第160回芥川賞・直木賞の受賞作が昨夜、発表されました!
芥川賞に上田岳弘(うえだ たかひろ)さん(39)の『ニムロッド』(群像12月号)と
町屋良平(まちや りょうへい)さん(35)の『1R1分34秒』(新潮11月号)、
直木賞には真藤順丈(しんどう じゅんじょう)さん(41)の『宝島』(講談社)が選ばれました。
おめでとうございます。
他の候補作は以前記事にした
こちらです。
芥川賞受賞の上田さんは候補3度目での受賞。
この作家の『塔と重力』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞作)を読んだことがあります。
IT企業を舞台に、ネット空間で仮想通貨の「採掘」を命じられた男性社員と、
その恋人や小説家志望だった同僚との間に展開する内面の絡み合い。
選考委員の奥泉光さんは「人類的な世界観と日常的な出来事をつなげる手際の良さ」を高く評価しました。
町屋さんは前回に続く候補2度目での受賞、埼玉県の高校卒です。
アルバイトで食いつなぎながらプロの道を歩むボクサーの自意識をたどります。
負けが込む焦燥感や肉体的苦痛の描写を織り交ぜ、変わり者のトレーナーとの出会いが生む主人公の心の変化を描写。
奥泉さんは「この作家にならだまされてもいいと思えるほどの言葉の力」を讃えました。
初候補で直木賞受賞の真藤さんは受賞作『宝島』を7年かけて書き上げられたそうです!
この作家の『地図男』(ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞)を読んだことがあります。
第2次世界大戦後の沖縄が舞台。
米軍の物資を略奪する伝説のヒーローの面影を追う少年少女3人の成長が描かれています。
選考委員の林真理子さんは「平成最後の直木賞にふさわしい作品。
東京生まれ東京育ちの作者が、返還までの沖縄の歴史を突き抜けた明るさでポップに描いた」と絶賛!
私は年末から直木賞候補作を読んでいましたが、どの候補作も500ページを超える硬質な長編で、
舞台は第2次世界大戦後の沖縄、ナチスドイツ崩壊後のベルリン、
戦国時代の信長、平安時代の酒呑童子、はたまた時代も場所も不明なファンタジーと、
読み進めるのにとても時間がかり、やっと3冊目の『ベルリンは晴れているか』に取り掛かったところ。
残念ながら受賞作『宝島』は未読ですが全会一致の受賞決定だったそうなので、
これから読むのが楽しみです。
『宝島』は本校図書館にも入れます。