先日、児童書を中心とした大手出版社主催の講演会に参加しました。
聴衆は、幼児教育に関わるお仕事をしている方や、読み聞かせ等の活動をされている方、
夜の講演会だったので皆さん仕事帰りで、慌ただしくもたくさん集まっていらっしゃいました。
講師の先生は幼児教育学の大学教授、F社と何らかの関りがあるようです。
その講演会では、2020年の新しい指導要領のキーワードとなる「非認知能力」について、
たくさんのお話を伺いました。
この「非認知能力」と「自己肯定感」は今とても注目され、これからの教育の新指針です。
数がわかる、字が書けるなど、IQなどで測れる力を「認知的能力」と呼び、
IQなどで測れない内面の力を「非認知的能力」と呼びます。
今まで競ってきた認知能力ですが、今後は発達した人工知能AIにとって代わられるので、
人にしか出来ない能力を伸ばしましょう、というのです。
目標に向かって頑張る力、他の人と上手く関わる力、感情をコントロールする力などです。
2000年にノーベル経済学賞を受賞した教育経済学ジェームズ・ヘックマン氏が提唱し、
幼少期に非認知的な能力を身につけておくことの重要性が説かれました。
そして、子どもの教育に国が公共政策としてお金を使うなら、
就学前の乳幼児期がとても効果的だということも強調しています。
それを踏まえて講演会で紹介された本が冒頭画像です。
ダナ・サスキンド 著『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』
掛札逸美・高山静子 翻訳 (明石書店)
読了しました。
就学前に3000万語の差、は実験・観察データの少なさなどから言い過ぎの感もありますが、
乳幼児を取り巻く言葉の環境が大切なことに間違いはありません。
学びに向かう力の育ちと、文字・数・思考の育ちには関連がみられることが証明されています。
親自身が自分の語彙力自信がなければ、絵本を毎日一冊読み聞かせすれば良いのです。
大好きな人からの優しい言葉だからこそ聞くし覚えるのであって、
目も合わさず勝手に流れてくるTVや機械の言葉は音であり、言葉の育ちにはなりません。
大人だってそうですよね。
何かを覚えようとする時、テキストや動画だけではなかなか頭に入らなかったことが、
直接、先生に面と向かって教えてもらうと早く確実に楽しく覚えられるものです。
次の本も紹介されました。
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・L. カーソン 著、上遠恵子 翻訳(新潮社)
子どもには「大自然の神秘さや不思議さに目を見はる感性」を持ち、いつまでも失わないでほしい。
地球の自然世界の喜び、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し、
感動を分かち合ってくれる大人が少なくとも一人はそばにいて欲しい、と主張しています。
自然に触れることや実体験を増やすことも、非認知能力の獲得に有効だそうです。
『子どもへのまなざし 全3巻』 佐々木正美 著 (福音館書店)
子どもにとっての乳幼児期は、人間の基礎をつくるもっとも重要な時期、
児童精神科医の著者が、臨床経験をふまえて乳幼児期の育児の大切さを語っています。
私はもう子育ては終わってしまいましたが、子育ての必読書と言われています。