あやめ草の流るる

2008-07-25 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 けふはまたあやめの根さへかけそへて乱れぞまさる袖の白玉(皇太后宮大夫俊成)
 なべて世のうきに流るるあやめ草けふまでかかる根はいかが見る(上東門院小少将)
 何事とあやめは分かでけふもなほ袂にあまるねこそ絶えせぬ(紫式部)
 あやめ草は、涙と縁が深いようだ。
 「いずれがアヤメかカキツバタ」と言う。いくらかでも見分けられるようになるために、メモ。
 アヤメは、花の付け根に黄と紫の虎斑模様があり、それでアヤメ(文目)。
 カキツバタは、「書き付け花」。
 菖蒲と書いて、アヤメともショウブとも読む。しかし、アヤメとショウブは別の草本。
 ・アヤメ(文目、菖蒲):アヤメ科アヤメ属。
 ・ハナショウブ(花菖蒲):アヤメ科アヤメ属。花が大きい。色は、青紫、赤紫、白。
 ・キショウブ(黄菖蒲):アヤメ科アヤメ属。花色は黄。
 ・ノハナショウブ(野花菖蒲):アヤメ科アヤメ属。ハナショウブの原種。
 ・カキツバタ(杜若):アヤメ科アヤメ属。
 ・ショウブ(菖蒲):サトイモ科ショウブ属。

あやめぞかをる

2008-07-25 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 うちしめりあやめぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ(摂政太政大臣)
 ここに出てくる「あやめ」は、今、われわれが「アヤメ」と呼ぶ紫の花をつけるアヤメ科の植物とは異なる。当時、「あやめ」とか「あやめ草」というのは、端午の節句で使うサトイモ科の菖蒲のことである。芳香があり、菖蒲湯にしたりする。その花は目立たない。現在の「アヤメ」は「ハナアヤメ」。