先日、上條さなえさんの講演を聴く機会がありました。
上條さんは児童文学作家です。
大学卒業後小学校教諭となり、87年「さんまサーチ」で文壇にデビュー、
以来、教師を辞め児童文学作家になります。
90年から11年間、吉川児童館館長を勤め、
02年埼玉県教育委員に就任、昨年は委員長を務めました。
こう聞くと、華々しい経歴の持ち主
と思いますが、
10歳の時、1年間池袋で酒乱の父と学校へも行かないホームレス生活をしていました。その1年間のことがこの自伝的小説には書かれています。
この1年間のことは、今まで誰にも言えなかったそうです。
でも、児童館長や教育委員長などを務めるなかでいじめや自殺の問題に直面し、
執筆を決意したそうです。
「今は、子どもを取り巻く「愛」
がなくなっているのです。
学校の先生も、家庭の親たちも、お金や物の豊かさを求めて、
子どもへの「愛の記憶」を残してあげることを忘れてしまっています。
テレビ
の影響で、勝ち組負け組という金銭や物質的な豊かさが
幸せの尺度になっています。
幸せの基準を下げましょう、今、あなたたちは十分幸せなのです。
そして、何でも子どものためにしてあげることをやめ、
子どもの活躍する場を増やしましょう。
親や祖父母のために力を尽くしたいと思うところから自立が始まります。」
とおっしゃっていました。
講演会の後、本にサインしていただき、ちょっとお話ししたときに、
図書館で仕事をしていると私が言いましたら、
不登校の子に図書館登校を!と学校図書館の充実を訴えておられました。
3月上旬にはNHKハイビジョンで「私が子どもだった頃」
という番組になるのだそうです。
それも楽しみです。