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五島美術館と静嘉堂文庫美術館

2010-11-17 | いろいろ
先日、世田谷区にある二つの美術館へ行って来ました。
それぞれに所蔵している国宝、ずっと見たいと思っていました。

まずは、上野毛にある「五島美術館」。
昭和35年(1960年)開館のこの美術館では開館50周年を記念し、
国宝の「源氏物語絵巻」と、その復元模写が見られる展覧会が開催されています。
図書館関係の雑誌にもこの展覧会の記事が大きく取り上げられており、
楽しみにしていました♪

愛知県の徳川美術館と、東京の五島美術館が所蔵する
すべての国宝「源氏物語絵巻」が展示されています!
近年、絵巻が成立された当時の色彩が科学的に分析されました。
X線分析器によって絵巻に残された絵具の元素を特定し、科学的なデータを集め、
分析の結果岩石から作られた様々な種類の絵の具が判明しました。
それを基に日本画家による復元模写が制作され、
それも一緒に展示されているのです!

例えば、これは「源氏物語絵巻 鈴虫一」です。



復元された絵巻物。華麗で繊細な色彩が再現されました。


こんなに綺麗な色だったのですね!
以前もこの絵巻物を見たことがありましたが、このような色は想像できなかったです。

物語本文を仮名書きで書写した「詞書(ことばがき)」と
その場面を描いた「絵」とが交互に繰り返す形式でこの絵巻は作られています。
金銀の箔や草花の絵で装飾された豪華な和紙の上の仮名書きの文字も、
流れるように美しい!!
900年前の平安時代の日本人が描いた絵と書、
それが見られるなんて、感動してしまいました。

この美術館は庭園も見事です。
美術館の詳細はこちら
今月末でこの展覧会は終わり、その後2年間改修のため休館になります。

その後、世田谷区岡本の「静嘉堂文庫美術館」へ。
「眼の中へ、記憶の中へ――」というテーマで「中国陶磁器名品展」が開催されています。

これが見たかった!!

 

国宝の「曜変天目(稲葉天目)茶碗」(写真は美術館のHPより)

12世紀(やはり900年前)、中国宋時代の作品です。
漆黒の生地の中に浮かぶ、虹色に輝く大小様々の円い文様、
見る角度によってその色は移り変わり、
見つめていると惹きこまれるようで宇宙を感じました。
同様の茶碗は世界に3つしかなく、その製法は謎のままなのです。
この茶碗の美しさに魅せられた数多くの陶工が挑戦し、挫折し、
人生を狂わすとまで言われた茶碗です。
元は徳川将軍家の所蔵で、徳川家光が病に伏せる春日局に下賜し、その子孫である淀藩主稲葉家に、
その後、岩崎小弥太が購入し(!!)入手しましたが
「天下の名器を私如きが使うべきでない」と使うことはなかったそうです。

この美術館には、数多くの貴重な古典籍も収蔵しており、
内外の古典籍を研究者向けに公開する私立の専門図書館も隣にあります。
広大な岡本静嘉堂緑地、川が流れ、小高い丘になっています。

二つの美術館とも、五島家、岩崎家が代々引き継いだ財産です。
よくぞ破損せず(900年前の紙!)、流出もせず、きちんと保管されていました。
後世の私たちにとって有難いことですね。

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