春は別れと出会いの季節です。
4月からの新しい環境に心ときめきながらも、不安があったりするもの。
その中でも人との出会いは大きな位置を占めます。
臨床心理学者であり、教育論、子育て論、はたまた仏教論など
幅広い見識のある著者が
「友情」について真っ向から向かっていった一冊
です。
「大学に入学して一週間、友達ができない。
どうしたらできるか教えて欲しい」と学生が相談に来て、
筆者は「何より驚くのは、1週間努力すれば友人が出来ると思っていることである。」
と述べるところから話が始まります。
「ほんとうの友人とは?」という問いに対して、
筆者は「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、
どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」
というユング派の分析家アドルフ・グッゲンビュールの言葉を引用しています。
う~ん
私が死体を持っていける友人。。。
あるいは私のところへ死体を持ってこれる友人。。。
どうかなぁ?
筆者はこの「究極の友人」とまではいかないにしても、
もう少し広い意味で考えていきましょうと述べていてちょっとホッ
友情、というと子ども時代によく使った言葉ですが、
大人になっても新しい「友達」は出来るものだと
自分が大人になった今、痛感しています。
いつもはそれぞれの生活があるので疎遠ですが、
肝心な時に心配して連絡してくれたり、顔を見に来てくれたり、
ここへ一緒に行くならあなたと誘ってくれたりする友人が何人かいます。
それぞれ年齢も住んでいる所も職業も様々。
会うときは、いつも「久し振りだね~。
」で始まるのですが、
話していくうちにいつも会って話しているような滑らかさ。
そして別れるときには「明日からまた頑張ろうね
」
先日、息子が小学校の時のスポーツ少年団の集まりがありました。
小3でサッカー
を始めてから10年の付き合いになります。
小学生の時から夏は親子でバーベキューや合宿を楽しみました。
中学生になって息子達はそれぞれ違う部活動に入り、
高校生になってバラバラの高校へいったにもかかわらず、
母親たちは毎年集まって食事会
をしていました。
この春、高校を卒業するので久し振りに親子で集まり、
監督やコーチもよんで、それはそれは楽しい会
になりました。
驚くべきはいつも必ず全員出席していることです。
この本の中には、友情を題材にした文学作品も紹介されています。
夏目漱石 『こころ』
太宰治 『走れメロス』
白洲正子 『いまなぜ青山二郎なのか』
丸谷才一 『挨拶はたいへんだ』
山崎正和 『社交する人間』
トーマス・マン 『トニオ・クレーゲル』
ヴェン・デル・ポスト 『影の獄にて』(映画「戦場のメリークリスマス」)
折りしもTV
では「ハリー・ポッター」を放映中です。
最期に筆者はこういっています。
「あらゆる人間関係の基盤としてそれはあり、
人間の生き方を豊かにしてくれるもの」
「そして友と友を結ぶ存在としての「たましい」への想い」
人生最後の財産は友情