久しぶりに(!)本の紹介です。
先日のJR高崎線の大混乱・大混雑で、本庄ー大宮間が往復5時間もかかったので、
その間に本が2冊読めてしまいました。
そのうちの1冊。
浅田次郎の鉄道もの
といえば真っ先に思い浮かべるのが『鉄道員(ぽっぽや)』でしょう。
映画が大ヒットし、高倉健扮する主人公の「しょうがないっしょ鉄道員(ぽっぽや)だから。」という言葉が流行ったりして。。。
この『地下鉄(メトロ)に乗って』も堤真一と常盤貴子の出演で昨年映画化されました。
永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前(東京オリンピックの頃)の風景。
ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れます。
さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会います。
でも封印された“過去”に行ったため…。
思わず涙がこぼれ落ちる悲しいけれど感動の結末です。
地下鉄の入り口がタイムマシーンの出入り口になっています。
映画の宣伝を見たときには単なる日本版バックトゥザフーチャーだと思っていました。
でも、原作を読んでみるとなかなか重みのある内容でした。
家族からはその傲慢さが憎まれている父親に、若い頃友達として会ってみたら、
戦争前・中・後の時代をたくましく生き抜いた立派な人物だったのです。
父の生き様を目の当たりにした主人公は、衝撃的な事実を知ることになり、
その結果、戻ってきた現実の世界も皮肉なことに悲しい結末に変わってしまっていました。
父親と息子というものは、わかりあえない事が多いのでしょうか?
先日この作者の『天国までの100マイル』も読みました。
男の悲哀、のようなものを書かせたら第一人者と思います。
あなたは、戻ってやり直したい過去がありますか?