら失敗作というところですが、光悦はこの変化を面白いと思い、
しかも二つと同じ物は出来ないだろうからと「不二山」と銘を付けました。
内側も外側も上が白、下が黒となっており、その姿が雪をかぶった富士山と似ています。
学芸員の方が説明してくださった時にLEDライト(ノーベル賞!)を当てると、表面は虹色にキラキラと輝いて、
思っていたよりも釉薬がしっかりかかっていて綺麗なものでした。
これで国宝指定の陶磁器
14点のうち、11点を見ました!
近々、トーハクでもう一つ見られそう♪
この展覧会の本当の主役は、これらの茶入れ。
左が「唐物茄子(からものなすび)茶入 銘 紹鷗茄子」 右が「唐物肩衝(かたつき)茶入 銘 筑紫」
ともに13世紀に中国南宋で作られ、日本で茶入れとして見立てられたものです。
重要美術品に指定されています。
特に、左の茶入れは高さ5㎝、胴径6cm、重さ56g、厚さ2㎜と、掌にすっぽると納まるほどの小さなものです。
これに付随する仕服、箱、何通かの書状も展示されておりましたが、売り買いした記録が面白い!
江戸時代に500両、今で言えば5000万円~1億円以上で買ったらしい!!
そして、茶入れと引き換えに200両を払うので、来年150両、再来年150両の分割払いにさせて下さい、
と書いてありました!
茶道具って、国の領地と引き換えにするほど高価になった時代がありましたからね。
その他、瀬戸焼、備前・丹波・高取・京焼の国焼の和物の茶入れが13点、豪華でした。
詳しい説明を聞きたかったので、学芸員さんの説明がある日時に行き、
私的に茶道文化について勉強中なので、トークが終わってからも質問させていただきました。
別室での特別展は「顔 歩みだした個の表現」、
ルオー、ルノワール、ビュフェ、キスリング、カシニョール、ローランサンなどの油彩画を楽しみました。
大満足で美術館を後にして、隣接する「北澤美術館」へ。
開館30周年記念特別展「アール・ヌーヴォーのガラス工芸 ドーム兄弟」を開催中でした。
19世紀末から20世紀初頭にかけフランス東部の街ナンシーで、ガレと並ぶガラス工芸家として活躍したドーム兄弟。
この美術館はドーム家に秘蔵されていた歴史的名作を数多く所蔵しています
ドーム兄弟の創作に焦点を絞り、開館以来初めて館蔵の名品が一堂に公開されていました。
日本の侘びの焼き物から、パリの華やかなガラス工芸へと気分を切り替えて。
二つの美術館を堪能して湖岸へ出ると、湖面に映る夕日が素敵でした♪